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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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218, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑩ 闘技場 ②

うぉぉぉぉ、お年玉投稿だぁ!

「これからの展開は見逃せないな。」

「そうだな、当代屈指のスピードスター同士。おまけに、今回は美少女同士の戦い。これでセーラーでの戦いだったら……萌えるのに。それだけが悔やまれる!」

 俺と、サッツシの会話に、美少女(・・・)二人からツッコミが入る。

「「そこ、余計なこと言うな!」」


 外野の物言いを物ともせずに双方の選手に余剰魔力の残滓で、効果背景(エフェクト)が浮かぶ。

 ユーコの戦闘装束は濃紺の羽織、背中に隠れウサギの三日月(みかづき)。その三日月からのチャクラム乱舞のエフェクトが吹き荒れた。


 対するショッツの装束は、ゴーレム素材のボーダー柄。

 対策のしようもないかと思っていたら、前面パーツを剥離(はくり)する大胆な構成に観客一同あぜん。

 ついでに本人も、あ然呆然。


「え……あっ? …って、えええっ、…なんじゃこりゃあ!」


 薄く剥離した前面パーツを後ろに持っていって、天使の翼を構成し、柔らかく羽ばたいた。ユーコでさえも驚きを隠せなかったが、ショッツ本人はそれどころではなかった。

 前面を構成していたパーツが後ろに行くということは、前にあるパーツが無くなるということ、キツネ耳とキツネの尻尾を完備したミニスカワンピだったのが、キツネ耳とキツネの尻尾を完備した腹見せ(セパレート風)ワンピース水着フレアスカート付きに変化した。

 広げたはずの翼は、程なくして、前面へと戻っていき、ミニスカワンピに戻った。


 ショッツのエフェクト終了後、一瞬遅れて、「うぉぉぉぉぉぉ!」だの「かわいい、なにあれっ!」だの「お持ち帰りしたい!」だの、おもに女性からの声が吹き荒れた。

 男性陣からの声はほぼ無い。

『み、…認めたくないものだ。わ、…若さゆえのあ、アヤマチ…。』

 などと、内面の葛藤は甚大でしたが。


「や、やってやる!」「アンタには負けない!」と、気合いは充分。

 まぁ、何はともあれ、双方の戦闘の意志を受けて、風の魔法陣が多重展開する両機。


 ユーコの自機は、光り輝く光輪のように背中にあったビーズ型パーツが、ロックを解除され、周囲の魔法陣にシャラシャラと零れ落ちていく。

 さながら、それは散弾銃のように…、いやバルカン砲のように相手の防御を削る。


「ガラスビーズがあんなに凶悪なモノとは……。」

「結界魔法、多重展開しとくよ。」

「アレを防ぐとは、彼……じゃないか、えと彼女……なのか? んんっ、どちらにしても侮れない(つか)い手だな。」

 


 風の魔法を使用しながらも、軸の回転にはいっさい影響を出さないように設計されたショッツの自機は、自らが纏う鎧の各部にボールチップを仕込んだ形状が相手からの攻撃をいなし、躱し、カウンターに利用していた。

 そのボールチップを支点にしてヤジロベエのようにバランスを取って回転回避している。攻撃しないかといえばそうではなく、ボールチップの内側にキラメク金属製の円盤スタビライザーが、ユーコの自機ナーラオーの攻撃を弾き返していた。


「相変わらず、ただでは転ばんヤツだな。コリオリのチカラも取り込んでやがる。」

 ジボの分析は、攻略のはじまりでもある。それは敵味方関係ない。

 それは、この地底世界に召喚された時から始まっている。

「ああ、確かに、ね。」


 ショッツの自機カーラオーは、どんな体勢になっても正中の姿勢を崩さない。

 常にバランスが取れている。横だろうと斜めだろうと。

 あれに勝とうとするなら、場外に出すか、破壊しかないと言われているほどに。


 あいつが黒ポーンに甘んじている理由のひとつが、自機の破壊を怖がること。

 破壊される前にリタイアしてしまうんだ。

 だけど、ここまで追い詰められたら、あいつでも逃げ場がない。


「くっ、あと一つなのに、しぶとい! 最終ロック解除。」

 ユーコの指示魔力を受けて、ナーラオーが両腕の付け根を解放する。

 ナーラオーの腕が前面で保持されていた状態から解放されると、その腕に付けていた装飾品(ギアアームレット)が多数射出されていく。

 最後に残っていたリングがガントレットとなって保持される。それにしても多くの装飾品を放出して尚、近接戦闘能力を保持する姿は、さすがにクイーンと言わざるを得ない。


 対するショッツに焦りは無い。

「ボールチップはあと一つか。破壊される箇所は指定のところだし、問題はない。次に来る大技で『はんてん』しよっか。」

 自機を愛するがゆえのリタイアをするとはいえ、あいつの分析は、カイザーに(まさ)るとも劣らない。事実、破壊される恐れの無いときは、リタイアしないのだから。

 ナーラオーの大技が炸裂した。最後のボールチップが壊され、カーラオーが引っ繰り返った。

「来た! カーラオー『はんてん』、迦楼羅(カルラ)を展開!」

 引っ繰り返ったカーラオーは、()を支点として回転し、孔雀が羽を広げるかのように新たな装備を広げた。もちろん、ボールチップは新規に展開していた。


「ああっ、心柱(しんばしら)構造かっ?」

 カイザーに驚きが走る。


 逆さまになったことにより、逆回転のコマが戦場に投下された。

「逆回転?」

 蒼くなったユーコが居た。

亀更新にもかかわらずのお付き合い、これからもよろしくおねがいします。

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