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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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学院長の苦悩

この話、無くてもとかやっぱり削ろうとか思ったのですが、無いと次に繋がらず、時間が掛かりました。そのうえ、ちょっと短いです。

 あの伝説となった年を越えるような人材を求めていたのは確かだ…………。

 確かなのだが…………。


 (わず)か数年でまた、嵐が来ようとは思わなかった。






 だが、たとえ、嵐が来ようとも我が学院の結界は破られてはならないのだ。

 そのために学院がこの地にあるのだから。


 そして、そのために剣術・魔法の両学院選抜の公式開催場にもなっている。

 学内に、冒険者ギルドをも立ち上げている。


 前回の彼らは、その出場資格を蹴って、取り憑かれたように魔法学院の結界破壊を繰り返した。前途有望な優秀な結界士は初の退学をしてしまった。

 やはり、アレが影響を及ぼしているのだろうか?




 今回の「工事」の彼が連れてきた人材は、前回と同じメンバーでありながら、どこかが明確に違っていることに気付いた。彼らならば、アレに………、期待を持とう。今は。

















 スクーワトルア国辺境より、もたらされた技術「床暖房」なる「工事」はスクーワトルア国のみならず、魔王国、タクラム・チュー皇国及び周辺国を席巻していった。


 その「工事」責任者というより彼がいなければ成立しないそれは、国の大小や貧富を問わず、常に順番待ちの状態であり、我が魔法学院でも「工事」して頂くように要請を行っていた。



 この貧富の差を問わずという順番性は、各国の貴族に対しても行われ、たとえ、貧しい平民であっても、豪奢な貴族よりも先の順番になっていることもあった。


 そして、そのこと自体が、この「工事」への公平性を高めていた。

 膨大な資金や資産よりも、有効性のある別のものでの支払いを可能にしていたからだ。


 その国にしか無い料理、魔物、物資、人材、補修のための資材。何もない国を始めた者として、どんなものであっても価値のある支払いとして受け取っていた。


 その「工事」責任者の彼は周辺国の承認を得て、僅か二歳の時にパレットリア新国国王になった。エト・セトラ・エドッコォ・パレットリアと、名を変えた。


 辺境の出身をそのまま連ねることは本来はしないが、彼の出自の変遷を伺わせるのにこれほど適したものも他に無かった。

 かのパレットリア新国は二〇年前、当時のタクラム・チュー皇国により滅ぼされたタクラム・ガン国そのものであり、エドッコォ家が統治した最後の王族だったからだ。


 彼の片腕とも言うべき人物の宰相タク・トト・トゥルの前に、利益を貪ろうとする高位の貴族や、王族たちは為す術も無くあしらわれ逆に、援助を差し出す羽目になったのは記憶に新しいところだ。



 さて学院内の「工事」をして頂くためには、その「工事」の期間はそこで過ごして頂くことが必要だった。


 数年前の不祥事で、学院の結界を強化したことで取らざるを得ない処置ではあったのだ。


「工事」責任者の彼の申請により、学院内をよく知るものたちの協力が不可欠であるという事情の元に四十二名もの「元生徒の工事関係者」を特別クラスとして受け入れることになった。

 無論、講義に出ることも受け入れた。もう一度学ぶことで何かに気付くことが出来れば……とは思っている。


 それが彼が要求したこの「魔法学院への工事代金」ともいうべき物だったからだ。

 だが、四十二名という数をわたしは不思議に感じていた。


 エテルナ・ド・レシャード、と結界挑戦部の面々。初の退学生、シュッキン・ポゥ。

 かつての因縁がそこに集中していた。


 やはり、これは………時期が来たという事なのか?


 そして今年入学される、やんごとなき方々が彼と行動を共にすることが判明し、その途轍(とてつ)もない人脈に戦慄した。


 魔王、王子二人、王女二人、彼の血縁が二人。










 「工事」責任者の彼とほぼ同年齢にあるものは、一応の試験に臨んだ。それぞれの能力は高いもので、我が学院の誇りとも言うべき、結界の硬度への挑戦でもあった。


 今年は、試験の最初は魔力量の測定であるのだが、そこで次々に破格の値をはじき出す生徒が多く、「工事」責任者の彼に相談して、結界の補強をお願いした。

 交渉の末、ある約束の履行とともにそれは成されたのだが、仕方あるまい、背に腹は替えられんのだ。「工事」のための転移魔法の使用許可を出した。




「学院長、彼の結界の他に、あと二枚はありますのでご用命の節はどうぞ。」

 と言われたときに、彼の底知れぬ何かを感じたものである。



 試験の結果、魔力量で彼は魔王と同格、全属性を保持しながらSS級の風と転移の他は未だに発露の兆しが無いという事が判明した。


 ただ、精霊魔法の講師によれば、全属性の精霊たちが従っているということだった。












 うむ、やはり、時期が来たようだ。ダンジョンから魔物の溢れる年だな。




頼むぞ、セトラ君。そして、彼の仲間たち。学院を救ってほしい。














「受けてもいいが、報酬は?」

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