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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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209, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑨ 扉の外 ①

長らく、お待たせしました。


集中豪雨の地帯の皆様にお見舞い申し上げます。




「じゃあ、グランマの地への扉を開きます。」

 ぽんこつ女神アーカイブ・ミニの言葉にチヅル=コヨミは、頷いてしまった。

「あ……ああ、分かったわ……はっ? 扉を開くって言った? ちょっ…待っ…。」


 異世界召喚という異常事態の裏にあった事実や、ボケボケな事態が彼女の頭脳さえもポンコツにしてしまったのだろう、南無南無……チ~ン。

 我に返った時には、ぽんこつ女神アーカイブ・ミニは機構を作動させてしまっていた。


「システム・オールグリーン。カタパルトデッキ、開きます(オープン)。」

 って。カタパルトデッキって……マジかぁ?

 

「え……。」と、チヅル。

「……………、ユーコ…。」と、感極まるゴルディア。

「カタパルトデッキって……。まさかここ……。」と絶句するのは、アトリ=ティア、シクロ、アーサー、そして、俺。


 旧世界未来人たちの前世を持つ俺たちは絶句していた。

 まさか、今のいままで女神の間として信じていた場所がかつて《旧世界未来》で搭乗していた俺たちの乗艦『レディアークⅡ』の格納庫だとは、思いもしなかったからだ。





「ちょっと、待て。格納庫の扉だって?」

 異世界への扉とは言わなかったことに違和感が……。

 だが、そんな違和感をものともせずに現状に復帰していない者が、ひとり。

「……………、ユーコ…。立派になって…。」

 と、感極まるゴルディア。どこを見て言っているのかな?

 確かにゴルにしてみれば、懐かしいのでしょうけどね。


「ゴル……あんたね~(怒)。」

 いい加減にしろとばかりにその背中に蹴りを入れたのは、アトリ=ティアではなく、ティア=アトリ。

 ま~、見事に体重の乗った素晴らしい蹴りですこと……。


 お……、おおお………。

「なに? 光が……。」

 聞き慣れたラッチが外れる音が大きく聞こえた後、衝撃とともに誰かの戸惑う声が聞こえて、そのまま宙に俺たちは放り出された。



 宙に放り出される瞬間、どこかでこんなことがあったという既視感を覚えた。

 母なる大地、復活した地球に向かって落下して行くという映像に身体が震えていた。

 ただ、前回と違うのは、本当の意味で流れ星になってしまったことだろうか?


「アトリー、わたし、守るから。」

 そう告げたのは、チャー。地球に落下して行くメンバーの中から、アトリ=ティアをその大きな翼で包み込んだ。

 他の者たちは声もなく、現在(・・)の地球の姿に見入っていた。

 当時でも(じか)に見た者はまだまだ少ない時代。

 懐かしくも、巨大な世界に畏怖の念を抱いていたのかもしれない。




 前回…(えっと前世?)と違って大気圏落下の引き金を引いたのは、俺ではなかったのだけれども生身で宇宙空間に放り出される感覚には慣れそうにもなかった。

 などと、冷静に突っ込んでいられるほど俺も穏やかではなかったのは事実。

 でも、勇者召喚などと言うイベントで、途中で死亡するなどということはなかなか起きない。

 そんなことになれば、エネルギー保存の法則が歪んで二つの時空間に壊滅的な事象が発生してしまう。ゆえに、俺たちには、この時点で何らかの加護か、状態保存の何かが発生しているはずなのだ。それが、なに?なのかは俺も知らないが。



 なおも近くなる地球の表面が視界に収まりきらなくなった頃、前方に黒い点が発生し、急速に拡大していく……って、猿の冒険活劇に出てくるヒョウタンに吸い込まれていくようでちょっと微妙だ。


 その黒い面が拡大し、やがて通過した。

「ネットリしてて、クモの巣みたいな感触~。」とか、「ギャー、なに今のコンニャク?」などと、周りから聞こえてくる感想は、まるで祭りのお化け屋敷の様相を呈していた。


 ……楽しそうだな、おまいら。

 そう思っている内にドサドサっと床に俺たちは転がった。

()って~、俺の上に乗っている奴ら、さっさと下りろよ!」

 何の因果(いんが)が働いたのか、俺を一番下に敷いて、仲間たちが積み重なった。





「……あいてて。いったい何が。…?」

「か、体が、片手が麻痺してる? な、何で?」


 召喚の扉を開けようとして、扉の付いている壁ごとひっくり返るという大どんでん返しに、意表を突かれた。ぽんこつ女神にな!

 そして、俺たちは異世界の勇者召喚の間に張られた多重展開されていた罠のど真ん中に落っこちてしまった。

 とたんに作動したのは、設置されていた魔法のトラバサミにガチンと何かが切られた。

 って、何が……。

「今、何か……?」


「ようこそ、勇者の皆様方。わがリューグへ」

お見舞いかたがた、一言申し上げる。


イワシの頭も信心から。


かつては、テレビも、飛行機も、ロボットもAIもロケットも携帯電話も、空想小説の中の空想物に過ぎなかった。その空想を現実にしてきたのは、「絶対に出来ると信じたから」。




俺、セトラの魔法は気象魔法。左手の平を心臓の高さで上に向けて空にかざし、右手は人差し指を立てて反時計方向に回す。そして、口にするは、「雨よ、晴れよ。」

俺のことを書いている十二支背虎氏も、雨の時には実行しているらしい。

俺の住む地域は常に雨不足だから、ステアに送ってくれてもいいぞ。「雨よ、ステアに向かえ。」とでも、詠唱してくれ。

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