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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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26, 結界士と、結界破壊魔法の対抗戦 5-魔法とは

今日は休みだったので頑張りました。

ようやく、次話で結界とケンカします。

「そう出来ていた。思いもよらない形で魔法は成った。」


 その言葉に、宰相、王子、皇帝、公子、そして魔王が頷いた。

「「「「「「その魔法は三年間保持(ほじ)され、二年前にやっと終息した。」」」」」

 俺を含めた六人が、口を揃えて話した。


「君たちの集団魔法は、規模が大きすぎて局地的な結界破壊には向いていなかった、ということだ。ルナから聞いているが詠唱は『風よ、彼方より集いて風の渦を成し、我らが敵に打ちかからん。ウィンド・ストーム』で、良かったかな?」


「うん、そうだったー」「そんなんだったー」とかの声が多かった。

 ほぼ全員が頷いている。

「そうか……。君たちは優秀な魔法士であると聞いているが、その力はどんなものかとか、何を成立させているかとか知っているかい。ああ、ディノ。黒石版を出してくれるかな?」


 その言葉が終わらないうちにいま居る広間の壁に黒い大きな石版が出てきた。

 俺たちの世界に昔あった黒板(こくばん)と呼ばれるものを再現したものだ。

 そこに貝を熱によって破砕し、油脂を含む粘土で()ねて乾燥させたもので文字を書いていく。そこに【魔法とは】と書き、みんなの言葉を待つ。


「俺はまだ、この世界の魔法の理屈は知らない(・・・・)。だから、教えてくれないか? 魔法とはどんな力なのか? ということを。」


 転移を使い、途中で四〇人もの荷重がかかったのに、目的地にぴったりと着けたその俺が、この世界の魔法は知らないと言っていることに何人かが、驚きの声を上げる。

「ウソっ?」「あり得ない……」「魔法を知らな……い?」「そ、そんな馬鹿な?」


 侃々(かんかん)諤々(がくがく)の言葉が飛び交う中、その中で二人だけ、俺の言葉に敏感に気付いた者がいる。

 それには、俺も驚いた。


「ちょ、ちょっと待って。みんな静かにしてくれない?」

 その言葉に話し合う言葉のトーンが落ちる。


 何人かが集まり、なにやら話し合っている。

「うん、レイ、変だよ、どう考えても……」「本当なの? それ。」「………、マジ?」などと何か、ボソボソと話し合っているなとは思った。


 やがて、その囁きのようなものが広がるにつれ、広間は静まりかえっていく。

 静まりかえった広間に平然と立つ俺に疑惑と期待の目が集中する。


「セトラ君、ちょっと聞いてもいいかな?」

「あ、何かな?」

「君、さっき言ったよね? 「まだ、この世界(・・・・)の魔法の理屈は知らない」って。君の知っている世界の魔法で君の転移が成り立っているという事なんでしょう?」


 おお、そこまで気付いたか? 嬉しかったねぇ。

「まぁ、そういうことだね。でも、そこに答えがあるよね? 魔法とは何なのかって、この世界ではどういうものなのかな? レイ、()いてもいいかな?」


「あなたの知っている魔法の理屈は、私たちの魔法の理屈ではないかも知れないけど、私たちの知っている魔法は、言葉には力があって、世界の(ことわり)をそれによって動かしているというものだよ」 

 うんうんと(うなず)く者多数、少数が首を(ひね)っている。


「お、どうやら違う意見の人がいるみたいだ、何で違うの?」

 その少数は五人ほど。彼らは国に定住せず、狩りなどを行って一年中移動して回っている民の出身だ。なるほど、ね。風の民の五人。ツォーリゥ・ヤギ、ヅン・ツタニ、ヤースォ・トウタ、カォル・ダナガ、カァル・ダサァ。


「俺たちは、学院入るまで年がら年中移動する生活してたから、言葉の力も知っているけど、風の精霊にも感謝を捧げている。だから、みんなとはちょっと、違う。効きも効果も詠唱も。微妙に違う」

 そうか、こいつらのお陰(せい)で保持が効いたんだな。


「うん、分かったよ。教えてくれてありがとう、近々、魔法学院に行くだろうけど、学ぶことが大いにあるな。しかし、シュッキン・ポゥ、退学とは、勿体(もったい)ないことをしたな。まあ、学ぶことがなくなったらさっさと出てこよう。しかし、君たちのどれとも違う魔法形態だな、俺のは。」


 俺のその言葉を聞いて、少数派を見下(みくだ)していた連中が目を()く。

「「「「えっ? マジで?」」」」


「ああ、マジで。ただ、ルナから聞いた結界破壊魔法の詠唱だが、何を想像して創ったんだろうか、誰が詠唱を考えたんだ?」


「ルナよ。」


「詠唱は『風よ、彼方より集いて風の渦を成し、我らが敵に打ちかからん。ウィンド・ストーム』だったよな。ちょっと解読してみるか? ルナ、よろしく。」


「あの時、魔法に対しての理解を固める上で、解釈つきで説明したのを繰り返すわね。」

 みんなが頷く。

 風はあまねく風を意味し、彼方よりは距離を稼ぐことで破壊力を増し、風の渦は最終的な形状、我らが敵には結界のつもりだったはず。ウィンド・ストームはこの魔法に対するトリガー・ネーム。


「では、俺たちのこの魔法に対する見解を述べるとしよう。既にここにいる六人で検証済みだ。ああ、使った結界はシュッキン・ポゥが構成した。なかなかの堅さだったぞ、シュッキン・ポゥ。」

 俺が褒めると彼は笑って言った。

「ありがとうございます。気象魔法士(ウェザード)の老師。」

 その、変わりようにまた、目を剥く彼らにシュッキン・ポゥはウィンクしていた。


「え? 気象魔法士(ウェザード)? …どこかで………」

 イクヨが何かに気付いたようだな。


「さて、検証した結果、その魔法の効果は絶大だった。現実に構成して、魔力をつぎ込んだ君たちが失敗したと考えても無理はないほどに広範囲に、そして、長期間にその影響力はあった。 「彼方より」の距離が広い平原を知っているものとそうで無いものの差により変化し、「我らが敵」にはその頃、侵略戦争を仕掛けていた火の国に無意識に設定された。トリガーのウィンド・ストームは嵐を意味し、君たちが思ったものとはかけ離れてしまった。」


「結果として、超遠距離から風が回り集う熱風の嵐になってしまったことで、五年前に発動し、ゆっくりとその輪を縮めながら学院に向かっていた。火の国(ザンソル)を討つ手助けとなったが、それは雨を追放してしまった。この辺りの火の国と争っていた国々は元より……、他にも渇水(かっすい)の危機に陥った国々は多数ある。知らなかったとは言え、君たちの魔法が呼び込んだことは間違いない。その国々に対して、弁明が出来るかね?」


「今、俺たちが気付いたように、周辺の国でも気付きつつある。だって、君たちの残したガルバドスン魔法学院での伝説は有名で、唯一(・・)失敗した後は誰も結界破壊魔法の術はしないし、覇気もない。その日その日をやっと過ごしているような状態。ルナでさえ、膨大な魔法力があるというのに、拉致られてそのまま、日々を過ごしている。学院の結界を破ろうとした者がシュッキン・ポゥの結界に挑戦したという風聞も聞かない。絶対に何か有ったんだと、気づき始めている。」


「今回のこれは、各国の(うみ)を取り除くことにも繋がったようだ。この膿の効果的な使い方を我々六人は探している。君たちがその熱意で動かしてくれるのなら、いくらでも力になろうとは思っている。君たちのその熱意が間違っていなければ、ね。」


「君たちの魔法の結果の「熱風」を沈静してくれた「雨」のようにね。」


「まずは俺から、正式に自己紹介しようと思う。前世の江戸(エト)世虎(セトラ)で有ることは知っているだろう? 今はエト・セトラ・エドッコォ。各種転移魔法を復活させた。この場から逃げようと画策してもいい……、俺より速く逃げられるのならな。そして、シュッキン・ポゥが言っていたように俺は、初等科(エレメンタリー)から気象魔法士(ウェザード)だよ。」


「私は魔王のサンサイド・シャイナー。初代地球連邦主席だ。そこにいるイクヨは、私にインタビューをしに来たことが有るな。『あの虹を見て、どう思いましたか?』だったか? 私は答えたはずだな? 気象魔法士(ウェザード)仕業(しわざ)だよってね」

 シャイナーが話し終わった。


 ああ、あの時のことか? そうだったのかと思い、イクヨを見てみると真っ青になっていた。そうだったんだな……、南無南無。


「次は私か、タク・トト・トゥル。ルナの父親だ、ルナのことは、彼らから聞いた。そういう存在で有るという事も。全部含めて、な。スクーワトルアの宰相を務めていた。ルナの一件が片付いてから、今後を決めるつもりだが、影響力はそれなりに持っているつもりだ。」

 今、不在のスクーワトルアでは第一王子がその重責を担っているという事だ。


「そのスクーワトルアの王子ヒリュキ・サト・スクーワトルア。前世はヒリュキ・サトー。二代目の地球連邦主席をやっていた。私のところにも、イクヨは来たな、気象魔法士(ウェザード)仕業(しわざ)だよって、答えた覚えが有るよ。」

 そう、二人が言った名言集からは消えているが。魔法みたいな奇跡とも書かれたっけ。


 イクヨの顔から血の気が総動員で下に下がった。卒倒寸前だ。


「タクラム・チュー皇国皇帝シャッカン・ポゥ、前世の話で言うなら三代目の地球連邦主席だ。そう、言うのならな。だが、懐かしいな、お前たち。交換留学で世話になったな、村田・ラムダ・ポゥだよ。」


「タクラム・チュー皇国公子シュッキン・ポゥ、前世の話で言うなら四代目の地球連邦主席だ。そう、言うのならな。だが、本来の責務を果たせなかったのは私も一緒だよ。前世でも今回も、な。だから、繰り返したくないのだよ、やれる力があるのなら。全力でやる。今回はそうなんだと、今は思っている。思わせてくれる気象魔法士(ウェザード)の老師とともに。」


「……、気象魔法士(ウェザード)。実在していたんだ! 憧れていたんだよ、わたし!」

 思い切り、憧れの瞳で見られて、なんか凄ぇハズい。


「というわけで、君たちの魔法をパレットリア新国の城に思い切りぶつけて貰いたい。あそこは俺の国の城になる。むやみやたらと壊れないようにシュッキン・ポゥも結界を張るが君たちの力を近隣の国々に見せつけてやりたまえ。今までのような職には戻れなくなるがね。出来ないという事になれば、近隣の国々、ああ、君たちの所属している国々もそうだけど、賠償責任は生じるので、よろしくな」


「逃げ場ねぇー、ならやるしかねぇ」「あれ、でもまた熱風の嵐になったりしたら、どうするの?」「あ、ほんとだ。それでも全開でやっていいのか?」


「今のお前たちの魔法でどうにかなるようなヤワな結界じゃない。それでも、暴走が起きたら、雨が降るだろうさ。全力出せるものならな。」


 そう言われた彼らの顔が全然違って見えた。今のお前らのその顔のどこに弱気が宿っていたんだろうか? ね。

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