不等価時間と、等価な時間軸
「自爆? ウソでしょう! 私たちって、悪役怪人なの?」
スクーリンの中の少女は『自爆』という言葉に、わたわたしていた。
どんなキャラ付けしているんだろう……。
頭痛が痛い……。
「ひらけ! ゴーレム!」
しょうがないかと、こちらから起動の言葉を告げた。
あちらのティアの痴態は、俺の周りのヒト族にとっては目の毒というか、嫁たちにとっても自分たちがその時どうだったのかの状態を思い出させるようで、赤面しきり。
モヂモヂしている嫁たちを尻目に、スクーリンの向こう側に見慣れたゴーレムハウス、もといゴーレム倉庫がサイコロ展開した。
屋根が出来ると同時に彼女たちの、ンンンな音声がシャットアウトした。
閉じる瞬間にティアに縋り付かれたチヅルが発した、あーーな音声もありました。
「あっ、んんぅ…。手?、ティア……、ダメっ! あぅ! ……。」
なまじ聞こえるから、妄想がかき立てられてしまいます。
本当に、耳に毒です。
仕方ないので、落ち着くまでは密閉状態を維持。
宇宙空間での使用は考えていませんが、生命維持装置類は完備しています。
だから、たとえ密閉状態になっても物理的に死ぬようなことにはなりません。
精神的にアレな状態だとしてもね。
あとは、飢餓渇水状態にならないように飲む点滴と、ドラゴン丼を常備している、飲む点滴に関してはグレードの高いものを用意しているので間接的な感染だとしても一・五カップから二カップは堅いと思います。成長の止まった段階からのそれなので。
俺の嫁たちに関しては、成長期の途中でこれからも……、ぐふふ。こほん。
ドラゴン丼は、今回の竜宮の島でのパンデミックで発覚した最強の料理だったりする。ゴーレム倉庫には圧縮加工して、詰めてある。
ほかにも、シャイナーとヒリュキの中のヒトからの情報として得られたのは、鬼人族に付きものの角の問題。服を調達するための対価として、この角の問題を解決しようとしたのだ。すでにパレットリアで生産され、大陸中に広がりつつアレを利用できないかという流れになった。
「俺の家族の中でも一本角から四本角まで多々居るのだが、清楚の少女に限って超立派な角を持っていたりするから、俺たちの種族の悩みの種なんだよ。」
という形で相談を持ちかけられ、今回のゴーレム倉庫にサンプルとして、彼の残してきた家族用に用意していた。
それは、「イヌミミは≠ネコミミ?カチューシャ」である。
名指しで、それぞれ個人別に包み使用法を書いてある。
コレにチヅルが食いつくかは、彼女の『地平線女神の希望』の症状が緩和次第連絡が入るものと思う。
コヨミがチヅルに、アトリがティアに送ったものである。
これが、主な貿易の商品として、地球からの主力商品となることになるとは、その時には思っていなかった。地球では、鬼人族のファッションアイテムとして蔓延することになる。その名も「……≠ネコミミ?カチューシャ《角隠しver》」として。
結果として、二カップほど急成長した彼女たちの胸部装甲は、Nスーツのデータ更新が必要になった。というか、弾けてしまったのだ。こちらのシュガーたちと同じように。
Nスーツのその部分に必要な強度を求めるために、ゴーレム倉庫から探し出した有り合わせの魔テリアルを使用し改良した。
彼女たちの改良Nスーツの立ち姿は自信に溢れるものであったことを追記しておこう。
ちなみに追加した魔テリアルは、ゴーレム倉庫の内壁の一部と、カチューシャの中にいたスライムの核であった。周辺の魔素を吸収していたカチューシャの中には、超小型のスライムが異常増殖していたらしい。
そのデータは、彼女たちの所属先のゾーディアクにも届けられている。
異常な感染力を持つ風土病感染の結果、必要なNスーツの改良データとして、データベースに載せられている。




