197, ダンジョンで、……攻略は、二十七階へ ⑩ 天の社
少々、短いです。
南風の社に東風の社、西風の社と北風の社の中心に存在する天の社に於いて、騒ぎが起こっていた。
「て、天姫様、どちらに行かれますかー?」
彼女が取得できた称号はおとひめが無く天姫というものだった。
それは、すでに取得済みの者が居るという事になる。
その者からの移譲が無ければ取得は出来ない。
「風の精霊たちが引っ張っていくのよぉ。『地平線女神の希望』が来ているって言うの。わたしの残念が治るって………、ちょっと、残念って何なの!?」
天姫の言葉に、周囲からは納得の視線がその残念な場所に飛んだ。
だが、その残念が治るとはいったい、どういう事なのかと首を捻らざるを得ない。
もし、それが本当だとしたら、天姫様と同じ残念を抱えている者にとっては朗報ではないのか?
そう気付いたのは、天姫に使えるようになって三年の神官長カヒコ・トゥ・サワダである。だが、本当に……。治るのか? というか、これは治るという事柄なのか?
その現実を確認しなければなるまい。
「駕籠を持て! 天姫様を彼の社にお送りするのだ。わたしも行く。この御社は封鎖。希望を胸に宿すのだ! 望む者たちはついてまいれ。」
「『地平線女神の希望』を我らに!」
「我らの希望を胸に!」
天姫の社から出た駕籠、その数は優に百に届き、その駕籠の後ろに続く者は数百名を数えた。いま、各社はパニックの様相を呈し、竜宮としての国の機能は一時的に麻痺していた。
「『地平線女神の希望』を我らに!」
「我らの希望を胸に!」
精霊たちとの親和性の高さがこの事態を引き起こしたともいえるが、キャリアーである彼にとっての苦行は……終わりを見せない…orz
「『地平線女神の希望』を我らに!」
「我らの希望を胸に!」
「『地平線女神の希望』を我らに!」
「我らの希望を胸に!」
「こ、こんな、モテ期は、いらない………orz」
ショッツは、休む暇もなく次から次へと握手していく。
握手し終わった人々は、甘酒の配給所に行き、三〇〇鈴を納めて四〇セチくらいの竹筒を二本貰い、休憩所に併設された診療所で願いを込めて一気飲みしていく。
豪の者は何度も往復していた。
その度に一本に付き、三〇〇鈴を納めるのだが、一向にその人数は減らない。
それだけ、残念に対しての希望が大きかったと言うことなのだろうと思っていた。
だが、詳細に聞き取りをしてみれば、この島では、度数の強い酒が流行っており、甘酒というのは造られていなかった。
飲んべの島に、ニンジンぶら下げてしまったという結果………orz。
「くっ、計算ミスったぁ!」
俺は甘酒造りにゴーレムハウスやらゴーレム鉄板やらをフル稼働させている。
俺は、甘酒の匂いにやられて、ふらふら。パタン、キュ~。
「今度わたしの番ね。」
気が付いたら、コヨミに抱き枕にされていました。




