193, ダンジョンで、……攻略は、二十七階へ ⑥ 南風の社
「でも、それならキミだって、同じだよね、マリ? 鍛冶の神様の僕?」
「ライトンは空の神様の使い魔でトリケラは水の神様の僕って言ったっけ。」
七体の従魔たちの織りなす空間障壁を下から、それぞれのあるじたちがそれを見守る。
それぞれの社から、みんなの魔力が魔法となって集っていく。
「んっ! 風が……。」
風に煽られて翻った髪の毛を、慌てて抑えたプ・リウスとリメラの姉妹。
「ふぅん……、この風は、ユージュね。」
通り過ぎていった風の言葉に聞き耳を立てたリウスが、ポツリとこぼした。
「そうですね、この社もそうだけど、どうやら同じ系統の魔法士で出る門が変わっているようですわ。」
ここに集っているのが、プ・リウス、リメラの姉妹、レイ・コイトー、ジュウン・コイズパル、ロパラ・パロア、水竜のホシィク・ミズヌゥム、カズィヨ・ミームルァという面々と、モフモフ代表の雪狼たち。
女性が多く集っている中、どうにも居心地悪そうにしているのが、ショッツ・シャンシ。
モフモフ代表の雪狼たちも、ほぼメスで構成されており、オス達はそれぞれのあるじたちの元に行ってしまった。
それに何にしろ彼の相方は、その雪狼たちのボスのジョンの妹のメリーだ。
そして、一番大事なことだが、彼がセトラの知り合いと言うことは、ここに居る面々とも、以前から知り合いだと言うことだ。
何故、この面子なのかもショッツは理解し始めていた。
水や光の魔法が得意で、癒やしの魔法を多用することの多い魔法士達だ。
「ただなぁ……、ハァ。男は俺だけかよ………orz」
そう言って人知れずため息をつく。
手触りの良いメリーの毛並みをモフモフするのみである。
「それにしてもここって、何の社なんだろう?」
門扉を開けて出て来たものの、お供え物っぽいものは置いてあるのに、誰もいないんだよな。ただ分かるのは、これが他の社でも起きているって事は、この国は相当な干魃になっていると言うことだ。
それこそ、砂漠並みだろう。
いや、七年前のあの事件かもしれない。
そして、ユージュ様が、風を呼んだと……。
セトラが天気を変えられるのは知っていたから、大丈夫だろ。
「ねぇ…、ショッツ。ショッツってば!」
考え事の最中に掛けられる言葉くらい驚くものは無い。
「わっ! な、なんだレイかよ。驚かすな、あ~びっくりした。」
「なんだじゃないでしょう? 何回も呼んだのに。これからどうするつもりなの?」
「どうするったって、どうするよ。って言うか、何で俺に聞く?」
「あなた、男でしょう!」
懐かしい光景だ、食って掛かられるのは。
でもまあ、仕方ないよね。
方策を探すために、考え込んでいたけど少し回転を速くしようか。
彼女たちに怒られる前に、ね。
で、辺りを見回していると、わらを被った物体に気が付いた。
「これって、酒樽なんじゃないのかな? 神前酒……か?」
わらを取ろうとした瞬間だった。
「そこな者、それに手を出すではない。神前酒じゃ! 禊ぎもせぬ者がおいそれと触ってよいものじゃないのでな。」
その言葉を掛けてきた者は、ちみっこい子でおかっぱ頭で着物っぽい服をお召しの方だった。
「ここは南風の社、稲作と神酒の神を祀っておる。お初にお目に掛かる水竜殿、この社と一帯を任されておる、ユーイ・イナ・モーリと申す者、よろしく頼みます。」
そう、ちょっと成長したような座敷童が、ボンキュッボンのダイナマイトボディを持つ水竜殿への挨拶をしていた。
その水竜殿は、イイ笑顔で、ショッツを見ていた。
「その男が責任者だ。頼んだぞ、ショッツ。」
ちぇ、逃げようかな。そう、思った矢先にレイの発動した第三の手で、襟首を捕まえられました。
「逃がしませんよ。ふふふふ…。」
背筋が凍ったショッツでした。




