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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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191, ダンジョンで、……攻略は、二十七階へ ④ 雨が意

冬将軍の進軍に悩んでいる人たちに、贈りましょう。

柿の種でも食べながら、ご一緒に。

「あした、天気になぁれ!」

「ガゥル殿、聞いても良いかな?」

 俺は、ここをしばらくの根城にすることに決めたが、聞きたいことがあることに気が付いた。


「何でござろうか?」

 打てば響くような返しが来た。


「アマガミの社で祈祷を執り行うはずのこの場所で俺たちが逗留するのに必要な食糧はあるのかなということなのだけど。」

「は……、何のことでしょうかな?」

 ガゥルが呆ける。

「だって今、雨乞いをしようとしていたんじゃ無いのか? そのために、風の流れを読ませていたんだろう?」

 そう言って、軽く握って人差し指を立てた拳を上に向けた。


 その言葉と動作に周りのメンツが慌ててそれを確認する。

「あ~、居るねぇ。」

 とは、アトリの言。

 だけど、「風を読ませる」とか「雨乞い」とかの言葉に反応したイクヨが、見えないようで声を上げ始めた。

「え~、どこにいるの? どこどこぉ?」

「あ~、確かに。見つけづらいものをよくもまぁ。」

 ウェーキは呟き、コヨミは同意して頷いていた。

「イクヨ、あなたの真上。細い糸が見えない? ソレよ。」

 アトリの的確な指示に、イクヨも気付いたようです。

「え~、……アレ? ……セトラ君、よく見つけたねぇ。」

「さっきから、ルゥとチャァーに向けて鳥たちからの挨拶が入っているんだ。頭上の愚か者をどうしようかと問い合わせが入ってきているんだよ。」


「アレを見破られるとは……。……それにしても、ルゥとチャァーですか。神話の中の神獣の名をお持ちとは。」

 茫然自失のガゥル。

 そりゃ……、ねぇ。元の形を知っていれば、透けて見えるよ?

 細い金糸が、本当に細く細く(なび)いているんだもの。

「それに、これは雨乞いの儀式のために用意した供え物だろう?」


 開け放った門の前に積み上げられた、モーリの人たちが用意したもの。


 なけなしの米、あわ、ひえ、どぶろく。それらが山盛りになっていた。

 そして、金紙。

 この儀式のあとで、神前に饗されたものとして振る舞うものなのだろう。

 その方向性は間違っちゃいないが、『彼ら』の求めるものは別のことだ。


 『彼ら』は、実はカレーが好きだ。

 う~ん、いやちょっと違うか。

 『彼ら』は基本、ブルーで表現される。ブルーの保護()に、惹かれる。

 つまりは黄色系。


 だから、金紙は正解。だけど、『彼ら』にとっては不正解。


 だって、コヨミの相方であるのは『雨くん』だが、中に住んでいるチヅルの相方はフェニックたち。水と火が同居している、本当にレアなケース。

 『彼ら』が、ソレを望んでいるからこその同居なのだし、現実だ。

 どちらも、コヨミが作るソレを楽しみにしているのは、今までの行動で明白なのだ。

 彼女が作り、一口目を口にする時、『雨くん』もフェニックたちもコヨミとチヅルの存在に重なるのだから。


「あなた方の来訪で祈祷する機会は失われました。雨乞いは明日あらためて行います。」

 ガゥルの言葉に俺は異を唱えた。


「この島の社がいくつあるのかは知らないが、全島で統一して行うのなら期日は変えない方が良いぞ。………風が、集まってきている……あいつか? ガゥル、済まないな、借りるぞ。マリ! ネットワークを構築しろ!」

「な、なにを? 何故、あいつの名を知っている?」

 風が『良い』方向から来ていた。呼んだのは、どうやらユージュ。

「いい風……、呼んだのはユージュ? ……そうね、手伝うわ。」

 そして、風信が届いたようでイクヨが呼応した。

 全島のネットワークに参加したのは、マリ、ライトン、そして、トリケラ、その背中にシャンマタが負ぶさっていた。

 俺たちの元からも、羽ばたきもせずに、ルゥとチャァー、フェニックが飛び立った。


「何故……か。………仲間だからだ。」

 俺の答えにガゥルが驚きに目を瞠る。

「な、仲間?」

「そう、仲間だ。アイツらも、俺たちもな。」

 そう答えた俺は、一メル四方くらいのゴーレムボックスを取り出して漏斗をぶっ差した。

「そ、その箱は?」

 見慣れない箱に驚くガゥルを尻目に、社の中央に設置した。

「俺たちの秘密兵器さ。まずはとくとご覧じろってね。」


「「「「「「マリ。久し振りだね。」」」」」」

「み、みんな……。」

「マリ、あるじ様に同調するよ。気を付けてね。」

「さっき、ぼくの名前を呼んでくれたヒト?」

「そうだよ。私の守護者さまさ。」

「ル、ルゥの守護者? まさか……彼?」


 上空での会話は、経路を通じて聞こえていた。

 それは、目の前の彼も同じことのようで、どんどん顔色が悪くなってきた。

「もしかして、あなたは……。」

 そう、喘ぐように言ってきた時、上空でとどめを放っていた。

「そう、彼。遙かな昔に、太陽(アマ)(ガミ)を拝命した彼だよ。」

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