190, ダンジョンで、……攻略は、二十七階へ ③ アマガミ
お待たせしました。ちょっと短いですが、次への布石と言うことで。
「おお、アマガミ様のやしろが開かれるぞ!」
「アマガミ様っ!」「アマガミ様っ!」「アマガミ様っ!」
どういうこと?
ふと、横にトテトテと歩み寄ってきた存在に気が付いた。
ドラ吉とギンが、目の前にそそり立つ立派な体格のドラゴンの銅像を見上げて凍っていました。
『『な、なんでココに……。』』
呆然と。
『『竜宮の島、モーリとは…。』』
愕然と。
『『アマガミのやしろ……なのか?』』
慄然と。
「アマガミ? どんな意味なんだ?」
「この島は雨が少ない。どうしても雨が必要な時に、このアマガミのやしろに供え物をして祈るんだ。ここは、雨乞いの儀式を執り成す社なんだ。」
ここで普通に返してきた豪の者がいた。俺たちの出て来た門の目の前に烏帽子らしき被り物と、荘厳なイメージを持たせる地球の神職の銀糸を織りなした服を身に纏っている男だった。
「へぇ、アマガミって雨の神様なのか。俺たちにとっても馴染みの深いお社だな。」
感嘆の想いとともに目の前の男に言葉を返すと、その男は静かに眼差しをこちらに向けた。同時に、集まっていた民衆たちがその男の言葉を聞こうとし、静かになる。
「いえアマガミとは、この島の古き言葉で『天の神』と『雨の神』の二つを冠しています。さて、アマガミの社に降臨された方々よ、この竜宮の島モーリの代表の一人として歓迎致します。海の鎮守を託されし者ガゥル・サキ・モーリの名において。なにしろ、あなた方はドラゴンの系譜をお連れだ。この島の成り立ちの始め頃からドラゴンは、この島の守り神であった。女王を選定するのも彼らであった。だが、ここ最近、めっきり彼らの訪問は無い。民も不安に駆られていたその矢先のご降臨。しばらく、ゆるりと逗留されるがよいでしょう。」
また、妙なことになったものだ。ガゥルの言葉には、うそは無い。何か隠しては居るようなのだが、それはこちらとて、同じ。
俺は、ここに一緒に来た面々と目を見交わし、頷き合った。すでに想転移が無くても相当の確率で意思疎通が可能になっていた。
無駄に、長逗留を進められないためにガゥル釘を刺しておく。
「他のみんなともはぐれたままなのは、今後に差し支える。それに、いまは学生で修行中の身、早急に連絡を取り合い、次の場所へと向かわなければならない。あまり、遅くなると捜索隊の派遣があるかも知れない。が、いまひととき世話になろうか、みんなもいいかい?」
「そうね、最終試験に間に合わなければ、これまでの成果が無駄になりますもの。コヨミもそれでいいかしら? あなたとわたしの恋の行方も。」
少々意味深にしておくのがベスト。後は相手が忖度してくれるだろうさ。
「なるほど、なかなか難しい立場の方々なのだな。ひとまずは疲れをとってくだされ。では、こちらに。………、年端もいかない者たちのように見えて、なかなか……ふふふ。」
こちらの意図に気付きながらも、利用する気満々とは、さすがに亀の甲より年の功と言ったところか。」
独り言ちて、俺とコヨミ、アトリ、ルウとチャァー、フェニックたち、ゲンブとギン、ドラ吉、ドラ子、ウェーキと、イクヨは、しばらくの逗留を決めた。
あとは想転移で繋げてみるとしようか?
余計なところには、傍受されないようにしないと、作戦が漏れるからな。
空に、光学迷彩をした何かが浮かんでいるのだ。ガゥルが彼なら、当然、その相方だろうが、ね。




