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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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186, ダンジョンで、……攻略は、二十六階へ ⑰ 拒絶

「…という訳だ、ミント。今回の結婚とコロニー管理の任務は君たちの船を分解整備(オーバーホール)するには打って付けだったようだね。今のパロアとの会話を聞いていて理解できたかな? もし、階段の障壁を解除しても、その向こうがエネルギー切れを起こしていたんだ……、動く訳は無いはずだよね? そして、そのまま無理な機動や作戦を行っていれば、最悪なケースなら空()分解していたはずさ……、二機ともにね。」


「く、空()分…ん解…。そんな…。俺たちだけでなく、ジェリィたちも…なのか? うそだろ……。」

 ミントが頭を抱えるその横でソルトは腕組みをしていた。

「確かに危険な状態であったことは理解しました。ですが、あなたがぼくに話したい事というのは別にあるという事でいいですか?」

 ソルトの言葉に俺は頷く。


「そうだね、あるよ。キミはこのフルメンバーで動く時に、何を基準に作戦を立てているのかな。その基準がもう少しシビアだったら、俺たちもこんなには、自由度がなかったさ。唐突な痴話ゲンカ、目の前での乱闘、そののちに、麻痺させる作戦。良い意味で虚を突かれたよ。ドラゴンと戦う事が出来るくらいの高度な作戦。クッキィという少女の実に(おとこ)らしい行動には、こちらは仲間割れ寸前まで行った。」


 そう感想を述べると、コヨミと話し始めていたクッキィという少女が顔を赤らめた。

「す、すいません。その光景は、忘れてくださると、非常にうれしいです!」

 やや早口でクッキィが弁解する。


 すると、尻馬に乗っかったのは、コヨミ。

「そうね。是非とも記憶から消し去ってあげたいところよ。ね、セトラ君?」

 ツノが見えそうなくらいの笑顔で、俺を見てくる。


「ま、前向きに善処します。」

 としか、言えませんでした。だって……、衝撃の映像だったもの…。

 焼き付いたから、俺的には消したいのだが、しばらくは消えないと思う。


 まぁ、かくいう俺としても、騒動のタネになることは避けたい。

 それに、俺に関わりのある人物だし、仮にも()であった者のそれ(・・)は、ハッキリ言って精神的にキツいものがある。

 だからこそ、その計画を取り纏めて実行した者には、一言言いたい!


「アレは苦肉の策ですよ。あなたたちの虚を突かなければ、あんな作戦は成功しなかった。ぼくにはあなたたちを扉越しに感じた時に、あなたたちの存在情報圧が高すぎて作戦の是非を見通せなかったんです。」

 ソルトは、彼の従魔であるメビュースを提示しながら、そのスキルを明かした。


「このメビュースは、信じられないかもしれませんが卵から生まれました。ぼくの中から発生した卵です。このメビュースの能力は鏡。そして、無限増殖。【合わせ鏡】という増殖スキルの中の時間魔法を映像の一コマとして感じるのです。たくさんの一コマの中にあなたがフリーズしていた瞬間があったのです。目の前に彼女がいて、ぼくが倒されていた……、あのカカト落としで(笑) だから、彼女にお願いしたんです。」

 それは、誠実さを匂わせたつもりの明らかな自分擁護の弁明だった。


 彼らを、導くことの出来なかった過去は俺たちにもどうしようもないことだけど、今これからでも変わって貰わなければ。この星ではいくつ命があっても足りなくなる。

 彼らがかつて住んでいた頃とは別の星に成り代わっているのだから。

 【(セトラ)】が、そうしてしまった。



「うん、君たちが伝えたいことは分かった。俺たちからも伝えたいことがある。」

 居住まいを正した俺を見て、ソルトは何かを感じたのか身構えたようだった。


「な、何をですか?」

「そう焦らないで。召喚する。捜転移(サテスタ)! コヨミ、アトリ、シャンマタ、シクロ、アーサ、我の元に!」


 一瞬の後に、四人と一匹が集う。

 俺と四人の嫁とアーサは視線を交わし、そして、頷く。


「「「「「召喚(コール)! われの従魔よ! わが元へ来たれ!」」」」」

 その言葉は、魔法ではない。だが、命と命の繋がりの言葉。

 その従魔(モノ)たち五体、光となって俺と俺の嫁四人の元に集った。


「「「「「まかり越しました。我があるじ!」」」」」

 そこには、鳳凰のルゥとチャァー、フェニックス、ライトン、トリケラがシャンマタと共に顕現した。共にしっかりとしたヒト語を話していた。


「「「「「「マジ……? 使い魔じゃなくて従魔? でも、その情報圧は……。」」」」」」

 六人とも絶句していたね。無理もないことだけど、ね。


「さて、ご覧の通り、俺たちは彼らと従魔として契約(・・)している。誰がどれとの契約かは見ての通り。それがかつての誰かを想起させたとしても、それは、既に過去(・・)のことだ。そして、この星に関しても同じことが言える。既に過去のこの星とは別物の世界が広がっている。あの(・・)(くら)い霧の時代を乗り越えたのだから。」

 一国の王として、大陸の盟主として、あの星での五種族の現守護者として、言わねばならない。




()の君たちには、この星に降りることを拒絶させて頂く。これは、ここに居る俺と俺の嫁たちとアーサ、そして俺たちの従魔たちの総意である。」

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