180, ダンジョンで、……攻略は、二十六階へ ⑫ 認識
「「「「「いただきま~す。」」」」」
ライスを盛った皿に、カレーを盛るのは既にゴーレムに任せたが最初の一皿だけはヒト族を含めた人類には行き渡ったので、食べ始めた。
ちなみに、俺たちは今居るコロニーにゴーレムハウスを呼び出して、その入り口前でカレーパーティを行っていた。
「うまぁ!」とか、「ハグハグハグ…」とか、思い思いの場所に座って、みんな皿を抱えている。その中で、新参の人類たちは、神妙な面持ちでカレーライスを掻き込んでいた。
「なあ……。俺たち混じっていても普通なんだね。君たちって……。」
ミントが溜息交じりに聞くことにシュガーたち他の面々が、聞き耳を立てている。
不思議だったからだ。
なんで、魔物たちが一緒に飯食ってんだろうかという想いと、敵対していた俺たちが普通に混じっていることの違和感は問い掛けている当事者にとっては、結構重要なことだったりする。
「魔物たちを含めて殆どのみんな、始めは敵対していたよ。」
一人が話し始めると、みんなが頷きながらもそれぞれが感じていることを伝え始める。
「そうだよねぇ。ドラゴンが降ってきた時は潰されるとか思っていたのにドラ吉って名前付けちゃうし……。」
その時のことを思い出したのか、当時のメンバーは遠い目をしている。
「毛玉狼の時も銀狼族の時も、あ、ダイマオウイカもそうだったし……。」
あちこちでため息が零れていますが……。
まぁ、そういうこともありましたっけ。
『あっ、ゲンブ! キミのカレーはこっちだよ、こっち! 鍋じゃないって。マスターに怒られるよ、もう! ああっ!』
『いつも、おいらカレーはこうやって喰うんだ。』
『……ゲンブ、また?』
まだ広域型想転移を切っていなかったから、ルゥの呼び掛けが聞こえてきた。
アイツ、やっぱりやったか………orz
鍋を二重にしておいてよかったよ、まったく。
『ルゥ、ゲンブが入ったカレー鍋をこっちに持って来といてくれ。』
『了解です、マスター。』
「まったく、アイツは! 何回言っても聞きやしない。」
俺が嘆くと、アトリが合いの手を入れてくる。
「セトラ様が、彼にそれを教えたのだから、しょうがないでしょう? 過去の自分を責める訳にもいかないですよ、ね。」
「むぐぅ……。」
黙り込んでしまった俺を気に掛けたのか、少女の一人が問い掛けてきた。
「あの…、セトラさんでよかったですか? わたし、ジェリィ・エト・スクーワトルアって言います。こっちは、妹のシュガーとクッキィ。あ、三つ子です。で、カレー鍋に入っているゲンブさんって、すっごい絵面が気になるんですけど……。すごく、カレー美味しいです。っていうか……、その、凄く懐かしい味って思っています。」
そう、話しかけてきたところにルゥが到着した。
「セトラ様、こちらに置きますね。」
少し深めのカレー鍋の中で何かが、ばちゃばちゃと音を立てていました。
「ゲンブ、旨いか?」
『美味いっす。セトラ様、腕を上げましたね?』
そういって顔を出したのは、カメ。
「「「「「「ええっ! な、なんじゃ、こりゃ!」」」」」」
ジェリィたちだけじゃなくて、ソルトたちも気になっていたようで、驚いた時の言葉が被りまくっていた。
それを見ていた俺の仲間たちは「新鮮な反応だ。」とか「あの感動よ、再び!」とか言っていました。
「あのカメが今よりももっと小さかった時に、食べさせて以来さ。アレが好きなんだよ。」
そういって、俺は肩を竦めた。
「それにしても、スクーワトルアの家名をお持ちか。もし、下に降りられる許可が下りているのなら混乱を避けるためには、フルネームを言わない方がいいかもね。」
「セトラ、俺も混じっていいかい?」
ヒリュキがユージュとプ・リウス、プ・リメラの姉妹を伴って側に寄ってきていた。
「「わたしたちもいいかな?」」
そう言って寄ってきたのはパットと、シャイナー。
「ま、関係者だしいいよ。後は食事終わった後かな。後は、……デザートあるけど、いる?」
カレー祭りの後のことを一応確認しました。
「ぎゃー、いるに決まってるぅ!」の大合唱です。
「分かった、用意しとく。」
『ねぇ、ジェル姉ェ……、なんだと思う?』
『分かんない。でも、楽しみね。』
『そうだね。』
「ま、気に入るかどうかは分からないけど、期待しててくれていいかな?」
そう、言っておく。
「ここに居るヒリュキとユージュが王子様。プ・リウスとプ・リメラが王女様だよ。現在のスクーワトルア王家の、ね。」
いきなりの紹介に、ジェリィたちがぶっ飛んだ顔をしているが、……見なかったことにしておこう。
「そして、俺が、エト・セトラ・エドッコォ・パレットリアの王。パレットリアが国の名。エドッコォはスクーワトルア国の辺境伯領の名。だから、関係者というところかな。」
自己紹介から、始めよう。先は長いのだから。




