171, ダンジョンで、……攻略は、二十六階へ ③ 訊問デスカ?
ふふっ、久し振りの連続投稿。どスランプの後だけに……。
「わふわふっ。」
「すごーい、久し振り! トリケラってこんなにフワフワしていたんだね?」
「ほんとだ、癒やされるぅ!」
トリケラをモフっている髪の色の違う十代後半とみられる美少女たちも、二十歳は超えて居るであろう髪型の違う美青年たちもそれぞれが同じ顔をしていて、傍目から見ていても見分けしにくい。
「うわぁ、キレー……。」
「え…、お、同じ顔?」
「わたしもモフモフしたい……。」
まあ、双子……じゃなくて三つ子だからね。
これで髪の色なり、髪型なりが同じだと、誰が誰やらという思いが募る攻略メンバーたちだろうけど。
これには、内側から実情を聞かされている俺たちでも、確かに思うところがある。
俺やコヨミ、アトリ、アーサ、シクロにとって彼らの正体というのは隠すほどの意味を持たないが、少女と青年たちはその事実を知らない。
こちらも他のメンバーたちは知らない………、ごく少数がそう言えば知っていたはずですね。
ボロを出さないように目配せしておく。
シャイナーとか、パットとかヒリュキとかだね。
従魔や妖精族なんかにも想転移しておこう。
……いや、ここは全員だろう。
『余計な一言には、おやつポイントを全部賭けろよ。』
などと秘密工作をしていると、声を掛けてきた人物が居ました。
「やあ、キミ達はここで何やってんのかな?」
イケメンの一人が問い掛けてきた。
彼がミントであること、こちらは知ってはいるが白を切る。
「僕たちは魔法学院の院内ダンジョンの攻略中ですが、あなた方は誰で。何をされている方々なんですか?」
情報は大事だ。煙に巻くためにも必要不可欠。
「えぇーっ、ダンジョン? ここがー?」
クッキィがカカト落としをしたままの姿で絶句していました。
というか、なぜにカカト落としをスカートでするのか……、このアホ娘は!
真っ正面で見ていた俺としては、実際問題が発生していまして……泣きたいです。
「「「「「セトラくん「「様」」、また?」」」」」
ほらほら、左右からの視線が痛いです。
「僕たちとしては、このダンジョンの攻略が学院卒業の資格の一つとして設定されているので進むしか無いんです。」
「えぇっ、そうだったの?」
「まじで? まじで?」
とか、今頃気付いた者たちが少なからず居りました。
「俺たちがこのコロニー……えーと、隔離された都市というか……。」
「大丈夫ですよ。コロニーで理解できていますから。ここから見えるあの星にも隔離されたコロニーがありましたから。」
コロニーという言葉はダンジョンの他の階にあった……、庫炉里って変化していたけどね。
「でだ、この都市を、建設した連中から要請があったという形にして、住み込みで管理することになった。……、俺は、ミント。ミント・エト・サーマンドゥという。あそこでカカト落としを喰らって伸びているのが兄貴のソルト。隣でしゃがんでいるのが、弟のハーヴ。それと、エトというミドルネームは、このコロニーがエトという名だからだ。」
ミントの発した言葉に不可解な言葉が……。何で、ここがエト……なの?
「はぁ………、何というか大変ですね。」
「はは……、まあね。」
ミントとの会話で少々和みすぎたか、クッキィの従魔が隠密行動を開始していたことに気付かないでいた。
とは言え、コロニーの中心部に近いところにある雲と同化しているとは………orz
「「「「ふぎゃ、何なんだ? これ………、クモの糸じゃん。…ってクモぉ?」」」」
妖精族に正式に種族替えしたキリル、カリィ、クロンとカシレは上手いこと隠れていたのだが、ひそかに上空の雲から垂れ下がってきた半透明の糸に絡め取られていた。
思い出したのは、昔の地球での出来事。そして、リュウたちにヒモ付けられた頃のこと。
「「「「ぎゃー! 雲だぁ!」」」」
彼らにとっては……、悪夢再び。
俺たちにとっては青天の霹靂の状態が勃発!
「あ、アレはフェアリー種。絶滅危惧種をどうする気だ!」
あかん。ミントの視線が厳しさを増した。
彼の意識が従魔を発動する。
『迂つ環』というミニ砲台に射出エネルギーが凝縮されていってる。
見れば、シュガーはクマPを発動し身に纏って気を練っている。
他の面々も同様に臨戦態勢だ。これは言葉では止まりそうに無い。
『各員、障壁を準備。最大出力で張れ。一撃に耐えれば良い!』
各員に従魔共々障壁を張るように、想転移で伝えた。
伝え漏れの無いように。
「それにしても……、誰に似たんだか……orz」
あのバカ娘たちとバカ息子たちの問答無用さに呆れつつ、俺は層転移を発動した。どれだけのものかは知らないが、余剰エネルギーでこのコロニーを落とさせないために、準備を整えた。
と、同時に最大出力で放たれた六人のパワーに俺たちは晒されることになった。




