163, ダンジョンで、……攻略は、二十五階へ ⑨
お待たせしました。
「相変わらず、記憶を戻す前の魔王のした事って、規格外なんだな………orz」
俺たちと一緒についてきた「工事屋」の面々は疲れた口調で、だべっている。
「しょうがないさ…、魔王の座を受け継いでも魔王としての常識なんて二歳のガキに期待するモノじゃ無いんだよ。そんな事をしなければならなかったオヤジを俺はおまえらに言われなくても突っ込みまくっているんだからな。それにしても、あの頃の俺って何を考えていたんだろ………。」
本人である魔王のシャイナー君自身が当時の自分に呆れまくるほどだが。
実際、彼はむくれているのだが、今までに付き合わされた回数を考えても彼の親父にツッコミを入れたくなる回数は、全くのイコールなんだからな。しょうがないよ。
魔王本人が巻き込まれた回数も相当な回数になるため、あいつにはあまり強くは言えないというのも有るけどね。その辺はやっぱりルナと一緒……だよね。
「そっくりそのまま、お前に返してやるよ。……セトラ。」
「だはぁ!」
逆襲頂きました。
とはいえ、俺の中のリュウやティア、チヅル、ウッディそしてアーシィは、目の前に広がっている荒唐無稽なあまりの展開に固まってしまっていた。
……そりゃ、仕方ないよな。
相当に、遙かすぎるくらいに遙かな過去(それこそ自分たちが神話になってしまうくらいには)に自分たちの立てた作戦で使用したコロニーが、いまだに生き残っていたんだぜ。
それも完全美品として、この惑星の衛星軌道上にて周回し続けていたのだから。誰かさんが、ダンジョンとして繋がなければ発覚しなかったし、行き来も出来なかったと思うよ。
今はシャトルなんて異文明の産物は、誰も操縦なんて出来ないのだからね。
俺も関係者としてツッコんでしまったけど、彼らが信じられないのも無理はない。
「というか、俺たちダンジョンの階段降りてきたのに………、なんでココに繋がっているんだ?」
鑑定の画面で確認してみれば、このコロニーとさっきのダンジョンの入り口であったシュリンダイという帝国との距離は五万五千メルほど離れている。
このコロニーの持つ遠心力と、この巨大な星の重力などの引力との釣り合う一点に存在しているらしい。
そして、どこにも地表に降りるための階段は存在しない。
地上というかダンジョンの前の階に戻るための昇り階段は存在している。
先ほどの階段で速度最優先で即行で駆け上がるか、ここを攻略して二十六階へと降りる階段を見つけるかしかない。
それに俺とオレは気付いてしまったけど、他の面々には隠しておきたい事態も現在進行形で進んできている。
「それにしても……、アーシィには早々にあっちで威嚇しているヤツを鎮めてきて貰うっていうのが最優先課題だな。手早くしないと、トラブルがあっちこっちからやって来てしまう……。」
さっさとやって次の階に逃げ込むか、逃げ帰るかだけなのだ。
ダンジョンって、色んな所に繋がるんですねぇ。二歳の魔王様の所業、この後はどこに行くんでしょう?
PS ブクマ200件登録ありがとうございます。今年のささやかな目標をクリアしました。




