それぞれの…選択
「ふぅーん、その海竜ってタツ雄って言うんだ? いーわねぇ、従魔になってくれて良かったわねぇ{#゜~゜}/゜」
ミレリーから発せられるそのトゲトゲの雰囲気にタツ雄が凍った。
その視線と言葉の冷たさにサッツシはようやくタツ雄に言った言葉と同等のものをミレリーには言っていなかったことに気付いたようで、衆人環視の元ポツリと告げた。
「ミ、ミレリー……、俺の女王。……あ…。愛しているよ。ずっと傍にいてくれ。〔゜゜#〕」
ようやく言いましたか、サッツシくん。
あ、ミレリーがこっち見ているな。
ミレリーの視線に、俺は、肩を竦めながらも風貝作戦の成功を報せる合図を送った。夫婦喧嘩のたびに流す気か?
「?」
サッツシが不思議な顔をしているのを放置して、そう言えばと思いだしたことを嫁たちに聞いてみた。
「何でアトリとコヨミもこっちに来ていたの?」
「面白そうだったし、なんか最近…体の中から力が湧いて出てくるのよ。」
そう話したのは、アトリで横でコヨミも頷いていた。
それを聞いて焦ったのは、俺。
ヤバイ、経路が太くなっているのか?
嫁たちは俺の眷属となっているために、俺の成長とともに眷属化スキルがもりもりと成長していくのである。
「ちょうど目の前で従魔たちの召喚魔法陣が開いていたから、行けると思って飛び込んだら転移してた! 前は入っても弾かれていたのに、不思議~。」
マジで不思議そうに話す嫁たちに、俺としても何かヤバイ感じがしていた事は確実なことだった。
コヨミには最初から「雨くん」が居たし、そのあとも従魔たちが懐いていた。
何体かは、契約している。前世はチヅルさん。俺の前世のリュウジュの仲間。
リウスにしろ、リメラにしろ彼女たちにも何体もの従魔たちが契約していた。元々彼女たちには双子ゆえのパシスがあり、ネコビトらしい身体能力も兼ね備えていた。俺の周りに前世持ちが多いというか、ほぼ全員が前世でも近くに生きていた関係者であったことに驚きがあったのだが、リウスとリメラには、今のところ今以上の関係ではないらしい。残念な気もするが、今はフラグを折っておこう。
だが、アトリは、俺の生まれた頃からのメイドであり、シノブ母さんの妹であり、尚且つタダビトとマヒトとのハーフ……という言い方はマズいか……ハイブリッド種として、内包していた魔力は相当のものを持っていた。
俺の嫁候補となった時には一体の従魔さえ居なかったのに、のちに判明したことで彼女の前世が関係していて、彼女自身の分身とも言える使い魔が現在従魔として従っていた。
彼女自身が俺の嫁でもあり、さらには前世でも関係していたという事実を持つ者だった。
その時にチャァと再会している。
黒真珠虫だったバロアにも内包されている魔力は高く、シクロ・アガサに至っては魔力そのものから分離してきたような存在。ともに従魔は存在している。黒真珠虫に、黒い子豚。
そんな環境下で、彼女たちとの経路が増えることは想定済みといえば想定済みだった。
ここまでのものとは思っていなかったが………orz
そうか……、これが『選んだ』ということだったのだな。
前世とかそんな事は、一切関係ないところで自分で……これをか。
とんでもないヤツらばかり『選んで』しまった……。
これ以上増えないことを期待しよう、…………南無南無。




