148, ダンジョンで、……攻略は、二十四階へ ②
少々短いですが、まずは前回の続きです。
窓転移という視覚転移の魔法は、ある程度の成年体の従魔には可能なのだが、幼生体に可能かどうかが分かるまでしばらく掛かりましたが。
岩サソリが孵化したので、試しにやっていたりします。
マーサヒ君が一応、ゴーレムハウスに護衛を一人付けてくれました。
テツロオさんと、従魔になった騎竜のイオリ、小型化して愛嬌を振りまいています。
近くでテイリュウが小さくなった母親見て愕然としていました。
これからテイリュウはドロシーと一緒に封印の障壁までレッツゴー! です。
さて、前回この道を辿った時は颯転移込みの送転移でカッ飛ばしていましたが、今回はそれは無しですが、狼たちの群れの背中に乗せてもらって駆けております。
で、何故楽ちんしているかというと、障壁の解除が進んでいるんですよ。
つまりは、俺たちって境界線上を進行している訳で、例の呪文を延々と繰り返しつぶやいている訳です。
なぜなら、歩き始めの頃に何か違和感がある事に、ふと気が付いて「ジュゲムジュゲム……」とつぶやきながら歩いていると足元を確認する余裕もなくて転びまくる事、コケまくる事……多かったです…orz
「ジュゲムジュゲム……」
まぁ、こうするしかなかった訳です。
それに、一番始めに俺と一緒に行ったジョンもドラ吉もピー助も居るので進む方向に関しては問題ないかなと。
「なんで寿限無?」
なんか納得いってませんって感じのマーサヒ君ですが。
仕方ないでしょう。そういう仕様なんですから。
「ジュゲムジュゲム……」
「ほらほら、ジュゲム繰り返して! 迷子になっちゃうかもだよ?」
ジュゲムを繰り返し唱えていくと、歩いている足元から人影や騎竜たちの影が立ち上っては立体化していく。
ヒトは後方にあるゴーレムハウスに魅入られ、漂ってくる匂いに負けて走り去るのであるが、騎竜の方がその場で固まる。竜の長老であるギンが大量の小型化した竜を連れているのと同時に俺の事を睨んでは平伏するのである。
なんか俺のステータスのナニカを感じているのかな?と思ってはいた。
そんな異常な光景を見ていたマーサヒは好奇心に負けて声を掛けてきた。
「なぁ、セトラ。なんで解放された騎竜たちはお前の事をあんな畏敬の念を込めた目で見ているんだ?」
「ジュゲムジュゲム……」
「仕方ないなぁ、そこのチビ竜は竜の長老だよ。で、俺はそのあるじ、従魔にしているんだ。後ろの連中もね、そうなんだよ。だって、俺は「守護者」なんだよ……。」
「ジュゲムジュゲム……」
「え………? 「守護者」? 俺たちの国でも伝説の中にしか出てこない存在だぞ……マジで? セトラ…「守護者」なの……。」
好奇心で聞いてはみたもののとんでもないものが出て来てしまったと、マーサヒは頭を抱えていた。
それを|同病相憐れむ《ミイラ取りがミイラになる》を地で行くような感じで声を掛ける者がおりました。
ヒリュキ・サト・スクーワトルア、前世の第二代世界連邦主席。マーサヒが広報審議官を務めた時のダチんこです。
「君ももう既にお仲間だよ。諦めが肝心さ、マーサヒ。「魔物誑し」の世界へようこそ!」
それを聞いたマーサヒ、何とも言えない顔でヒリュキを振り向いた。
「「ま…魔物誑…し」? え…ええ? ステータス! …………? あ? ……あぁぁ!」
あ、ステータス鑑定か……。
ショック受けたマーサヒが崩れ落ちたのは言うまでもない。南無南無。
「「魔物誑しの弟子」が無いと、その耳を変化させられないし仕方ないよ。でもレベルが低いと効果が切れるのも早いからね。」
「ジュゲムジュゲム、ゴコウノスリキレ、カイジャリスイギョノ、スイギョウマツ、ウンライマツ、フウライマツ、クウネルトコロニスムトコロ、ヤブラコウジ、ブラコウジ、パイポ パイポ パイポノ、シューリンガン、シューリンガンノグーリンダイ、グーリンダイノポンポコピーノ、ポンポコナーノチョウキュウメイノチョウスケ」
もう、「ジュゲム」を大合唱で繰り返し唱えては、障壁が端から解除されていきます。
そして、遠くに見えていた第一の障壁の場所がだんだんと近付いてきておりました。
ブクマがの~んびりとしっかり増えていて、凄く嬉しいです。