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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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140, ダンジョンで、……攻略は、二十三階へ ②

 ドロシア・レイル・フェバックは、また悪夢を見るところだった。


『ドロシー、私は召喚されている。行かなければならない。ドラゴンの長の召喚だ。お前はどうする? 死地かもしれない。』

 体を光らせているテイリュウの言葉に、ドロシーは首を振った。


『もう、お前と離れるのはいやだ。死地だろうと、わたしはお前とともに行くさ。』

 そう言ってドロシーはテイリュウの体を抱えた。


『分かった、ともに行こう。我がマスターよ。』

 次の瞬間、テイリュウとドロシーを黄色というか黄金というか、そんな色の光が包んだ。

 彼女たちの居室にはすでに誰も姿がなかった。


 彼らは召喚された。遙か遠くへと、渡った。









「おや、テイリュウを呼んだら騎兵が付いてきましたね。これはラッキーですね。」

 幼い子供の声ながら、その声に臆するものなど無いかのような楽天的な言葉に、まだ見えないながらもドロシーは安心した。まだ、彼女自身を金色の光が包んでいたからだ。


『テイリュウの元あるじで、現あるじのドロシーだな。……これも何かの縁かもな。』

 頭の中に聞こえる声は、尊大な性格をまま表しているようであった。


『む、失礼な!』

 聞こえてしまったようで申し訳ないと思っていたら。

『長どの、何故ここに我らは呼ばれたのでありましょうや?』

 これはテイリュウか? そう思っていたら最初の幼い子供の声が割り込んだ。


『いきなり呼び出して済まなかったね、俺たちは学院の迷宮をクリアしている最中だったのだけど。あそこに浮かぶドラゴンが邪魔でね。この大陸の出身者である君なら……、君たちなら知っているんじゃないかと思ってね、検証して欲しかったんだよ。』

 そう言われて自分たちがいるところを確認して、総毛立った。


「こ、ここは、………グリンダイ大陸、シュリンガ国南端の崖の洞窟……。」

 呆然とした感情のままドロシーが呟いていた。

 やはり、ここの出身であったか……。なるほど、彼女がこの大陸から出るのに二年の月日を掛ける訳だ……。障壁の掛けられた大陸か?


「シュッキン、気付いたか?」

 俺は問うてみる。


「はい、老師。これはあの日、私が仕掛けたものと同じ金剛(こんごう)胎蔵(たいぞう)曼荼羅(まんだら)結界の現界幽界多重式を設置して、それが解けないまま過ごした者たちの末路なんですね。」

 シュッキンが感じている事は、自分の為した事の責任の大きさでもある。

 が、それを阻止してくれた者たちへの感謝でもあったと思う。


「ありがとうございます、老師。」

 そこに含まれていた素直な彼の色々な思いがそう告げていたからだ。


「いや、気にするなとは言わんが、今やお前は俺の仲間であるし、お前無くして、従魔たちの安全が構築できん。俺にはお前が必要なのだから。」

 過去は過去。今更変えられるものでも無い。


 過去に囚われて何も出来ないよりは、一つずつでも進んでいく事の方が大事だと思っているのだから…。



 それに何があって、この大陸ごとその強固な結界で包んでしまったのかは今は分からない。よほどの理由があったのだとは思う。

 でも、今回俺たちがここを訪れたように、変化は容赦なく降りかかるものなのだから。


 この星の時空間に繋がっているこの大陸の結界との境界線は狭く細い。

 この閉じられた空間からドロシーは抜け出られたのは奇跡に近い事なのだ。


 それが、自分の騎竜たるテイリュウを探すたった一つの道だったからこそ、辿(たど)れたという事なのだろう。


 そして、この結界の中での時間は限界とは別の時間を過ごしているという事。

 この中で過ごした時間(つまりはドロシーの二年間)は、限界での時間とは隔絶されており、存在していない事になるのである。


 風の竜の長老であるギンを従魔にした時にその声に惹かれ転移したテイリュウは現在十五歳、ドロシーは十七歳になるという事。ドロシーがテイリュウを追い掛けて外界に出なければ、その年の差は急激に開いていたという事になる。



 さて、このシチュエーションを準備した本人に聞く事がある、それは………。

「魔王、この階層での討伐対象があのドラゴンとか言わないよな。」

 という事。


 結界を破る事は出来ても、その後のここの住人たちに対してのフォローを考えなければならないとかは、無茶振りに近いものがある。

 だいたいこの大陸は、いったいこの星の何処にあるというのだろうか?


「ご明察。」

 絶望のこもった答えが返ってきました。


「「「「「「「「どーやって倒すんだよっ、あんなのっ!」」」」」」」」

 激怒したのは、付き合いのいい仲間たちでした。『倒す』んですか?アレ。



「父さま……。」『母さん……。』という彼らの言葉を聞くまでは、俺ですら倒す事の是非に疑問満載でした。

 でも、死者を冒涜(ぼうとく)しているというのなら、その限りではない。


「まさか………、あれが。」

 まさに、「そうだったんか!」という心境です。はるか前の結界が絡んでくるとは、自分自身、この回を書いていて(キーボード打ちですが…)思いもしませんでした。

 拙い小説ですが、今後ともよろしくお願いします。


 展開の読めない作者ですが………orz

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