137, ダンジョンで、……攻略は、二十二階へ ⑭
まぁ、『障壁踏破の儀』の突破条件としては微々たるもので、始祖のワタル・ミズノに連なる者であるという事。
前の時の俺たちの世界では、俺たちが生まれた時の個別遺伝子登録は当たり前だった。
YPS細胞を造り出すための臍帯血の保持の意味もあったために、へその緒の一部を保管していたからだ。そこからの遺伝子情報をデータ化していたのだ。
それは、ミレリーの祖先であるワタル・ミズノの時代には当然すぎるものであっただろう事は想像に難くない。
そして、その後の俺たちの時代の科学の発達は、学習型アンドロイドの普及に繋がる。
それも事故などで親を亡くした時に、どちらかの遺伝子を組み込んだものが製造される事が多くなるにつれ、遺伝子バンクはさらに盛況になっていったのである。
全世界各地の遺伝子バンクは種の保存のために、データ化され、新しい大地として生まれ始めていたコロニーでも蓄えられていった。
地球壊滅後も宇宙に残った遺伝子情報は、データとして全ての人工知能の片隅に隠し情報として残ったのである。
そして、俺たちの時代よりも遙かすぎるくらい遙かな未来の船ゾーディアクにも積まれていたのである。ゾーディアクに属していた探索艦レディアークⅢ搭載艇カーソルが旧城の前身である。
もっとも、遙かな時代の変遷により、その形状がここの旧城において変化しているのは仕方の無いところである。損傷のある度に、必要な元素などを取り込みより強固な状態に修復していたのである。
さて、レディアン皇国で『障壁踏破の儀』とされているそれは、ハッキリ言って遺伝子バンクの照会装置によるものだった。緑の光はその認証にパスしたというものだった。
俺が、サッツシを強引に、この挑戦を受けさせたのには理由があった。
スクーワトルアやパレットリアで同じものを見ていたからだ。
そして、俺も認証されて中に入っている。
スクーワトルアの王コロナ王とうちの父がスクーリンとやらを見られたのも似たような理由だ。照会装置で、可能性を見つけたからだ。
遺伝子の可能性。王と、父の遺伝子から導かれるタイプは大まかに四タイプ。
俺は、カスルの人工知能の中に保存されていた遺伝子情報をもとにこの惑星ステア
が選んだという事だと思っている。
まだまだ検証が必要なのだけど………。
そして、その認証装置の事がここと違って大々的で無いのは、スクーワトルアの王族のみが入るための認証装置となっていたからである。生体認証の小部屋となっているため、一般には公開されていない。留学していた他国の王族を受け入れるような真似をしたのは当時暴挙とされていたのも肯ける話ではあったのだが。
スクーワトルアの認証装置をすり抜けたうちの親父殿も自国で一度、その認証装置をクリアしていたのが胆となったのは言うまでない。
そうでなければ二国間の情報を行き来させる事すら敵わないからだ。
それぞれの国のカスルに認められていたからこそ、出来た事なのである。
今は、その認証にサッツシが挑んでいるという事。
その可能性があれば、通るだろう。
いろいろと、『魔法の花冠り~降臨(落ち)し者』の設定を参照してます。




