133, ダンジョンで、……攻略は、二十二階へ ⑩
キラーアントの改良種………、羽…、持ってました。
確かに、普通のキラーアントより大きいし、堅い! のはまだ対処できるのでいいんですが………。
なんとダメ押しとして、羽を持つ種がいたのです。
風属性持ちは、風の民全員がシュッキンの障壁強化と交代の人員として動き、風刃の射手は、空に飛び上がったキラーアント改の対応に追われていました。
その時は、アリの本体を狙った精密射撃をしていたのですが、レディアン国のお偉いさんの攻撃によってその後、劇的に運用が変化したのですが、それは……。
『わらわも何かしないと『おやつポイント』が当たらないのでは……。』と考えたような人の攻撃が、隣の女帝の間から突如開始されました。
ドンッという音ともに、何かが飛んでいきました。キラーアントの羽アリが、滞空しているところへと至るとそのまま突き抜けました。
そして、岩サソリとの境目で急速に落下して弾けたのですが、これがまた何とも凄かった。風属性の弾のようでその軌道上にあった、羽アリの持つ羽を吹き散らしていました。
実体を持つ弾ではないようで、どうも風の魔法を圧縮して撃っているような感じですが、それが通り抜けた軌道上の半径五〇セチの範囲の滞空している羽アリが、羽に損傷を負いボタボタと落ちていました。
どうやら、羽を持つといっても自在に飛ぶというのではなく、滞空しているようだな。
アリが本来持たない羽を持つのはそれが繁殖時期だという事。
あの『源の黒』との戦いの時に改良されていたとしたら、今討たないと世界中に広がってしまう事になる。なぜ今か? それはあのリッチーに支配されているからである。
現有戦力として世界中から掻き集めたであろうからだ。
とはいえ、女帝の間を唖然として見てみると、そこには何やら長い杖のようで銃のような不思議なモノを持って女帝とじいやさんがいました。
『あ、あの~、ミレリー女帝? それは何ですか?』
との問い掛けに、こちらを見てニカッと笑うミレリー女帝。
『秘密兵器じゃ!』
言い切っていましたが、そういうことじゃないんですが……。
こちらで説明しちゃいましょうか、と思っちゃいます。
『……成る程、土魔法によるツヅミ弾で風魔法の吹き矢ですか、サッツシの仕込みですね。』
『ぐはぁっ、ちぃっ! 見抜かれたか。だがわらわも自分の国を守らねばならん。微力でも戦力は戦力じゃ! わらわだって『おやつ』は欲しいのじゃ!』
まぁ、その通りなんですが、微力とは思えない威力です。というか、あなたは『おやつ』食べ放題なのでは?
という疑問はさておき、このツヅミ弾は前の時の中世期くらいのニッポン州で流行っていた銃撃戦モノで、よく使われたモノで真っ直ぐに飛ぶが、すぐに落ちる事で有名だった。
『だけど、いい方法だ。』
そういって精密射撃ではなく、ざっくり狙う形を取るように仲間たちにも伝えた。
吹き散らせばいいのなら、何も風でなくてもいいか………。
『ピー助、ピーコ、発進せよ!』
こちらの航空戦力を解き放った。
『了解したです、あるじ様。』と、ピー助が答えれば、ピーコは『シロとアカネも連れて行きます。』ですと、過剰戦力なのでは、と思いつつも了承する。
彼らとて、力ある魔物との戦いは心躍るものだし、何よりも普通のアリ族をエサにしている彼らには、浮遊しているアリは単なるご馳走に過ぎない。
次代を担うための女王を支えるアリたちだ、それなりの力を有している。
程なくして、浮遊していたアリたちは駆逐された。
つい、ピー助たち彼らに聞いてしまった。
『まぁ、食べ尽くしたなぁ………『おやつ』いらないんじゃないか?』
そう聞いた瞬間、ピー助たちが真っ白に燃え尽きました。
『あるじ様~、それはそれ、これはこれです、ちなみに『おやつ』は別腹ですぅ!』
そう、抗弁するピーコを筆頭に涙ちょちょ切れ状態のロック鳥が四羽おりました。
『す、すまない。リクエストを決めといていいぞ。』
それをきっかけにキラーアントは駆逐されていき、残るは現女王アリと次代の女王アリだけが所在が分からない。鑑定では、いまだにジリジリと動いているのが分かるのだが、その姿が見えないのだ。
と、突然に現女王アリ一匹と次代の女王アリ五匹の情報が鑑定から消えた。
『殺ったどー!』
と、どっかのセリフを真似したシロウが凍っているアリジゴク状の落とし穴の近くから顔を出した。その両手に超特大の女王アリを握っていました。
彼にとってもそれはご馳走で、即座に胃に収めていました。南無南無……。
『あるじ様、『おやつ』は別腹ダス。おら、ガリントが良いダス!』
はい、リクエスト入りました!




