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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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125, ダンジョンで、……攻略は、二十二階へ ②

この間のこんがらがっていたもののラストで、始まり。

 ワッケインの島から降りてきた先は、森林というよりかは、雑木林というところ。

 そして、雑木林に必須な魔物が生息していた。


 インセクトたちである。つまりは昆虫系………。しかもデカい。


 二十二階への階段を降りた先に有るセーフティエリアの障壁の向こうに見えていたのが、超巨大な鎌を振り上げていたマンティス(カマキリ)。色的には、毒々しい黄色と赤の警戒色。鑑定によると、普段のそいつは緑色をしているらしい。そりゃ、周りじゅうが緑なのに黄色と赤じゃ目立ってしょうがない。

 って事は、こいつは危険を感じている訳なのか、いったい何に?


 マジでこちらの何に警戒しているのかが分からなかったのだが、俺たちの後方からそのカマキリ目掛けて何かを飛ばした連中が居ました。

 幾つかのヒモ付きのラグビーボールみたいのでした。

 それらは落下傘のように途中で広がって、超巨大な鎌を持つマンティスに絡みついては簡単に引き寄せていました。


シューシュシュシュ(大きいよ、ご馳走だぁ)!』

 アルケニー十四人? の投網でした。って……あんたらかい…orz


ピィピュ(あんたぁ)ピュイピュイ(ここなら雛を)ピピピピィピピ(育てやすそうダスなぁ)。』

ピピピ(おお)ピューイ(そうだな)ピュゥイピュイピュウ(こっちに移るか)?』

 そう、ピーチクパーチクと話をしているロック鳥ご夫妻が周りを見て、和んでおりました。

 いや、ピー助とピーコさんや、あんたらその巨体でここから飛び立てるんですかい?



「いや、ちょっと待て……。」

 風が何かを伝えようとしていた。俺の緊張が伝わったのか、周りが静かになる。


 いつかどこかで感じた……、この嫌な感じ………。

 そう言おうと思っていた矢先、周りの景色に見覚えがあると気づいた人物がいた。


「ああっ、ここはレディアン皇国の西の端にある原生林。って、レディアン?」

 サッツシ・ダクィタは、ガルバドスン魔法学院の卒業後、ここまで流れて来ていた。

 彼もまた、トラウマを抱えていたからだ。


「サッツシ、レディアンというとタクラム砂漠よりも西にある国で間違いないか?」

「え? あ、ああそうだ。というか大陸の西に位置している森の中の国になるな。」

 俺がふいに思い至った事をサッツシに確認した。


 それは、あの『源の黒』との戦いの時、アレディア救済教議会の最高司教のアーク・ダイ・カーンの所在が不明になっていた。

 ア・クラツ王も神託を受けたという事で、その責任の所在を求めて今に至ってもアーク・ダイ・カーンの行方を捜していた。

 彼らは、俺が宣戦布告に行った際に、三メル大の岩サソリという言葉とキラーアントの改良種という言葉を聞いていた。


 だが、実際に俺たちが遭遇したのは、黒真珠虫と巨大なアリジゴク(・・・・・)とヒリュキとシャイナーを黒焦げにしたのは、黒真珠虫によく似た黒い電電(デンデン)虫と金色の雷雷(ライライ)虫という二種がいた。


 そのために、パレットリア新国に向かっていた岩サソリとキラーアントも壊滅したと思っていた。

 だが、壊滅したのでは無かったとしたら………。

 あれから一年と少し。いったんは散り散りになったはずの魔物たちが再び集結するとしたら………。そう思って改めて、俺とユージュとイクヨの知識を総動員した。


 かつての地球で巨大な地震が起きた時、その被害の一つに津波がある。一ヶ所に発生した波が離れたところまで行って折り返したり、またある時には、全然別の地域に到達して大きな被害をもたらしていた事を思い出した。


 俺たちの居る大陸の中心地タクラム砂漠での、魔物と「源の黒」との戦いでもし、それが発生したら、たぶん、この地レディアン皇国に集結するだろう予測が出てしまった。


 つい、さっき……。


 風が教えてくれたのは深刻な状況だった。


 岩サソリと、キラーアントがこちらに向かっているという事、そして、その進路上の魔物たちがその脅威に押されて、今、俺たちが居る雑木林に向かってきているという事だった。魔物たちから必死に逃げ延びようとする行動が、魔物では無かった動植物や昆虫たちを魔物化していた。


 そして、背後にあると思しきレディアン皇国でも異変を確認したようだった。


“カーンカンカンカンカンカーン”という、何か不快感を煽るようなサッツシの知っている警戒の鐘が鳴らされていた。


「サッツシ、気になるようだったら、先に行け。そんな気持ちでは生き残れないぞ。それと、俺たちの作戦を話しておいてくれ、詳細は書いてある。あと、連絡にはコレを使え。」

 そう言って、魔王国原産のパレットリア新国ライセンス製造した手鏡コンパクトタイプを渡しておいた。


「セトラ、………みんなも済まない。俺は………。あの人を守りたいんだ。」

 サッツシの気持ちが伝わってくる。この後どうなるのかは知らないが、この充実した気持ちのサッツシに、もはや気後(きおく)れなど有るまい。


「は~、いいわね~。女王様だっけ?」

 サッツシが駆け出していって、その姿も小さくなった頃にぼそりと誰かが零す。


「まあまあ……。さて、こちらも始めるぞ。」

 そう、仕切ると、みんながそれぞれのパートナーたちと、自分の持ち場へと散る。


「シュッキンの結界で多く分断してくれ。」

「はい。」

 その気負いの無い笑顔でシュッキンは、これから長い時間との闘いを始めるのである。

頑張って、続きを………・

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