114, ダンジョン攻略……、二十階へ ①
とうとう二十階、何が居るんでしょうか?
改題しました。
十九階をクリアした俺たちの目の前には、二十階へ至る階段が口を開けていた。
「魔王殿、無理を言ってすまなかったの。これからは我もあるじ殿の元におるし、末永くよろしく頼むの。」
そして、その階段の前には竜人化した風竜の長老ど……の。
その繰り出す言葉遣いに年季を感じるものの、その容姿はといえば………。
「末永くって……、俺の何千倍生きているんだよ、アンタは。……はっ、ぐほぅ!」
魔王シャイナーの無謀なというか、あまりにも素直な感想に応えたのは竜人化した風竜の長老ギンの小柄な体格から繰り出されたとは思えないアッパーが、魔王のあご先に確実にヒットした。
地上から大気圏離脱していきました。
………南無南無。魔王よ、永遠なれ。
「ギン……、そのなりなんだから、もうちょっとおとなしくしておけよ………orz」
俺は拳を振り抜いたポーズを付けたままのギンに、注文を付けた。
およそ、風竜の長老が幼女の姿になるなんて誰も予想だにしなかったからな。
初めて竜人化を披露した時には、周りの者たちが思わず引いた。
俺たちはもちろんのこと、ドラゴンたちは言うに及ばず………南無ぅ。
「か……。」
「か?」
「可愛い! 何? この子? ちょーだい! ちょーだい!」
こんな声が飛び交うくらいには、大騒動になったのです。
その姿は、ほぼ三頭身のちびキャラだった………orz
その服装は、ドラ吉たちと同じく竜人化した時には、彼女自身の持つ力によってメイド服とヘッドドレスを付けていたのです。
「俺たちより年上なのに、俺たちより小っちゃい……………orz」
ついつい、そんな言葉が出てしまうくらいには驚いてしまいました。
「……年上は余計じゃ、あるじ殿」
風竜の長老の念話が響き渡ったあとのドラ湖周辺では、風竜、火竜、飛竜が空から、水竜はドラ湖を経由して、土竜や、木竜は土の中から、走竜が地上をかっ飛んできて従魔化しては、小型化し、思い思いの従魔化スキルをゲットしていました。
その多くは、自身の持つ鱗の隙間を埋め尽くすような羽毛を生やし、彼らの特性である体温の変化による行動力の低下を防ぐ方向へと向かうスキルを選んでいた。
しかも小型化することで、自身の持つエネルギーの効率を最大限にし、あるじを通じて得られる経路の魔力量は、かなりの率で高効率化していた。
まるでその様子はヒト族が、洗礼を済ませるがごとく粛々とそして、速やかに行われていたのです。
魔力の経路を繋げるにはそれなりの太さがなければならず、それなりの魔力量の者たちに群がっていた。
ただし、長老が得たスキルの一つの効果によって、それなりの魔力経路でもドラゴンたちとのパイプを構築できるように、自分たちで選んだあるじからの経路が繋がった時点でそれぞれの竜たちが経路を補完出来るようになっていた。
竜とあるじの双方が魔力の逆流の不安を払拭し、なおかつ、少ない魔力でもお互いに補完することで、良好な関係を築けるというスキルだった。
これによって、竜たちは魔力の多寡に拘わらずに、それぞれ好みのあるじの元へと契約しに行くようになったのである。
ただ、長老が小型化を一族のスキルとしてゲットしたために、竜たちは多くがそのスキルを活用して、あるじたちとのスキンシップを交わしていた。
週に一度のパレットリア新国の福焼き大会では、小型化した竜たちの好物である福焼きのハチミツ入りのものをばらまいては、その不規則な弾み方に右往左往する光景が観光資源になりつつあり、そこに猫ビト族と猫科の魔物たちも乱入して盛り上がっていました。
最近、パレットリア新国は別名モフモフ国と呼ばれており、国王ではある俺としては、ある意味不本意です。南無ぅ………orz
二十階への階段を降りる前に大騒動があって抜けた気持ちを、改めて構築しダンジョンの攻略に復帰しました。
契約を終えた何匹かの竜がパーティメンバーとして登録し、同道中。
長老であるギンが、常に俺に張り付いているために、他のメンバーに厳しくしたいのを我慢しているような状況です。
そんなこんなで二十階の階段を降りれば、不思議世界が待っていた。