110, ダンジョンで、……攻略は、十九階へ ③
すいません。少々短いです。
十九階の階段を昇ってみると、なんか見たことのあるような風景が………。
そそり立つ壁とその向こうにある水の感覚。
数頭の巨大な魔物の存在感はハンパなく、ドラ吉の親類筋でも来ているようだなと思っていたら。
俺たちの気配に気付いたようで、ヒョイと首をこちらに出して挨拶してきた。
『ドラ吉さぁ、お邪魔しているベ。』
ドラ子の親戚筋でした。
「ドラ湖だと……? ここが十九階の舞台か。」
そう言った瞬間、ドラ吉とドラ子が戦いた。
『ドラ吉さぁ、これは不味くないだか?』
そう、ドラ子が問い掛ければ、ドラ吉も頷く。
『不味すぎる! 今になって無茶苦茶言ってくる竜の長老がドラ湖にやって来るはずの日だ。なんでこの日のこの時間にドラ湖なんだ? ダンジョン潜ってやり過ごそうと思っていたのに………orz』
ドラ吉の動揺がハンパないですが、俺の横に吹き出すのをガマンしている御仁が居りました、その名は魔王。
「ぷっ、ぷくくく………」
「結婚の通知が届いたのが最近っていうオチじゃないのか?」
そうあっさり言い放ったのは水竜のホシィクとつるんでいるウェーキ。
前世からの腐れ縁が嵩じて、今生でも恋人になってしまった者たちである。
まあ、いまは怪しげな行動をした魔王に聞いてみようかな?
「『あ~、シャイナーくん何か知っていそうだね?』」
想転移を広範囲にしたバージョンで問い掛けてみる。
ドラ吉とドラ子がギクッとして魔王を睨むと、それに気付いた魔王が俺を睨む。
睨んでも怖くないよ~ん。
何かを隠して画策しているヤツの方が悪いだけだろう?
「ん、ん、コホン。風の竜の長老に頼まれていたのでな、ちょっと、調整したのだよ。さすがにあの迫力で頼まれてしまったからなぁ。どうにも仕方が無いのだよ。」
という言葉を魔王は話し、ドラ吉とドラ子は愕然としていた。
『な、なんですとー!』
まさかの言葉に、絶句するしかない二匹である。
「『なんでそんなにビビっているんだ?』」
という俺の問い掛けにドラ吉とドラ子は必死に首を振りながら、答える。
『『ビ、ビビってなんか、無いモン!』』
お前ら……、本当にドラゴンか………orz
『この気配は、まさか長老?』
しかも、そこへ持ってきて姿もまだ見えていないのに、到来する圧倒的な気配。
確かにこれは長老と言っても差し支えのないものなのだが………、はて、他のみんなは跪くなどの行動を無意識のうちにしているのだが、俺には全然伝わってこないんだが?
「むうう……」
魔王のシャイナーですら、涙目になりながら立っている。
あれ? 竜の長老と魔王って同格なんじゃないの?
「『長老? この波動の持ち主がか?』」
水竜のホシィク、火竜のドラ吉、ドラ子、火竜の眷属の火もぐらのコーネツとサラマンダーたちが、その出現に怯える竜族の大御所風竜のお出ましだというのだ。
「ぐむぅ………orz」
そう一言を発して魔王が片膝立ちになる。この竜の長老というものの波動が近づくにつれて堪えきれなかった様子で。
俺を見て愕然としている。
「な、なんで、セトラは立っていられるんだ?」
不思議そうな顔をしたまま、魔王がポツリと呟く。
「え……、俺の方が聞きたいよ。そんなに強烈なのか?」
ふと、漏らした言葉に反応する人が居ました。ルナとヒリュキです。
「「またか……、またなのか! セトラ!」」




