106, ダンジョンで、……攻略は、十八階へ ③
え~、永らくお待たせいたしました。ぷろっとというものを無いでやっているとこんな出来事も起こるようです。毎日PCの前に座っていたのですが、ぶつ切りの文しか出てこず、一日に五話も書いた日のことを頻繁に思い出していました。
よく、あんな事が出来たものだと。これに懲りずにお付き合いくださいませ。
リゾートの楽しさと驚きの事態を乗り越えて、いま俺たちは十八階へと降りる階段の前に立っていた。あのナンノキの母様の言動が気にならない訳では無いが、ここでビビっていてもダンジョンはクリアできない。
設計者の魔王様はこの階についても何ら話を振ってこない。何か、盛りすぎて詳細を忘れたとか言わないよな。横目で見ていても不審なところは無いようだな。
リゾートで起きたことに関して、後で各方面に報告に行かねばならなくなった………orz
今は考えたくないかも……。
それにしても大所帯になったよな…というよりも最初から大人数だったけど、ここまで膨れあがるとか無いでしょう。
ちなみに亀は本体を甲羅から分離させて参加している。宇宙に行ってから寿命を迎える時にサイボーグ化されていた。本体と、甲羅に分離できるそうだ。俺たちが十六階から降りてきた時に居た深海では、甲羅の中に貯蔵されているエネルギーで動いていたそうな。つまり、あの時は寝ていたらしい…ってマジかよ。寝ながらおやつを食べちゃいけません。
あと何日かで目覚めて浮上する予定だったらしい。
………それこそ甲羅干しをするために。
アイツを無理矢理浮上させるために何人もの魔法士が魔力を分けてくれたっていうのにそれって有りですか?っていうか、ちょっと日にちがずれていれば、あんな苦労もこんなバトルも無かったって言うことか………。
ただ、アトリが来た時点で、バトルだけは発生するような感じではありましたが。
何のバトルかは聞かないでください。
まぁ、そのお陰で俺の魔力は凄いことになり、俺の周囲も凄いことになっております。
あの時、俺にキスをした四人の魔力量に変化があったことに気付いたのは休暇中のことだった。アトリ+三人のゴタゴタの時に鑑定が自動で起動したことで判明した。
俺が受けた恩恵があったがそれの数十分の一だが、返納されていたようだ。
もっとも返納率が高かったのは、大人なキスの方でしたが………orz
まぁ、その……キスという粘膜の接触が、魔力量に影響するなんて誰も考えつかないでしょうが。
今後、恋人との接触が増えることを鑑みても、頭の痛い問題になりそうな予感がする。
もっとも、フルで消費しきるのは大変な魔力量になったが、相手までがそれに関係するとは実証データが全然無い現在では、実験してしまうのも些か難が発生する。
そうそう実験できない………orz
なんといっても浮気を勘ぐられてしまう……、それはヤバイ。
それに魔力量の変動がもたらす魔法による結果というのは、かなり怖いものですから。
というかそんな実験繰り返していたら、三人……じゃないか、四人に嫌われること請け合いです。
とはいえ、夕食の後のデザートを終え、就寝するために自分の部屋に向かった時のことだった。普段は転移するのだが、ワインが入ったために魔力の暴走などを避けるために安全策として本来なら動く階段を歩いて最上階の自室に向かう最中のこと、一人、二人三人と増えていく同行者たち……ってどういう事だ?
「どこまで付いてくるんですか? あなたがたは。」
俺は疑問に思っていたのは、コヨミとリメラ、リウスの三人が俺の部屋へと付いてくるということに、だった。
「だってセトラちゃん、わたしたち、お付き合いしているんですもの……きゃっ♡」
「きちんとしたお付き合いを始めましょう、セトラおじ様♡」
「そうですわ、セトラ叔父様♡ 添い寝して上げても良くってよ♡」
とか言って三人でさざめいていらっしゃる。
何か、背中が重たい……。
「コヨミね……、ごほん、コヨミ、ちゃん付けしないこと。おやつポイントマイナス10。リウスとリメラも叔父様禁止。同じくおやつポイントマイナス10。それと、アトリも出て来なさい。隠れて笑っているのも禁止。同じくおやつポイントマイナス10で。」
俺の言葉を受けて四人のこ、……恋…人……、う~ハズい。
恋人になった彼女たちはマイナスの言葉に愕然としておりました。
でも俺も、もうちょっとでおやつポイントがマイナスになるところだった。
だけどお付き合いって……、ふつう対等だろ。
何でちゃん付けで、何でおじ様なんだよ。アトリも気配消して待ち構えていたくせに、笑うからバレるんだろ!
お前が俺の気配が分かるように、俺もお前がいるところなんて、気配ですぐに分かるんだよ!
「次の食事でのデザート、出せないぞ?」
「「「え~、そんなー!」」」
「そんな殺生な。」
愕然とした顔を直せないまま、結局俺の部屋に入ってきました。
俺の部屋の寝室は超デカい。扉開けて入ると、ゴーレムハウスの分厚い中扉の向こうが一面のベッドでロック鳥のダウンで造られた布団がセットされております。
そして、俺たちは仲良くベッドで………orz
雑魚寝です、雑魚寝。
何しろジョンたちも一緒だったのでその背中を借りたりして、みんなで雑魚寝しました。
六歳の俺、八歳のコヨミ、リウス、リメラ、一四歳のアトリ、ジョンにピー助にドラ吉ドラ子の子竜バージョン、ゲンブとか、狼系は子狼バージョンで部屋にはいっぱいの魔物たちが群れておりました。
彼らに報告が先です。ボスの女には手を出すなよという決まり事の通知、これが大事。
さて、なんやかんやあった十七階から十八階に降りると、ナンノキの母様の姿は無い。
障壁の向こうはずっと奥まで草原になっており、静かでした。
静かすぎるほどの静けさが漂っていました。
何とはなしに十三階の様相ですが、ナンノキの母様の言動がどうにも引っかかる。
ネタバレ必至で鑑定を発動してみると、目の前に驚くべき結果が表示されていました。
目の前、真っ赤っかです。
危険、危険………という鑑定のオンパレード。
アラートが鳴りっ放し。
静かなはずです。
毒草の草原で動物や魔物も毒を持つものばかりが生息していました。それらがもたらすものは、毒を含んだ大気と、死の世界。
とはいえ、毒の中で暮らす動物や魔物が居る世界でもある。
なんじゃ、ここ?
そんなところに足を踏み出そうとしている人物がいる。いや、魔物?……いや若さまである。
『わたしの本来の役目は毒大気の浄化。ここまで濃いものにはまだ触れたことが無いが、母様がいらっしゃるというのなら……行かねばならぬ。』