プの方たちの処方箋
ナンバリングの無い話は、基本、他者の視点になっています。
『あの方は誰? わたくしが産まれてからずっと暮らしているこのお城を隈無く歩いて、片膝を突いては片手を石畳に付けて何か呟いていらっしゃる。あの方があの動作をするたび、わたくしの部屋もわたくしが住むお城も仄かに暖かくなっていく……、不思議なことをされているのね。』
“姉様から不思議な人が居ると念話が飛んできた。侍女から聞いた話によると、この国の東部辺境のエドッコォ家のご子息。床暖房とかいう新技術を施しているのだとか。どういう技術なのかしら?
ピカッ、ゴワラゴワラドォーン!
『ちょ、調子に乗りすぎましたわ。怒られてしまいましたわ。おじいさまもなかなか厳しい方なのですね。』
“はぁ……、姉様も母様も調子に乗るから……、でもわたしも…同じかも。だって、石壁に穴が開けられるかもって思ったとき、凄く落ち着くって思えたから……、狭いところって大好きなんだもの。しょうがないよね。”
クカカカカッ。癇に障る笑い声。
『魔人を目の前にして悠長に構えているなんて、本当に呆れる人ですわね』
“姉様のいう通りだけど。あら、【兎耳】が反応する。念話と酷似しているスキルを使っているみたい。確かにネコ耳持っているけど、【地獄耳】とは言われたくないなぁ。でも、ヒリュキ様もユージュ様もお知り合いだったの? まだ二歳と一歳なのに長くお付き合いしていたみたいな雰囲気? がある。いいなぁ……”
『ヒリュキ、戻った兵たちの監視を、『眼』で見ろよ。プの方たちも一緒にね』
『りょ~うかい』
“は…………、プの方って、誰? ………………………? ああっ、もしかしてわたしと姉様? にゃーー、恥ずかしすぎるーーって。ああっ、お里が出ちゃった!”
“ニャーーーーーーーーー、嫌にゃ、それだけは嫌にゃーーーって、と、止んにゃい?”
内心で焦りまくりのテンパりまくり、頭抱えて悶絶していたら、姉様が……。
『プの方たちってわたくしたちですの?』
『あんたら以外、居ないね? よろしくお願い致します。プ・リウス様?、プ・リメラ様?』
『わたしはプ・リメラ。…リメラと呼んでセトラ様、プの方たちはやめて欲しい。姉様だけにして?』
“姉様、ごめんね。でも、恥ずかしすぎにゃんだものーーー! あっ、ふにゅぅぅ”
『な……、なんてこと言うんですの~?』
『わ、わたくしも、リ、リウス…と。よ、呼んで欲しくってよ?』
“あ、あれ? ひょっとして、姉様も? 恥ずかしすぎにゃん? なの?”
“あーあ、あいつの悪い癖が驀進中だよ。前世でも人間相手だと駄目駄目だったくせに、犬猫には積極的にアプローチしていたよなぁ。二歳で中型犬の首っ玉にしがみついたって聞いたし。ははは、やっぱりアイツはアイツだな。こっちだと、魔獣やら魔物やらも存在しているから、ひょっとしたら無敵のたらしだな”
従姉妹たちのデレぶりに、内心頭を抱えたのはヒリュキ。
“こりゃ、こっちにあるかどうかは知らないけど、草津の湯でもってヤツかもな? どうやら付ける薬は無さそうだし、アイツも従姉妹たちも行く末が心配だな。ま、オレには関係ないけれど……”
遠くで雷が鳴り響いていた。主に東部辺境あたりで。
まるで戦いの始まりを告げる銅鑼のように………。
戦い、勃発でしょうか? 幼くてもやっぱり女性なのです? プ・リウス、プ・リメラ、コヨミは現在四歳。セトラ、ヒリュキは現在二歳。ユージュは一歳。さてさて、どうなりますやら……。




