101, ダンジョンで、……攻略は、十七階へ ③
PCに向かえど、物語を紡げず、歯がゆい思い。
ひとまずはこちらを……。
十六階から階段、降りてきました。
セーフティエリアの障壁の中から見るその十七階の景色は驚きでした。
隣を歩いている大ボケ野郎に、ついツッコミを入れてしまったくらいです。
「シャイナー、これはどう言うことなんだい?」
なぜなら、海の中です。そして、十八階に降りる階段は目の前。障壁から出て数歩も行かないうちに有るのですが………。
障壁の中と外では環境が怖ろしく違っていました。海の中とは言いましたが、真っ暗です。地球的な言葉で言うなら、海の底……、超深海の様相でした。
その中を俺たちはかなりの速度で移動していました。魔王は自分が為した事を忘れていたらしく、呆然としていました。
「ああっ、そういえば魔物に言われてこんな設計にしたような気がする………orz」
とか、言っていました。本音ダダ漏れです。どこの魔物なんですか? これ?
ふと、海の底という事が気になって降りる前のところに戻ってみると土壁の迷宮が鎮座しておりました。心配になって上っては見たもののそこは動かぬ地面に設置された階段でした。一応、足で蹴ってみて確認しました。
それにしても一体全体、どういう設定なんでしょうか?
そんで再び、階段を降りてみると海の中というより他に無いような何処とも思いつかないような海の底を超スピードで移動していました。
海洋生物だという事は分かるのだが、こんな速度でこの深海を自由に泳ぎ回り、しかもだだっ広い大陸みたいな背中?を持つものの正体って何なのか皆目見当が付かない。
それ以前にあの階段までどうやって行くよ? なぁ、魔王様よ?
「アイツの望みが叶えば、浮上するかも知れん。そうでなければ、障壁でも張って到達するしか有るまい。さすがにこの速度と機動性ではお前の転移でも難しい……だろうなぁ」
しみじみと語る魔王にガックリと力尽きながら、力なく頷く事しか俺も出来なかった。
まさにその通り、進路上に有る障害物は跳ね飛ばし、瞬時にその向きを変えてしまうその機動性は俺の転移の座標決定に誤差を与えていた。
陸上での動きは非常にゆったりであるが海中ではまさに水を得た魚?ただでさえ水の抵抗の少ない体を持つ海洋生物の魔物。ただし、こんなだだっ広いと宇宙船か何かに思えてくるが……。
「まさかと思うけど、これもセトラの関係者かい?」
ヒリュキの勘が何かの答えを出したようだけど、答えは出てない。
「まぁ、たぶん?」
関係する動物としてはかつて飼っていたものに酷似しているのだが、ここまで大きさの違うものにはお目に掛かった事がない……。なんたって三十メル級のクジラ並の大きさのサメかフカが、ミミズ並みに小さく一口で葬られている現実に唖然としてしまっているのだから。
「セトラぁ~、アンタ何体の魔物とお知り合い何ですかぁ~?」
ルナにツッコまれていますが、こればかりは俺にも分かりませんて。ちなみに君たちのお知り合いに、こういうでっかいの飼った事ある人っていないんですかね?
そう聞いた俺の目の前では横に首を振るヒトばかりでしたが、何が楽しいのかアルケニーの皆さん十四人がニコニコしていました。
名前を貰ったばかりで、その名前の由来を教えて貰ってさざめいていました。無難に地球の花々の名前を貰っていたようで花言葉とかをGALGIRLから探して、教えていました。何でも好きな相手から贈られた花で占う特集が組まれていたものがあったそうです。
拠出した女性誌のお陰で、魔法士の少女たちの服装は華やかなものになりつつある。このダンジョンを抜けたら、忙しくなるだろうなぁ……、彼女たち。なんと言えばいいのか、とにもかくにも頑張ってね……。
全力で応援しておくよ、いまのうちに。俺たちは俺たちで忙しいから……、手伝えないから。「床暖房」に「ゴーレムハウス」に「ゴーレムキューブ」、造るものが多いです。
と、話は逸れていましたが問題はこの魔物に動きを止めて貰わなくてはならなくて……。
どうするべっかな~、本当に。心当たりは有るには有るのだけど、その手段が思いつかない。話をするにはゆっくりとしたいし、かといって止め方が~だし。
想転移はさっきからやっているが通じていないし、相転移は深海の水?海水?の圧力があるし、送転移は颯転移を使ってもこの機動性に対し無力だ。
こうなったら物理的に止めるか?