99, ダンジョンで、……攻略は、十七階へ
十六階がアルケニーたちの案内で終わったのは、テュッキアの孫たちであった事も関係あるが、案内報酬に釣られたものも多分に関係している。
「コヨミ、リウス、リメラ、手を……」
と言った瞬間を嗅ぎつけた女性陣の目がキラーンと光ると、こちらを凝視していた。
う~む、目敏い!
コヨミ姉ェとプ・リウスとプ・リメラの三人と、お付き合い始めましたと言っても、その扱いも待遇も今までと何にも変わりません。
ですが、証だけは必要かと思い、土魔法でダンジョンの土壁からちょっと光沢のある金属を抽出し、層庫からミスリルの金属糸を取り出し合成しました。
俺は、三人の女性にETCPという文字を花文字にしたもので同一の意匠でそれぞれの中指のサイズに合わせた魔法発動体を渡した。純金を三本のミスリル糸が編み込む形に仕上げている。
無論、土蜘蛛の糸も絡めているから万一の保険としての発信器にもなる。
その指輪型魔法発動体の贈呈式をルナが仕切った。
「中指ぃ、薬指じゃないのぉ、うひひひひ」
あの野郎、ノリノリでやんの。
そのあとに三人同時の告白とその成功を祝して、スイーツパーティなるものを女性陣が企画したのですが………。
「スイーツで乾杯するわよ!」
男性陣が伸びているなかなんですけど、いいんですか?
「いいのよ、起きてもまた、気絶する羽目になるんだから。」
「はい、何かおやつ出して!」
おやつを出すのは、いつも俺の仕事………orz とかで、結局ゴーレムボックスの新型を出しておきましたとも。
アレディアで出したアイスボックスに似たタイプで、二段になっています。
下にはコーンカップが出て来て、上はボックスの一部がオーバーハングになっており、ソフトな感触のアイスを下に流すようになっています。
コーンカップが出たところで回転受けがされると、そこには見事なソフトクリームが出来上がっておりました。
反対側ではクレープなどの焼き物をしています。
そこは障壁の内側。セーフティエリアという名の。普通の魔の物は入ってこれないが従魔は別。前回のこの階ではアルケニーが一人従魔になっている。
彼女はこちら側だけど、彼女たちはあちら側。
魔物と言えど、スイーツは別腹のようで………。
「いいなー」とか「美味しそう」とか、さざめいていますが相手は魔物に分類されていますし、なんと言ってもその裸体に囲まれるとハッキリ言って男子諸君は命の危険性が………。かといって、全員従魔にするというのもどうかと思っていたら……。
『あー、おばあちゃんだけぇー、ずるぅい!』という声に、つい反応してしまった。
ロック鳥のダウンを羽織ったアルケニーのテュッキアをついガン見して、吹き出してしまいました。
「お、おばあちゃんだと………ぷぷ、ぐほぅっ………。」
八本足の移動速度は目にも留まらぬ速さで………、神速のライトフックが炸裂したために、ついうっかり白い部屋に逝きかけました。
想転移を通して、直接聞こえてきたものですから、つい口に出しちゃいました、ハハハ。
膝を突いてその衝撃を逃していたら、目の前に人影が。
「あるじ様を守るだ、です。」
という、やや噛み噛みの言葉で竜人が立って身構えていた。ドラ子でした。
ドラゴンという種の象徴である角は両耳から後ろに斜めに立ち、筋肉質でありながら、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる姿に女性からも歓声が上がる。もちろんドラゴン鎧装装備、ブーツも履いている………、ただ、どっかでみたような格好に俺の頭に?マークが浮かぶ。
「あなた、その格好は………」
そう不思議がるテュッキア。
あ、思い出した。ジャパニメーションで、活躍していたヒーロー戦隊のうちの一人の格好。リュウオウ戦隊で、その中でも俺がファンだったリュウレッドのコス。
参考にするにしても、ソレは……。ま、まさか?
「何故、ソレを………選んだ?」
「え……、あるじ様の部屋にあった絵姿を見て、わたすの姿の参考にしたっす。」
驚きの言葉が。ア、アレを見たというのか………orz
「ドラ吉さぁの格好がカッコ良かったっすもん。問い詰めたっす。」
「あるじぃさまぁ、すんませぇん。」
聞き慣れない声に振り向くと、そこにリュウブラックの格好をした偉丈夫が立っていた。
額当て、胴鎧、手甲に腰鎧、ブーツまでが黒とか、よほどの憧れあっての姿か?
「ああ、ドラ吉さぁ。」
お前か、アレを見つけたのは………orz
「セトラ。アレはどういう事?」
寒気がするような怖ろしい圧迫感がテュッキアから流れて来ました。怖ろし過ぎて振り向けません。
「あ、ああああああアレとは、どどどどどういう事でしょうか?」
すいません。想像が付きません。噛みまくりです。
九州地方の方へ
お見舞い申し上げます。
余震のなか、ほのぼので心を強くお持ちください。
早期の終息と復興を遠き北の地より
祈願しております。