93, ダンジョンで、………十七階攻略?
ちょっと時間、掛かりました。
書きたいモノは多かったのですが、まとまらずに書いては消しての連続でした。
さて、ダンジョン攻略に戻る事になります。
はずだったのですが………。
「源の黒」のヌシの攻撃? というかチョッカイにより、ほぼ有耶無耶になってしまった侵略戦争だったものは一応の解決が為された。あれだけの魔法と奇跡を目の当たりにしたア・クラツ王と魔法士四天王の方々には、毒気が抜かれたと言っていい体になっていたからだ。
ただし、講和条約らしいものは辣腕宰相のタク・トゥルが、相当に有利な条件で、結んだようである。
あの戦争でアレディアから出た人員の多くは、こちらに居着いてしまっているために、こちらでの生活の保障を考えて貰わねばならないし、何より食糧に不安が発生していた。
一、二年でどうにかなる訳でもないが、中長期に考えると、どうしても足りなくなる。
だからといって前世の地球のニッポン州中世期にあったような減農政策みたいな事にならないように、災害時や非常時の際の食糧の備蓄も考えなければなるまい。
アイテムボックスや俺の層庫のようなものだけでの備蓄はどうやっても、じり貧になるだけだからな。
良い案がないか、少し考える事の切っ掛けには、なった戦争だった。
だが、それも魔王様の持ってきたダンジョン・コアが、いきなり解決してしまった。
あとは保存庫の問題が生じるが、それもダンジョンで片付けよう。
層庫ダンジョンを造る事にしたのは、どのみち魔王が持っているダンジョン・コアの数は少なくとも一〇幾つかはあるのだ。
計画的に造らないとガルバドスン魔法学院のダンジョン並みにスカスカのものが多くなるだけだからな………って、そこで凹むなよ、魔王。
シャイナーが凹んでいるのを融合人格のマキシ・マがその記憶を辿っていって確認しては大笑いしているのだから、ある意味で気の毒ではある。
何故、それが俺に分かるかというと、精神的肉体的に融合したとはいえ、まだ日が浅い上に俺の使っている想転移もレベルが上がっていたからだ。
ヒリュキとシャイナーは簡単に繋げられるが、パットには繋げられない。
そりゃもう、エラい事になるからな………orz
なんといっても針の筵のキッツイ正座になるので、あんな経験は、もう嫌だし……。
なんで、コヨミ姉ェとかプの姫君たちがあんなに怒るんだ?
まぁ、近づかないどこ。
あと砂漠に造り出した人工の湖は、現在は潤沢な水の補給地としての需要が高く、オアシスとして活用されている。「床暖房」の資材として回収しようと思っていたのだが、意外に砂漠を移動する人たちからの嘆願書が多かったためによる措置であるである。ああ、ドラ湖の方はドラゴン常駐してますので。
「セトラくん、お国の方の騒動は大変なことだったようだね。だが、ダンジョン攻略も疎かにしてもらっては困るのだがね。君たちのいない間にまた魔物が増えてしまった。前回の最後の攻略から一年が経過したため、途中の階からの攻略がキャンセルされてしまっている。申し訳ないが、一階からの攻略を始めてくれ給え。」
俺たちは、ガルバドスン魔法学院へと戻った訳ではあるが、学院長の非常に有難くないお言葉により、ダンジョンの攻略が戦争で余儀なく止まったために、十七階からの攻略だと思っていたのが、まさかの一階から始まる事になったことには、何とも言えない衝撃しか残りませんでした。
戦争に関わっていた時は、短く感じていたのですが、実際には一年以上の時間が経っていた事が判明しました。
明日は俺の六歳の誕生日だそうです。
で、ガルバドスン魔法学院では、新規の学生の受け入れに忙しく、ダンジョンには誰も入っていないという事で、最初から真っ当に攻略しなければなりません。
一度目にエラい事になった攻略のあと整備していましたが、あれから一年。
どんな風になっているのやら、再攻略でありながら先の見通せない攻略が始まります。
中庭の門にいったら、三十セチくらいの厚みの内壁にある壁画の中の門番が、『ここは、ダンジョンの入り口。覚悟は良いか?』と、訪ねてくる。
妙に懐かしい。去年は入る時に見たっきり後は、セーフティエリアへと真っ直ぐ転移していたからな。
久し振りの学院長の魔法印を見せて『いつでも』と答えて、ダンジョンに入れてもらう。
『一年ぶりの挑戦者を歓迎する。一年もの間、魔物の駆除がされておらん。おぬしらの後続を含めて何パーティで臨むかね?』というセリフにちょっと驚いた。
学院長…………。俺たち以外を受け付けていないだけじゃないのか?
あの後の一年もの間、時間を開けていたとしたら、中は以前以上に相当に凄いことになっているかもしれないな?
それも魔王様が融合前にやった残業のお陰で少しはまともなダンジョンになっているはずなのだ。そのはずだが、今回は俺も少し噛んでいるために、ますます攻略に面白味がなくなっていた。
「さてと、一階から始める事になりましたが、今回は俺は後ろで監督していますから。ちゃっちゃと進めていってくださいね。前回と違って、スライムの数も少なそうですし、一本道でもないので、役割分担して、攻略していきますよ。六人ずつ組を組んで二班ずつ組んでいきましょうか。安全な攻略をしていけば、おやつポイントに加算されます。」
そう言った瞬間に女子から質問が飛んできた。
「「「はいはーい、質問。質問。」」」
何人かが纏まって質問をしてきたのだが、その顔は真剣を通り越して、鬼気迫る勢いだったので、つい、圧力を感じてしまった。
「ど、どうぞ?」
声が震えたのは仕方ないよね。
「そのおやつポイントって、おやつの種類も選べますか?」
コケた。
「そんなにそれって大事なんですかい!」
「一大事だよ。やる気に繋がってくるもの、ねぇー。」
というレイの言葉に周りが賛同する。
「大事だよね。」「うん大事。」「一大事だよ!」
大挙してくる賛同の言葉に、声も出ません。
「………、分かりましたよ。ポイントに組み込みましょう。では、二組でスタートしてください、土蜘蛛糸電話の子機は持ちましたか? では、第一陣出発してください。」
ようやく、ごく普通のダンジョン攻略の始まりです。
これで十六階までって、どのくらいで着くんですかね?
ある意味、楽しみかも………。さぁ、一階は確か、スライムだったはず、頑張ってくださいね~。
第一陣は出発した。
六人×二組と、従魔を大量に引き連れて………。
おい、そりゃ無いだろー? 殲滅する気かよ………orz
読みやすくしました。4/3