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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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92, 暴走した魔王の残したもの

 エドッコォ領で英気を養いつつゆっくりしていましたら魔王のシャイナーさまが、ふっ飛んできました。

「セトラ、ヤバイ、生まれる!」

 その焦った顔を見て出た俺の言葉は……。

「お前とパットの子か?」

 どがん!






 そこから記憶が有りません。

 なんか凄い衝撃があったような気がするのですが、周りの人たちを見ても目を()らすだけです。はて、何が有ったじゃろ………?



「セトラが気絶している間は成長しなかったから助かるが、危急の場合は命取りになるからな。気を付けるように。」

 頭をさすっている俺の後ろでどなたかが、シャイナーに怒られていました。

 俺? 俺は、振り向けませんよ、コヨミ姉ェとプの方たちが目の前で睨んでいますから。

「セトラちゃん、正座ですよ!」「「正座です!」」



 というわけで「生まれる」ことが判明したのは、ダンジョンでした。


 いつぞやの記憶喪失事件の際に、魔王国の宝物庫まで行ってきた方がいまして、ポケットに入れていたそうです。

 ってか、ダンジョン・コアってポケットに入るくらいの物だったんだ………orz


 殴られた衝撃で、一時的に経路(パス)が閉じたので俺が目覚めるまで「生まれ」なかったらしい。だが結局のところ、ダンジョンが誕生した。


 しかし、このお馬鹿さんは魔法薬の一種だとばかり思っていたらしい。

 一掴(ひとつか)み持ってきていたそうで、それらが順次生まれていくらしいです。


 なんというか、ダンジョン・コアを魔王国の宝物庫から持ち出していたバカが俺の近くに()り、そのダンジョン・コアが何故か俺の魔力を微量にでも吸い続けていたのが原因(特に、時空間属性のは強力に吸い上げていた)で、結局のところ雪狼の森であるカクシの森近くにダンジョンが口を開ける羽目になった。


 もちろん、このダンジョンはパレットリア新国の中の俺の私物であり、俺の魔力を吸っていたという事は………、ダンジョンマスターにされてしまっていたと言う事だ。


 そのダンジョンは、階数を増やしつつも順調に育っている。初期に食った魔力だけで育っていくんだから……、どれだけ食ったんだよって思うよ。

 既に五〇階層を超えた。五〇階を超えても増えていくダンジョンに恐れ入った。

 どこまで行く気なんだろう?


 俺は、それぞれの階にセーフティエリアを設置し、自然?のままの従魔たちの生活を垣間見る事が出来るようにしたために、他国からも視察や観光の一大拠点になっている。

 従魔のダンジョンのセーフティエリアの方に、別のダンジョンがくっついていると言っていい。

 隣接する別のダンジョンとの接合部は、透明化されているだけで、どちらからも音や声や魔法、スキルを遮断する障壁が造られているし、セーフティエリアの近くなどでの愛の営みなど発生した場合は、保護者権限でダンジョン同志の接続をカットする仕組みである。


 視察や観光用に直通のルートもあるが、お(すす)めは、冒険者としてのルート。

 どの魔物がどの環境に存在しているのかを実地で学ぶ事が出来る。


 もっとも、そちらは、普通のダンジョンなので、見たい魔物の階数に行けるかどうかは運と実力次第である。こちらの入り口は、パレットリア新国の城門の隣に口が開いているが、冒険者ギルドに貸与(たいよ)したゴーレムによるプレート審査が行われている。


 しかも階数ごとに冒険者プレートを提示するようにレベル制限を設けているが、そんなところにまで職員を配置する冒険者ギルドなど無いため、ゴーレムハウス簡易施設版を設置し、ゴーレムが定価での販売や買い付けを行い、プレートの確認を(おこな)っている。

 その判断により、先に行ける部屋とそうではない部屋に分かれている。


 と、まあこんな具合ではあるのだが、既にダンジョンが三つ………稼働している。


 三つ目も特殊な造りになっている。

 先の戦争の時にこの国に流れ込んだヒト族の数はかなり多く、只でさえ、砂漠の気候のパレットリア新国では、食糧の供給に負担が大きくなっていた。そこで、カウエルの居た地形や薬草などの草類たちの居たダンジョンの階層を参考にした設定にしてみた。


 階層は既に五〇階層くらいには成っているのだが、ダン(ダンジョン)マス(マスター)権限で、ダンジョン・コアに到達しない階層までの水力によるケーブルカーを連結で動かすようにしてある。


 各階層には、いろんな畑や水田や果樹園などを整備してみた。俺の時空間属性の魔力を多量に吸い込んでいるために、ダンジョン内部の経過時間が多少なりとも調整可能になっているため、種まきから収穫までの時間が短くなっている。これは単純に嬉しかった。

 収穫などは、ヒト族による手作業だ。

 そのうち、何か考えよう。


 このダンジョン・コアの一件は魔王に言わせると、「黒」対策という事だった。

 魔力が一ヶ所に集まり過ぎると、どんどん(よど)んでいって歪曲点を造り出しやすいのだそうな。ってか、後から考えたろ、それ。


 そのため、ダンジョン・コアに注ぐ方法が良いのではないかという事だった。

 とは言うものの、ダンジョン・コアの持ち出しは魔王国でも問題になっており、彼はこれから先代魔王様からコッテリ叱られる予定である。


 だがしかし、マキシ・マと融合(フュージョン)?したシャイナーの(げん)であるからなのか、意外なその理論がすんなりと受け入れられたのが、自分でも不思議だった。

「シャイナーにしては、考えた方か……。」


 パットの必死の呼び掛けとそれに引きずられる形で発動した、俺の時空間属性の召喚魔法によって、パットの父シャレーの居場所が明らかになり、その召喚に伴ってこちらに来た黒い子豚の従魔?or使い魔?の首に付いているプレートによって、この大陸に係累(血筋?)が存在する事がサッツシ・ダクィタによってもたらされた。


 レディアン皇国女帝、ミレリー・レディアン・ミズノがその係累であり、アレディア救済教議会に神書として造られたものよりも前の時代の伝説の中と、一週間の曜日にその名が残っている。だが、ヒリュキに融合したヒリュキによってそのあるじ、ワタル・ミズノであるという事が分かって逆に俺たちが驚いた。


 意外に神代(かみよ)は近いという事か?


 この事件のあと、パレットリアは、ダンジョンの多い国として一大ブームを巻き起こすのであるが、いずれにしても、俺たちに出来る事は限られており、いまは、停滞(とどこお)っているガルバドスン魔法学院のダンジョンの攻略に励む事になる。


 あと、十七階からの階層の攻略ののち、その扉というかポイントというか、歪曲点というか、特異点というかの場所に着くはずです。

 黒い子豚という鍵は既に拾っていますから、ひとまずその扉の前まで行かなければなりませんね。


 さてさて、鬼が出るか(じゃ)が出るか、はたまた前世の繋がりか、です。


「明日から、ダンジョンの攻略に戻ります。今日は、ステーキ祭りだぁ。」


「「「「「おーーー!」」」」」


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