91, 大暴走《スタンピード》 ⑮終局
タクラム砂漠に面しているというか、パレットリア周辺諸国には「床暖房」の工事の進捗の確認ついでに、今回の一件をざっくりとしたレベルで話すところと、スクーワトルアなどの関係国には詳細に話しておくところが存在したが、対応の面で苦労したところは少なかった。
詳細な報告はスクーワトルア国、魔王国、パレットリア新国がその対象で、タクラム・チュー皇国にも数段落ちるであろう報告書が行く事になる。
ただ、どの国にも、『源の黒』の事だけはしっかりと楔を打っておく事にした。なぜなら? どんな世の中でも必ず崇拝する者の出る「神」の関連だからだ。
古来、前世以前の地球においてもこの「黒」の信仰は、枚挙に暇がないほどに報告されている。報告されているだけで、それなのだ。
闇に紛れているものがどのくらいになるのかは想像も付かないものなのだ。
そして、「白」も過ぎれば「黒」と同じように染め上げてしまう………、今回の俺たちの攻撃のように。「白」系の魔法とそれを閉じ込めたミスリル箔(金箔みたいに薄くした)を纏わせた表面が金属で、中身が純水で凍らせた氷の多積層構造の内部反射を利用して封じたため、いかな「黒」でも、しばらくは出ては来れないはずだ。
ただ、「白」と「黒」は相克の関係。
いずれにしろ復活は明言されているものなのだからな。
それまでの間に、人生でも謳歌していよう。まだ俺は五歳なんだからな。
というはずだったのだが………。ちょっと誤算が生じてしまった。
今回のアレディア周辺の戦争関連のために各国で行ったデモンストレーションが効き過ぎた。主力商品の「床暖房」とゴーレムハウスやゴーレム箱の受注が絶好調につき、製造工程の見直しと、俺とその仲間たちは、設置工事や調度品などの工事に没頭せざるを得なくなり、悩んでいる暇もないほどである。
え~、宣戦布告ですが、お取り消しになりました。
「源の黒」の出現で有耶無耶になったせいです。
で………、ア・クラツ王からのお言葉が、これ………orz
「伏して、お願いする。このたびの貧民窟の崩壊による難民の貴国への避難入国に際しての寛大なるご理解、ご処置を遇して頂いた。このお礼もしたいのだが、このままではこちらの国自体が崩壊いたす。なにとぞ、このゴーレムを譲って頂きたい。そして、今後も継続して購入させて頂きたい。ゆえに、セトラ王の寛大なる処置をお願いしたい。」
アレディア帝国に王と魔法士四天王とを送り届けました。何やら、五人とも沈思黙考しておりましたが、転移は一瞬ですから。
ところが、城に送り届けると、ゴーレム箱の周りは、悲しみに沈んだ奥方さまで埋め尽くされておりました。
その後、ア・クラツ王にはお国に戻って頂いたが、送り届けたその場で、「床暖房」とゴーレムハウスの発注を頂いた。ゴーレム箱にいたっては、すぐの設置を望まれたため現地にあった一つを正式稼働にした。といっても俺の魔力で目覚めさせるだけでしたが。
ゴーレム箱の受注も、現在は相当な数に上り、順番待ちをして頂いている。………まだ、スクーワトルアでさえ、終わっていないのに…orz
「ひとまず今日は、戦争も終わった事ですし、地下からの珍客もお帰り頂いたしで、実家に帰らせて頂きま…………、嫌だぁ、俺は帰るんだぁぁぁぁぁ、あっ、お前ら、助けろよ。」
「お前だけ帰るってそういう差別はいけない。行くならみんな一緒だ。」
復活を遂げたお三方の重みのあるお言葉に何も言えませんでした。
「……ちぇっ、分かりましたよ。エドッコォ領でワインパーティをしませんか?」
ポロッグとカウエルを手土産に、新型のゴーレム箱をお土産に持参して、エドッコォ領自慢のワインをぐい飲みし、かっ喰らうパーティです。
「私たちも参加していいかな?」
と、アレディアには戻らなかったアキィムとカオリ・アネィの夫婦も参加を希望していた。どのみち、ヒリュキの事はスクーワトルアに報告しなければならないんだし、結局参加を許可した。
大きいパットが言い残したエテ「ルナ」への伝言は、きちんと伝えられた。その言葉に呆然としていた時間は短くは無いが、それでも自分なりの答えは出していたようだ。
眼の端に涙が滲んでいたが、キナコに舐められてニヘヘと笑っていた。
「さぁ、今日は飲んで食べるわよ!」という言葉に周りのみんなが慌てるのが見えて笑いを誘っていた。
「セトラさま………」
「分かっている。ノンアルコールのワインを飲ませておくから………orz」
何度も同じ轍を踏んでたまるか。少しずつでも前進するんだ!
「今日のデザートはミルクアイスにするか………。ソフトクリームも良いな、うーん。クレープのトッピングに使うか………。」
ブツブツ言いながら、参加するヤツらが来るのを待っていると、チョンチョンと肩を突かれました。見るとルナがイイ笑顔で、こう言いました。
「全部食べたいかも………」
こいつはこんなヤツなんですよ……orz って。周りで多数のヒトが頷いていました。
「んじゃ、行こうか。……総転移!」
百二十三話、終了時の時のレベル、
【名】エト・セトラ・エドッコォ
【職業/サブ】魔導士Lv99/気象魔法士LvMaX+α、魔物誑しLvMaX
魔導士は魔法士の上級職、LvMaX+αはLvドレイン攻撃を無効化する。
【称号】竜殺し、魔王の友達、国王、国家魔法学院講師、ダンジョン・リーダー、魔物誑し、指揮官、料理人、新工法の発見者、
【HP】15800
【MP】79,959,229
【STR】729
【VIT】799
【DEX】762
【AGI】752
【INT】999
【LUK】900
【属性】
火724/水701/土853/風MaXにつき上位の源の白にクラスアップLv5/光708/空間LvMaXにつき、時空間へ、上位変換し、Lv8/闇710/無693
【スキル7/10】
身体強化82/ダッシュ80/鵜の目28/予知80/状態異常回復55/
時間制御62/障壁制御8/
【控えスキル1/10】
お笑い65
【装備】
竜革の靴/国王の竜革製魔銀防護子供服(上下)/短剣/まきびし数種/指弾/長剣