90, 大暴走《スタンピード》 ⑭共同体
『僕らの体は君たちと、それぞれが一人ひとつになってしまったけど、意思は二つ。今は君たちがメインで動いていいさ、僕らはまだ何もこの世界を知らない。君たちを知らない。危ない時には手伝おう。僕らは君たちの中で微睡んでいよう。今は、大事な人たちと共に居る、それだけで良いよ。パットもマキシ・マもそれでいいよね?』
ヒリュキの中というより、少し高度な次元の中で交わされた意思。その状態はパソコンの中にあるHDと外付けのHDの違いというところか?
ヒリュキの問い掛けに、頷くパットとマキシ・マ。
『結局、わたしたちは運命共同体なのよ。それぞれが生きていられる幸運を喜びましょう。』
『そうだな。私はパットとは初めて直に逢ったのだし、このような機会があった事に感謝したい。』
『そうだね、僕たちも助かった事に今は感謝しなくちゃ、ね。そして、僕たちもあなたたちを知りたいな。パットもシャイナーもそれで良いよね。』
ヒリュキの思いに、頷くパットとシャイナー。
『本当ね。父さまの事もあるし、二人の事もあるし、色々と知りたいかな?』
『この出会いがこの先を心配する事を出来るようにしてくれたのだから、本当に感謝したいな。』
『私たちはあなたたちの中で時が満ちるのを待ちましょう。たまには夢で話し合いたいかもだけどね。』
『『『『『『そうだね、夢で会おう!』』』』』』
そして、少しだけ、八歳前後くらい?に成長したヒリュキ、シャイナー、パットが自分たちの体を不思議そうに見ていた。
彼らにも戸惑いがあっただろうけど、俺には、全てが見えていたし、聞こえていた。
時空間属性を全開にして、あの出会いの空間を維持していたんだもの。
他のみんなは、どう声を掛けていいか迷っている。そりゃそうだな。それを言ったら、テュッキアとかホシィクとかどうするんだよ?
こっちで百年近く俺たちとの時間差があるぞ? …………、す、すまん。バラしてしもうた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
テュッキアとホシィクさまに制裁を受けました。
という訳で、なんとか復活しました。あれ、何の話でしたっけ?
どうも記憶が飛んでいるな。
まぁ、いいか。そのうち思い出す事もあるかもしれない。
なんか、思い出したら怖ろしい事が待っているかも知れない気がする……………orz
色々とあって、ふと、我に返るとア・クラツ王とアキィムが呆然としておりました。
ハテナと思っていたら、ああ、「奴隷」が「奴隷」王に手を上げていたからですか?
あなたたちもやってみますか? 簡単に掴まりはしませんよ? それ以前に、土蜘蛛くんがあなた方の背中に狙いを定めていますからね。
という風にアイコンタクトしていたら、従魔の連中が大挙して押し寄せてきた。
ヒリュキには、メリンダが。パットにはスキップが。シャイナーには森林狼のフォーレが
『アオ~オウゥゥオウオゥゥゥ、クゥゥゥン』
夢幻狼のメリンダがヒリュキに駆け寄ってきて、顔をすり寄せている。彼女は眼に頼るよりも鼻でヒリュキである事を確かめていた。
というか、その言動って蕩けてませんか、メリンダさん?