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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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84, 大暴走《スタンピード》 ⑧

やっっっっっと、話が繋がった。はずです………orz

ややこやしい所に踏み込んだような気分です。

 最初がいつだったのかは、それも知らない。


 こぽり。


 暗い海の底のような意識の底で、ごくごく小さな意識の泡が弾けた。


 こぽり。


 ごく微細なその泡は、抑圧された世界からほんの少しずつ外の世界へと向かっていた。


 それは確実に近づいていた【白の世界】に…。





「源の白」と「源の黒」は相克(そうこく)の関係であり、陽と陰の関係でもある。


 アレディア救済教議会の神書としている『源の書』の中に記されている有名な一文が前述のそれである。人類の発祥の場所は、何もない『黒の世界(ブラックホール)』から溢れた『白の世界(ホワイトホール)』から形作られた。

 この一文は【蘇った者(オペレッタ)】たちによって構築されたものだった。

 

 《黒の世界》には『源の黒』が、『白の世界』には『源の白』がその法則性を生み出していた。しかし、どちらが善でどちらが悪などという基準はない。

 ただ、物の在り方、事の在り方が違っているだけだった。


 いつの時代もその物事に善悪を押しつけるのはその時代の人類。

 そして、押しつけられた善悪が後の世の人類に影響を及ぼす、また………。



 最初、小さかったその音の源は、いまや砂漠の底で響き始めていた。

 岩サソリたちの絨毯攻撃でもなく、キラーアントの侵攻でもなく、ただ、地の底から響く地鳴りのような音が静かに響き始めていた。

 

 最初に気付いたのは砂漠ワームのゲン、仲間にパレットリア新国の城内へと戻ることを命じた。と、同時に俺と繋がっていた想転移(パシスタ)にも、警戒の言葉を伝えてきた。

『あるじ様もお感じになりましたか? 良くない光が近づいております。先の会議の際の湖の設置をお願いします。侵攻してきている彼らがそのエリアへと踏み込むとなんだか………。』

『分かった。今行く。』

 砂漠の状況に敏感なゲンの差し迫るような言葉だ、これは大事にせねばなるまい。

 彼らを押し止める茶番はここまで。


「急用が出来たので、私は国に帰ります。宣戦布告はしましたし、こちらでの用事は済んでいます。ああ、その箱は私が帰る時には、一緒に持っていきます。というかリンクが切れますので、残していっても物は出て来ませんよ?」

 持っていくと言った段階で、その箱の周りに人垣が出来たので一応の対応を話しておく。

 まぁ、それでも人垣は消えないので、放置することに決めた。


「では、急ぎ失礼します。」

 転移を呟こうとした。


「行かせると思うてか?」

 そこに大剣を振りかぶったア・クラツ王と杖を(かざ)した魔法士四天王たちの魔法が四方から迫り来る。


「お、お前たち、それは……」

 魔法士の長老が驚きに震えているほどの威力の魔法が放たれていた。

 水と火と氷と風の極大合体魔法の雷塵(ライジン)、放って置いてもいいがそれだと、この部屋に居る者は術者も含めて一人残らず、いや一人と三匹を残して全滅する。


 俺と従魔の三匹。


 宣戦布告はしたが、自滅して貰っては意味がない。

 これから来る黒の大海嘯(だいかいしょう)(大津波)に、対抗するにはって、え?


『これから来る黒の大海嘯』?


 何でそんなことを今になって思うのだろうか、俺は……。


 その一瞬は、この間延びした時間の中で、突如、訪れた……。

 ぐらぐらっと直下型の巨大な揺れが、襲ったのである。砂漠地帯であるがゆえの砂の流動化していく。


 指向されていた魔法にそれぞれ障壁を飛ばして、その極大魔法の成立を妨げる。

 タクラム砂漠の中心部が巨大な泡となって弾けたように俺の予知が叫ぶ。

『ディノ、火もぐ・ロードを浮かせて、壁を作れ!ユージュ、渦でも壁でもいい、みんなを頼んだ。シノブ母さん、エドッコォにも壁を!』


 最速でみんなに想転移(パシスタ)で指示を出して俺は、タクラム砂漠のど真ん中にアレディアの王様と魔法士四天王を連れて転移した。

 現状を把握するために、彼らにはそれを認識して貰うために。


 即座に魔力展開し、層庫に入れてあった加工済みの岩や石を敷き詰めていく。

 そして、障壁内に閉じ込めた大量の水をそのど真ん中に流し入れる。あまりにも大量の水に即席の湖が完成した。

 その湖に魔法陣を象る光が走る。一重(ひとえ)二重(ふたえ)三重(みえ)と。


 一番中心にある魔法陣は六芒星を(かたど)ったそれで、その一つの頂点に俺、反対側にア・クラツ王、俺の左側に風と水の魔法士、右側に氷と火の魔法士、真ん中に転移させたのはルナ。

 魔法学院で有名な伝説を作った魔法士。【掴む】ことを個性とする魔法士。その手が浮かべているのは、極大合体魔法を構成するための魔法だった。それを自らの立つ魔法陣の足元に開いた穴、いや、それは砲身。そこに、無雑作に入れていく。

 その動作に驚くものの危うさはない。成すべき事を成す、そう考えて行動しているようだった。


『フル・ファイア!』

 そして、足元に向けて、地下へと、それを撃ち放った。

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