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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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「奴隷」の国のレポート

 で………、止まった。

体調が悪かったり、残業が凄かったり、

折角、書いた文章を削除してしまったり、

色々ありました………orz

 隆起した要塞では、砂の下に埋もれていた居住区が「奴隷」の自由民たちが(みずか)ら中に有る大量の砂を運び出し、それを城壁外に設置された貯砂地へと流している。

 砂漠に吹く強い風で舞わないように、設置された石の筒の中に流していた。

 もちろん、城壁内に隣接した堀の中にも流されている。


 自分たちの住居の確保のためにその行為への意識は、非道く高いものだった。

 流された砂は、時折降ってくる雨で塩と砂に分かれ、精製されていくのが直に見られるのである。


 砂漠に雨なんて魔法でしかあり得ないのだが、ここでは魔法の他にもう一つ、本当に雲が湧いて、降ってくるのである。旧城よりも手前の湖の反対側に現在のパレットリア新国の王城が建ち、その周囲には家臣がたの住居区画がある。

 その王城には張り巡らされたテラスがあり、そこに出られる人物により、雨が降るという不思議があった。

 セトラ王、コヨミ様(よく、セトラ王の横におられる)、ユージュ王子(この方は他国の王子ではあるのだが……)、イクヨ様(この方は家臣に当たるのか?)の四名のうち誰かが立たれると、割合的に雨の確率が高く、国民たちも目安にしているようだ。


 そんな普通には、あり得ないこともここに先に住んでいる住人たちの中では、当たり前の常識だった。


 この国の奥まったところに湖があり、尖塔型の古い城が建っている。


 アレディアにもあった神の雷の塔と、同じものが。アレディアのものは暗く眠っているかのような静けさだったが、こちらの国は、明かりも纏っていないのに、静かに息づいているように感じられる。



 城壁の門を通り抜け、豊かな町並みとその中に広がる市場(バザール)の盛況さに心を奪われた。アレディアとは比ぶるべくもないほどの格差だった。人々は笑顔で働いているのだ。そして、目の前にいる人々の腕にはあの腕輪が。


 初めて、腕輪を着けた時に行われた試し斬りの催しは、知らず溜息が出た。

 試し斬りに出てきたのは御年五歳の少年、いや、幼年王だった。


 キン! という音と共にその幼年王の周囲には薄青い色の付いた障壁が張られ、斬撃も魔法も弾いていた。王は、張られた障壁の中で、ゆったりと過ごされていた。


 説明によれば、この障壁は張られた時点で移動が出来なくなるということと、自分も攻撃できなくなるということだった。この国から出て持ち逃げしても良いが、何かで攻撃されるとその場で足止めされてしまうとのことだった。


 そんなことよりも何に驚いたかというと、その幼年王の腕にもあの(・・)腕輪があったからだ。

 ということは、かの幼年王は王でありながら「奴隷」という事でもある。

 この国は「奴隷」で構成されているということか!


 それならば、城壁外での対応も納得がいく。あの入国申請の時に騒ぐことの有った者たちでさえ、王の腕輪を見てしまうと何も言えないでいる。


 ただし、ただの「奴隷」王では無いようだ。市場における価格の動向や、周囲に配置されている側近と思われる方々も一級、それも超一級の方々が伴われている。


 魔法学院で伝説を打ち立てた魔法士たち、大国スクーワトルアの元宰相がこの国の現宰相であったり、各国の優秀な人材が豊富に揃っていた。


 市場で取り揃えられている物も種々雑多で、以前は我が国であったはずのアレディアのもの(・・)まであることが、静かな脅威を感じた。つい、数週間前にアレディアの大通りに店を構えている服飾の店に有ったデザインの、というか支店がこちらに有った。規模で行くとこちらが本店なのでは無いだろうか?


 ヒト族の…この国では、獣人族や亜人族、魔人族、そして人間族を総称して、ヒト族と呼ぶ。そうでなければ、纏まらないだろうとは思う。

 この国の王の気質は住民にも伝播し、虎獣人であっても「猫科(ねこか)(ビト)」であり、特徴の無い普通人は「普通人(タダビト)」とも呼ばれている。


 この国の王にとっては普通人であろうと、獣人や魔人であっても………ヒト族なのだ。


 そして、ヒト族の皆があの「腕輪」をしていた。



 さて、レポートも終盤にさしかかり筆者も小腹が空いた。最後に食事をレポートしてみようか?

 この国の街角ではコーバンというゴーレムの家があり、ゴーレムの目が光っている。


 その下ではゴーレムの焼き物屋がいろいろな物を焼いていたりもしていた。

 アレディアにあったセンベーのようなものを薄く焼いたものに各種の果物や生クリームなどを載せるクレープというものがあったり、焼き物をする鉄板を取り替えることでタコ焼きや福焼きをしたりと、街角で軽い食事が出来るようになっている。


 負けじとヒト族が出す屋台があるが、そちらは、魔物の肉を串焼きにするモノであったりと、多彩である。


 王はあの時語った言葉に食料は無いとか、仕事は無いとかがあるが、とんでもない!

 ありすぎて困るほどである。


 かくいう私は新聞記者と緊急時の防衛隊員を兼務している。

 まぁ、戦場のレポートも王の許しがあれば書いてみたいものだ。





 アレディア国の元破壊工作員、ベレル・グリーンがお送りした。

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