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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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76, ダンジョンで、………戦後報告⑬ 天地無用

 マッピングしながら分岐の(たび)に二人ひと組の探索班を分けていたら、最終的に俺だけが残り、他の分岐に向かっていました。とにかく広い階で、俺は俺の知らないうちに中心部へと嵌まり込んでしまっていたようです。


 いや、今から考えてみると俺が分岐を把握する前に、土壁が動いていたような気がする。


 というか、俺の把握できない位置から動かしていたのだろう。なぜなら、俺にとってはとても高い塀というのは行動を阻害する遮蔽物という以外に言葉が見つからないからだ。


 そう言い訳をしたいなと思っている、みんなには。


 マッピングしているサブ画面は目の端に存在しているが、他の連中との糸は切れておらず、すでにこの階の反対側へとみんなが移動していた。


 つまりはターゲットは俺だったということ。まあ、アダマンスライム二体だけっていうのは、確かに狙い目かも。


『あるじ様、同族の気配が強くなってきます。』

 そう指輪の土蜘蛛から想転移(パシスタ)に反応があった。


 ということは、上か?


「ライト・フル!」

 暗闇で、相手は蜘蛛の魔物。目つぶしは最低限の攻撃法でしょう。

 すでに蜘蛛の糸の上のようで飛び退くことは自殺行為なので、風を纏いつつ、ライトをぶちかます。自分も眩しかったが、相手は、天井からボタッと落ちてきた。


 クモって聞いていたから用心していたんだが………。

 ライトの効力が切れる前に、落っこちてきた魔物の姿をまともに見て、俺の血は逆流した…………。






 主に、鼻から奔流となって吹き出た。

「こ、これは……、いい物だぁー。………がくっ。」












「うわっ、眩しっ! よくもやってくれた………ね? ちょっと土蜘蛛の……、こいつはどうしたっていうんだい。さっきまで元気よかったじゃないか? お前さんが誘ってくれたから、その前にあたしの力を示しておこうと思って雰囲気を出してみたっていうのに、何でこいつ、血の海に沈んでいるんだい?」


 指輪の土蜘蛛と会話しているのはアラクネという女性の体の上半身がついた蜘蛛の魔物。

 俺の意識は完全には閉じておらず、目の前をフラッシュバックが何回も通り過ぎていく。

 これは、ルナに勝るとも劣らないほどの脳内の映像ファイルに追加、永久保存中である。



 アラクネという魔物は上半身に女性の体を持っている。

 正確にはボンキュッボ………までの裸体を乗せている。


 そう…………………、裸体である。

 こっちで遭遇するような人物なら、俺も気にしない。脳内ファイルに保存しようとまでは思わない……、多分。きっと。



 そういうことだよ。明智くん。


 見知った顔立ちがそういう状態ですもの。俺でも血の海に沈みますって……。

 本当に破壊力抜群で……、ぶはっ。ピクピク……。




 従魔化要請が土蜘蛛から来ているのだが、従魔化したとして本当に俺が無事でいられるのかが、不安なところ。他のみんなに合流しても危機は続くのだから。合流したら何人かは気が付くだろうし、本人も気付くかも知れない。





 ホシィクといい、君といい、何でそっち系統なのさ………orz
























『土蜘蛛の旦那からの要請だし、あたしも外に出てみたくってねぇ。だからといって、外に出た途端にヒト族に追い掛けられるのもハッキリ言って、うざいからねぇ。だけど何だって、こんなもの寄越すんだい? あたしら、昔からこんなものは着けないんだけどねぇ。え? あんたの命の危険だって? なんだい、そりゃあ。でも良い肌触りだねぇ……、え……ロック鳥のダウンで造っているのかい? そりゃ、嬉しいねぇ。』


 というのが、アラクネのテュッキア・ラダと話した内容です。



 ほぼ、ホシィクと同じ頃に生まれたようです。


 ホシィクも最近、ヒト語を話せるようになってきた。その時になって後悔しないように準備は整えておきたいからな。


『従魔化契約に、あるじは必要だけど、変更は可能だからな。』


 いつまでも同じヤツに契約し続けなきゃ行けないわけでもないから。

 そう言って、俺とテュッキア・ラダは契約を完了した。


 あとは、みんなと合流するだけです。


 ふと、契約の終わったあと、何故かテュッキアが震えています。

 寒いのかなと思ったのですが、こちらが急激に冷えてきました。

 まさか、まさか、まさか、まさか……、もう、気が付いたっていうんですかい!



「みぃ~た~な~~」

 幽鬼がそこに立っていました。流暢なヒト語に気持ちの強さが伝わってきました。

 俺、生きていられるんだろうか?
















 クモの方のおしりから出てくる糸に、ぐるぐる巻きにされて、土壁を飛び越えて、みんな元に帰還しました。


 従魔としての契約に残っている強制力【普段はフリーにしています】を一つだけ効かして、みんなの元に戻りました。

 『服を着ていろ』というそれだけを、効かせました。種族の本能としては、逆らうことになるようなので、慣れてきたら解除する予定です。




 でも、結局みんなのところに戻った時、冷ややかな視線で刺されまくりでした。


「「「テュッキア!」」」

 ああ、みんなが(たか)っている。


「アラクネってっことは、……。」

 レイとか、ジュウンとかイクヨとか何人かが、集まってコソコソと話をしています。

 ハッキリ言って、おっかないので、視線をそっちに向けないでいると。

 男たちが寄ってきました。


「見たのか?」

 答えられるわけがありません。

 答えた瞬間に白い部屋に直行するとしか思えないからです。

「ノーコメントです。」



「今日は、もうパレットリア新国に帰ります。血も足りないですし、ゆっくりと風呂入って暖まってきます。それじゃ………。」


 ガシッと、見えない手に掴まれました。上達したな、レイ。でも、逃げる!

 さらに土蜘蛛くんの糸とテュッキアの糸が絡んできたので、しょうがないから最後の手段ですね。


総転移(オールスタ)


 一切合切、全部持ってパレットリア新国に転移しました。

 そこで待っていたのは、とんでもない事態でした。

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