75, ダンジョンで、………戦後報告⑬ 迷宮入り
今回は短いのでもう一つ。
十六階に降りてきました。あの動物王国みたいな十五階とは様相が一変していました。
目の前には、土の壁が乱立しており、いくつもの分岐を持ったそれこそ迷路がありました。天井まで聳え立つ土壁は、頑丈でゴーレムハウスのパワーで殴りかかってもビクともしないものでした。
「これは、分岐点ごとに魔物と二人ひと組で調査に行ってきて貰いましょうか? 糸電話くらいならいつでも繋がるから緊急時用に持って行ってください。土蜘蛛糸電話子機です。土系統の素材があるところなら、使用可能です。」
そう言って、指輪型の子機を全員に渡した。本来なら宝石とか入っている場所に琥珀に入った蜘蛛が封じられている。土蜘蛛の子供石なのだ。
まあ、魔物用には従魔専用の首輪に収める場所があるのでそこに。
「琥珀? お、中でコトコト動くな。おもしれー」
「それ、封じているだけですから。もし、割れて中身が出てきたら、それぞれで対応してくださいね? まだ、子供なので従魔化していませんから。子供とはいえ、魔物ですから一メルくらいの大きさになりますからね?」
俺がそう言うと、面白そうにひっくり返して見ていた奴らがピタリとその動きを止めた。
琥珀が割れた時のことを想像したのだろう。
ウソです。でも、こう言わないと、大ケガする奴らが絶対に出てくるので釘だけは刺しておきます。恐る恐る扱い始めた姿に笑いが零れますが、仕方ないでしょう。
親機の土蜘蛛は、小型化して俺の指輪に変化しています。その姿は琥珀に入った姿で。もちろん、従魔になっています。
組を組ませようとするほどには、すでに各一人に一匹ずつの魔物が割り当てられるくらいの数になってきていた。
それに、生活魔法のライトなら誰でも起動できる。
まぁ、問題点としては攻撃に使える魔法の数が無いのと威力の問題くらい。
だが、それも敵として出てくる魔物も似たような状況だしな。
足止めして、相方の攻撃力に任せるのか、自分が攻撃するのかということくらいで。
俺の相方は、レベルは低いものの、その耐久力という一面からは想像も付かないほどの耐久値を持ちながら、『プルン』『ポヨン』という言葉が聞こえてくるような弾み方をしているアダマンスライムが担当になって、張り切っている。
この土蜘蛛糸電話の利点は、親機の方から俺の鑑定のサブ画面に繋がることで、マッピングが出来ることにある。迷路でも迷宮でも、これでドンと来いってものだ。
そう思っていた時期が俺にもありました………orz。
俺が迷子になりました。