表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
102/337

74, ダンジョンで、………戦後報告⑫ 剣虎VS……?

『グゥオオオオオオオッ!』

 ひと声吠えた剣虎は、躍り上がった。

 その大きな体躯の虎の口は相当にデカい。


「セトラ、危ない!」

「ろ、老師!」

 自分が張った障壁を解こうとして、シュッキンは慌てているし、他の連中にしたって、どうしたら良いのか分からない状況に陥っていたようだ。


「あ…、う…。」

 剣虎にヤられると思った俺は、剣虎の持つド迫力に飲まれて体が硬直してしまい、動かせなくなった。

 なのに頭の中では、ヤられると思っているというのに、どういう訳か安心感があって仕方ないんですけど………なぜ?


 剣虎の牙が俺に掛かる直前に、俺の服のポケットから肩に飛び出てきた魔物がいます。


 アダマンタイトをその身に取り込んだアダマンスライムの二匹です。

『プルン』『ポヨン』

 その体を震わせたあとに驚くべき変化が………。














 (かぶ)り付こうとしていた剣虎の牙を俺の頭をプルンが覆い、顔面と首をポヨンがカバーしてくれた。レベルが高いであろう剣虎の牙と、それなりの成長のスライムのアダマンタイトの薄い体が拮抗していた。


「セトラ、いまよ!」

 ルナの言葉に体が動いた。


「お……、おう!」


 大きく開いている口にワームを煎じた風邪薬を突っ込み、目を白黒させたところに猫科に評判の良かった福焼きを取り出して、目の前でチラつかせて興味を引くと真後ろに放り投げた。


グオ(なにそれ)? ミャギャ(ご飯)? ……ミャー(待てにゃ)!』

 母剣虎の真後ろでラグビーボールのように、イレギュラーバウンドしている福焼きにバシバシと(剣虎)パンチを浴びせる母剣虎。更にイレギュラーバウンドを繰り返す、福焼きに、またパンチするを繰り返したあと、ガブリとやって満足した猫ちゃんがいました。


 その頃には、シュッキンの障壁も解けており、三匹のチビ剣虎たちも寄ってきていた。

ミャウミャア(その人、ご飯くれた)!』『ミャミャミャウ(くしゃみも止めた)!』『ミャンミャア(母さんも止めた)!』


 チビ剣虎たちの言葉に、ようやく落ち着きを取り戻した母剣虎でした。

ギュウゥゥゥ(えっ、本当に)? ギュア(マジで)?』

 ちらりと申し訳なさそうに、こちらを見る母剣虎の姿に、ついププッと吹き出してしまいました。


ミャギャウ(ゴ、ゴメンナサイ)

 笑ってしまった俺をちょっと睨みつけながら、謝ってきた。

 本当に素直なヤツだな。




「あー、びっくりしたぁ。それにしても『プルンもポヨンもありがとな。』」


ププルン(タコ焼き)』『ポポヨン(食べたいな)

 俺の窮地を救ったというのに、謙虚な発言だな。


「『りょーかい。すぐに用意するよ』」


「これで十五階をクリアか……。異界への門があるかも知れないところまでもう半分っていうことだね。」


 そう感慨深げに呟く、ルナが居ましたが魔王は微かに首を振っているから、ここらで締めませんと。


「ルナ、最後の扉が開いた時にそれを感想にした方が良いよ。これからの階層がこんなに広い大地だったり平坦な道だったりするとは限らないだろう? よく、昔から言われているじゃないか。勝って兜の緒を締めよ、って。目標が見えた時が最大の試練の降ってくる時だって考えなきゃ……。これはゲームなんかじゃ無いんだから。」


「さてと。『俺たちは次の階に降りるけどお前たちはどうする? この階で別れ………』」


『『『ミャギュウ(スキップ姉ェと)ミュウミャアウ(一緒に行くよ)!』』』


 三匹のチビ剣虎は付いてくるようです。


『『『『ガウゥガウ(行けよ、ボス)!』』』』

 刀狼(ソードウルフ)角狼(ホーンウルフ)、猫科の短刀虎(ドスタイガー)たちが十五階のボスである剣虎(サーベルタイガー)に、激励を送っています。


 ふ…と、笑みを漏らした母剣虎は、俺の方に振り向いた。


ガウ(私も)? ミャアァオ(ついて行きます)ミャオミャオ(あるじ様)!』


「『え? あるじ? 俺がか?』」


『ニャン!』


 くぅっ、可愛いやつめ。










 P.S. 意外なことが発生、福焼きを多めにおいて十六階へと進もうとしたんだが、刀狼(ソードウルフ)角狼(ホーンウルフ)短刀虎(ドスタイガー)たちの各群れからチビ剣虎たちと同じ年の子が、オスメス一匹ずつ付いてくることになりました。って俺のところは魔物の幼稚園かよ?


『『『『『『『『ミャアゥ!』』』』』』』』


 もう、想転移(パシスタ)しなくても周りがしっかり頷くのが見えるくらいには共感しているな、おまいら………orz

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ