(9) 聖暦一五四二年五月 初めてのパーティ戦
今日は多少曇っていたが、雨は降りそうにない。
探索するにあたって、支障ない天気だった。
ミロシュ達三人は、マレヴィガ大森林へと歩いていく。
シモナが先頭、ミロシュが真ん中、カミルが後備と隊列を変更した。
接近戦に優れたシモナが先頭であるのはもちろん、カミルは杖術も多少使えるので後備となった。
マナーとして、お互いのスキルレベルについて詮索していない。
信頼をつみあげていけば、そういった情報も共有するだろう。
なので、パーティ戦となると、信頼しあい連携がとれたパーティが当然強くなる。
「ちょうどいいのが来たんじゃない。狼五頭よ」
道のりの約三分の二を踏破したところで、シモナが二人に狼の接近を知らせた。
「腕試しにはいいな。シモナは何頭倒せる?」
「全部!」
「ハハ、威勢がいいな」
カミルの問いかけに対して、胸を張って答えるシモナ。
「しかし、全員の力試しだろう。二頭いけるか?」
「それもそうね。わかったわ」
「よし。ミロシュと俺で三頭か。俺が二頭やるよ。ミロシュは一頭頼んだ」
「いいのかい? 僕だけが楽をして」
「万一にでも、こちらがやばいようなら、フォローしてくれ」
「わかった。でも、今度は僕が二頭やるよ」
「ああ、そうしよう」
ミロシュとカミルが話をしている間にも狼が近づいてくる。
三人は少し散開して、狼と相対することにした。
左はミロシュ、右がカミル、中央にシモナだ。
「真ん中二頭はシモナ、左端がミロシュ、右二頭が俺の獲物だ」
「承知!」
「わかった!」
カミルの指示により、標的が決まる。
「火球よ、いけ!」
「ライトアロー!」
ミロシュとカミル、二人はほぼ同時に詠唱を発した。
二本の光の矢、火球一発が狼の命を貪るべく、なだれ込む。
光の矢二つが先に狼へ命中し、狼は一声あげて倒れた。
その後、ミロシュが放った火球が狼を屠った。
シモナは両脇にいた狼三頭が倒されたのを見て、
「二人ともやるじゃない! あたしの動きを見てなさい!」
と声をあげ、自分の身長ほどある槍を両手で持ち、構えた。
狼が間合いに入った瞬間、電光のごとく瞬時に一突きし、狼を絶命させる。
槍先は何の抵抗も感じないかのごとく狼を貫いていた。
別の一頭がその隙をついてシモナに近づこうとする。
それを見ていたミロシュが声をあげようとするが、シモナの反応はミロシュよりも狼よりも速かった。
シモナは槍を瞬時に引き戻し、もう一頭を瞬く間に突き刺した。
狼は倒れ、血で大地を染めた。
その扱いは堂に入ったものだった。
「どう、二人とも!」
声高々にして、シモナは二人を見る。
「大したものだ。かなりの腕前だな」
カミルは落ち着いた様子で、シモナに賛辞を述べた。
「すごいなぁ、シモナは! 本当にすごい。こんなの初めて見たよ!」
ミロシュの声音は強く、興奮のせいか頬が軽く紅潮している。
ミロシュは驚嘆していた。本物の武術というのを間近で始めて見たのだ。
素人であるミロシュの眼には、シモナの動きは次元の異なる達人に見えていた。
元々、ミロシュは素直な性格だった。
家庭崩壊、異世界召喚とあまりにも劇的な変化が、ミロシュの性格を変えつつあったのは事実だ。
しかし、完全に変わったのではない。心底には素直さがまだ残っていた。
その素直さが心からのほめ言葉をシモナに与えた。
「そ、そんなにすごくないわよ。あたしはお父様に比べれば、まだまだだから」
「いや、すごいって! 間違いなく!」
シモナはカミルの賛辞を聞いたときには、カミルを見返す眼差しに誇りの色を浮かべていた。
だが、ミロシュから大仰にほめられると、逆に照れた様子でミロシュから視線をはずす。
ミロシュから伝染したように、シモナの頬が朱に染まった。
シモナはミロシュと同じ十六歳だ。
人生において、自分の武術がこれほどまでにほめられたことは一度もない。
亡き父の指導は厳しいものであり、ほめてくれたことはごくわずかだがあった。
カミルの年に似合わない抑制された賛辞のように。
だが、ミロシュの言葉ほど感動をあらわにしたほめ言葉は始めてだった。
エルフは魔法を尊ぶ。
魔法に優れているエルフは尊敬され、能力によっては高い地位にも就く。
しかし、武術を蔑みはしないまでも、一段低く見ていた。
シモナの父は魔力そのものは保持していた。
しかし、外部へ放出することは一切できなかった。
数千人に一人の割合で存在する魔力障りの家系である。
なので、他者を攻撃する魔法も癒す魔法も使えない。
せいぜい、使える魔法は肉体強化などだ。
シモナの父は他のエルフ達から、同情と哀れみとごくわずかな蔑みを受けていた。
彼はその屈辱をバネにした。
肉体強化を用いて戦える槍術を選び、人一倍の努力で槍術を磨き上げた。
やがて、他のエルフ達から蔑視されなくなり、彼にはシモナという娘が生まれた。
しかし、シモナもまた、魔力障りであった。
そうである確率は二分の一であったというのに――
彼は愛する娘のシモナが蔑まれないよう、自分の槍術を伝授した。
娘のためを想い、心を鬼にして厳しく育てたのだ。
愛娘が他のエルフ達から蔑まれないように、と。
シモナにとって、そんな亡き父は誇りだった。
厳しい指導の中に深い愛情を感じていた。
父と過ごした生活の思い出は、シモナにとって宝石以上の価値がある。
去年、父の死を知ったときの悲しみは、例えようがないほどだ。
ゆえに、シモナは形見の槍を使い、尊敬する亡き父に追いつくべく、槍術に励んだ。
亡き父はシモナにとって至上であった。
その頑なな心により、新たな指導者につく気になれず、自己流で研鑽をつんだ。
やがて、蓄えの残りも怪しくなり、シモナは収入確保を迫られた。
冒険者しか考えていなかった。
自分の槍術であれば、きっと冒険者として成功する!
シモナの自負はとても強かった。
しかし、現実は厳しい。
パーティに加われず、ソロで収入を確保できるだけだった。
食べていくのには全然困らない。シモナにはそれだけの実力がある。
だが、パーティを組めなければ、先が見えていた。
シモナの目標は冒険者として食べていくことではない。
亡き父に追いつくことなのだ。今のままでは、到底難しい。
そういう想いによってシモナは少しずつ焦りだし、ユディタの紹介にすがって、今ここにいる。
そんな状況のシモナにとって、ミロシュが褒め称える様はとてもうれしかった。
父亡き後、一人で鍛え続けたシモナにとって一番望んでいた言葉だったのだ。
もっとも、シモナ本人は自分の心の動きについてそこまで自覚していない。
だから、ミロシュの明け透けな言葉への喜びは自分でも驚くほどだった。
「いや、二人の魔法もよかったわよ。やっぱり、一人でやるのと全然違うわね」
頬の紅潮がまだ完全にとれないまま、シモナは二人に言葉を返した。
「カミルの魔法はすごかった。僕よりも先に命中したし」
「そうかもな。だが、威力はミロシュの方が上じゃないか。やはり、威力なら火属性か」
「速度の方が重要な時も多いよ。冒険者になってから、わかったけど」
「そういう時もあるな。状況と相手しだいだ」
二人は同じ魔法使いとして、お互いを分析しあう。楽しげな語り合いだ。
その光景は魔法が使えないシモナにとって、少しせつないものだった。
だから、シモナは口をはさんだ。
「二人とも、どんどんいきましょう! この分なら、もっとやれるわ!」
心中のせつなさを吹き飛ばすがごとく、シモナは二人を煽った。
「ああ、俺もそう思う。森へ行こう」
「賛成するよ。行こう」
二人は賛同し、三人は森へと向かった。
森に入ると、三人の長所が浮き彫りになった。
まず、気配察知二を持っているミロシュが、隠れひそんでいる魔物をあぶりだせた。
カミルとシモナは効率の良さに驚いた。
「ああ、この森ってこんなに魔物がいたのね」
「そうだな。攻撃してこずに潜んでいる魔物は見過ごしていたな」
「一人だと魔力がきれてしまうから、そんなに効率よく倒せなかったんだ。でも、三人いるし、特にシモナの槍だと魔力を消費しないから、やっぱりすごいよ」
「そ、そう。でも、肉体強化してる時は魔力を消費するし、ミロシュが見つけてくれないと倒せないからね」
ミロシュのほめ言葉にまだ慣れず、シモナは視線をずらして答えるのがやっとだった。
カミルはそんな二人を見ていて面白く思う。
普通なら、ミロシュがシモナを口説いているように見える。
中性的な容貌で顔だけはお綺麗な貴公子が、心にもないほめ言葉で婦女子を口説くさまは何度も見ていた。
実にくだらないものだった。
だが、どうもミロシュに下心はないように、カミルは思える。
カミルは飾り立てた美人を何人も見てきたが、そんなカミルの目からしても、シモナは魅力的だった。
エルフ特有の美貌は作り物めいた美しさをもたらす。そんなエルフを何人か見てきた。
だが、シモナはそれに加えて、引き締まった身体が躍動感にあふれており、精彩に富む美しさを持っていた。
ミロシュは時折、困ったような表情でシモナから視線をはずすことがある。
おそらく、ミロシュが男としてシモナの美しさに反応している様は、同じ男であるカミルにはよく理解できた。
カミル自身は美少女に慣れており、ごく自然に振舞っていたが。
女を口説くことに特化したような貴公子はうまく化けるものだ。
表面上の純真さ、無垢さを武器にした振る舞いをカミルは何度も見たことがあった。
まだ、十三歳のガキがそんなことをしていやがったのだ。
ミロシュだって同じように化けている可能性はある。
これからずっと、パーティを組むかもしれない相手だ。
カミルは詳細に観察していた。
だが、ミロシュが化けているように思えないのは、仕草があまりに純情すぎるように見えるからだ。
あれが演技だとしたら、ミロシュは冒険者より舞台俳優をやるべきだ、とカミルは思う。
次に、シモナの長所としてあげられるのは、植生把握に優れていることだった。
エルフは森や植物に関する知識について極めて秀でている。
植物や薬草がどういう場所に分布しているか、シモナは亡き父に教えられて把握していた。
カミルやミロシュでは見つけることができない様々な薬草をシモナは見つけることができた。
シモナがソロでも収入に困らなかったのは、この知識によるところが大きい。
「すごいな。こんなに離れた場所から、あの奥地に薬草があるってわかるのか」
普段、あまり表情を顔にださないカミルですら、驚きの表情を顔に浮かべる。
「ポーションの原料となるボレスダンは、カイティやラハイの樹木群近くに生えている可能性がかなり高いわ。それも、樹齢五十年以上の木よ」
広葉樹の一種であるカイティやラハイを指差しながら、シモナは二人に教えた。
ただ、そう言われても、ミロシュとカミルは樹齢五十年以上かどうか区別がつかない。
二人はあいまいに頷くばかりだった。
三人はシモナの案内でボレスダンが生えている場所へと向かう。
「そんな情報は冒険者ギルドの資料にはなかったなぁ。そもそも、カイティやラハイなんて木を知らないし……」
ミロシュは渋い表情になった。
「エルフしか知らないか、それとも、飯の種になる情報はおおっぴらに教えないってことだな」
訳知り顔でカミルがミロシュにこたえた。
「そう言われたら、そうだなぁ」
「でも、あたし一人だとあの奥に行くのは怖くて、やめてたのよね。万一があったら怖いから。だから、ボレスダンを取りに行けるのはパーティを組めたおかげでもあるのよ」
やがて、三人は森をかきわけ、目的地に到着した。
確かに、薬草の一種であるボレスダンの群生地があった。
「シモナは何でもできてすごいな」
「まぁ、エルフだから当然よ」
さすがにシモナはミロシュの賛辞に慣れてきた、と二人を観察していたカミルは思った。
「よし、収穫しようか」
「待って、群生地をつぶすようなことをしたらダメよ。どの薬草を採取するかあたしに任せて」
「わかった。シモナが見つけた群生地だしな」
「植物の保護は大事だと思うよ」
三人はシモナの指示に従って、群生地の約半分から薬草を採取した。
ミロシュは薬草の採取方法を教わった。
冒険者ギルドの資料よりも、シモナの指示のがより細密だった。
カミルもまた、シモナの指示に感心した様子だった。
「ミロシュは土魔法が使えたわよね。この土地の地力を回復できる魔法は使えないかな?」
「やったことないなぁ……」
ミロシュはそういう使い方を初めて知る。
戦闘に使う方法は本の中で記述されていたが、そういった使い方は記載されていなかった。
「それは、土属性魔法スキルレベル三をとってなおかつ、派生スキルをとる必要がある。ミロシュは火属性魔法がメインだ。難しいんじゃないか」
ミロシュをフォローするがごとく、カミルがこたえた。
「そうなんだよ。ごめん、シモナ」
「謝ることじゃないって。できたらいいなって思っただけだから」
シモナは薬草を採取した跡地を見て、少し痛ましげな表情だった。
シモナが主導した薬草採取だ。
それでも、そのような表情をするのはエルフという種族の特性なのだろうか。
シモナ個人がそういう性格なのだろうか。ミロシュにはわからなかった。
最後に、カミルの優れている長所は、パーティ戦の指揮をとれることだった。
三人の中でもっとも、視野が広く、指示が的確だった。
声だしによって、前衛のシモナにどこへ魔法をとばすのか教えなければならない。
でなければ、射線上にシモナがくれば、同士討ちとなる。
そういったことも、考えてみれば当たり前だろう。
しかし、パーティ戦が初めてだったミロシュには、カミルに言われて知ったことだった。
また、魔物の知識についても極めて豊富だった。
三人は赤いリボンをこえて、若干、奥に入っていた。
ゴブリンやミドルアントなど、三人そろっていては敵ではなかったからだ。
三人とも力試しではなく、本格的な探索をすることに同意した。
日ごろ慎重なミロシュですら、少しならかまわないかと、勢いづいていた。
そうなると、体長一メートルほどの大型蜘蛛、魔力を吸って強力になった蛇、野犬、狼などが敵となる。
オークファイターなどの人型の魔物、様々な種類の熊などもでてくる可能性がある。
魔物によっては、いくつかの属性魔法に耐性を持っており、攻撃手段を的確に選ぶ必要があった。
そこで、カミルの豊富な知識がかなり役立った。
火に弱い敵には火を、雷に弱い敵には雷を用いるよう、ミロシュに指示した。
素材がいい値で売れる敵に対しては、パーティ最大の火力であるミロシュの火属性魔法を封印して、シモナやカミルが迎え撃った。
ミロシュはそういう場合、他の敵に対処していた。
また、部位によっては素材価値がない敵の場合、攻撃してもいい部位をカミルに教えてもらい、そこを火属性魔法で攻撃した。
シモナが前衛である。どうしても、怪我をする可能性が一番高い。
オークファイターの持つ剣が右腕をかすり、軽い怪我をしたことがあった。
戦闘終了後、シモナはポーションを使おうとするが、ミロシュが留めた。
「どうしたの? 早くポーションを使わないと化膿したら大変だから」
「僕は回復魔法が使えるから」
「え、本当!?」
ミロシュはシモナの右腕に右手を軽くかざす。
「傷よ、治れ!」
ミロシュの詠唱と共に、オークファイターがつけたかすり傷は消え去った。
それを確認したシモナは
「ありがとう……」
と、いつもより小さな声で俯き加減に礼を言った。
「あたしをすごいすごいって言うけど、ミロシュも十分、すごいわよ!」
その後、シモナは一変して、いつもの勝ち気な表情に戻った。
「そんなことないよ、シモナ」
ミロシュの表情は明るかった。
実は、ミロシュは回復魔法と空間魔法は隠しておくつもりだった。
これらのスキルはポイント消費量が多く、高レベルでないとなかなか取得しづらい。
スキルポイント消費量を考えれば、つじつまがあわなくなるだろう。
博識なカミルにその点をつかれれば、困るのだ。
だが、シモナが傷つく姿を見ていたら、感情が理性を押しのけて行動していた。
失敗だった。
しかし、ミロシュは後悔していない。
カミルはそんな二人を見て、
「よかったな、シモナ。すごいよ、ミロシュは」
と、暖かい眼差しで言っただけだった。
「ええ、本当に!」
シモナは元気よくカミルにこたえた。
ミロシュは何か聞かれるのではないかと少しおどおどしながら、カミルを見ていたが、
「どうしたんだ、ミロシュ?」
と、言われただけだった。
「いや、なんでもない」
「変な奴だな、全く」
そう言うカミルの表情はとても優しいものだった。
やがて夕方となり、三人は夜を迎える前に森からソヴェスラフへと帰還した。
三人とも、今日が冒険者となって最大の成果だった。
報酬を三等分にしても、ソロで稼いだときよりも遥かに上回る報酬をギルドでもらえるだろう。
三人はギルドへの帰り道で、とても楽しく会話をしていた。
お互いの長所をほめ、指摘すべきところは指摘した。
まだ、一日目なのにである。
まるで、何年も共に過ごしたパーティのようだった。
ミロシュはとても楽しかった。
殺し合いをしてきたというのに。
少し、危ない場面もあった。
やはり、無理をしてはいけない、と再認識できるほどに。
自分でも不思議だ。
だが、それでも楽しかった。
ハイグラシアに来てよかった、と思えるくらいに。
シモナはやっと、本当の仲間にめぐりあえたと感じていた。
今まで、全くパーティの話がなかったわけではない。
しかし、下心丸出しの視線で見られていただけだった。
押し隠していても、鋭敏なシモナにはわかるのだ。
だが、もうそんな心配をする必要はない。
この二人と出会ったのだから。
カミルは十七歳、二人より一つ年上である。
悔いなき人生を過ごしたい、カミルにはそういう思いが常にある。
真剣に生きる。力一杯。全力で。
生まれた時から、そう考えていた。
冷静さの下にある狂おしいほどの熱情で。
誰にもわからない、カミルにしかわからない理由で。
しかし、生まれてきた家も両親も兄二人も大好きであったが、家をとりまく虚飾に耐えられなかった。
だから、家を出た。
両親も兄二人もいつでも戻ってきていいと言ってくれるが、戻るつもりはない。
自力で、自分の足で生きたかった。
そのために冒険者となり、仲間を探していた。
カミルの判断基準は能力だけではなく、性格だった。
お互いに信じられる仲間というのはなかなか見つからなかった。
冒険者というのはシビアなものだ。そういう関係にはなりにくい。
だが、ついに見つけたようだった。
二人の仲間を。
やがて、会話がとまり、静かな雰囲気となった。
三人とも物思いにふけりながら、ギルドの前に到着した。
カミルが口火をきった。
「俺たち三人でパーティを正式に組もう」
「ええ、そうしましょう!」
「一緒にがんばろう!」
二人の答えは一瞬でかえってきた。
「決まったな。俺たちはパーティだ!」
こうして、ソヴェスラフに新たな冒険者パーティが生まれた。
三人とも、この日の事を生涯忘れなかった――




