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「僕達だけで本当に敵を止められるの?」
僕の常識によると、敵は超科学的な物も魔法も使ってくるようだ。
「ん、大丈夫だってヘーキヘーキ。君達は自分の精神宇宙を使えるんだから。」
「「何それ」」
僕と久保田、両方とも同様の言葉を発した。初耳だったのだ。
「あ〜忘れてた〜」
神はそんな呑気なことを言う。不快な電波みたいな声で。
「いやあ、ごめんごめん。君達には世界のものを何でも収納出来る自分だけの宇宙が有るんだ。どんなに大きな武器だって入るし、食料も、生物も、自分でさえも。これは僕達を除けば君達のいう地球人だけの性質なんだけど、あ、でも誘拐に使っちゃいけないよ。」
「それは、四次元ポケットみたいなもんか?」
久保田が最後を無視して質問する。
「んー、そうだね、そんなとこだよ。」
やっぱり、神様は何だって知ってるらしい。
「あ、そうだ。じゃあ何か武器を貰えないだろうか。」
僕はそう提案した。かねてより妖刀とか呪われた武器とか、そういった類のものが欲しかった。
「そだね、でもあんまり手出ししちゃいけないんだよね。どうしよっかな。」
神は悩んでいるようだ。後押しをしてあげたい。
「お願いしますよ。ねえ神様。」
「・・・・・・、いいんだぜ、世界を取り潰してやっても。」
「え、それは。」
久保田が慌てたように口を出す。が、続きは無い。僕も中々焦っている。まさか自分の発言で…。
「嘘だよ。神特製の強い奴出すから何がいい?」
僕は安心した。久保田もそのようだった。
「僕は日本刀で」
「俺はグローブかな」
神は願いを聞き入れ、空間に武器を出現させた。
刀は柄の部分に細かい装飾が施されている。刀身は僕の身長より少し小さいくらいの大きなものだ。
グローブは赤黒いレザーの様な金属のような薄い材質のもので、常に湯気のような何かが出ている。
「これはもうなんでも出来るよ、なんでも。あ、さ、世界救ってきて、ハイ、ヨロシクゥ!」
そういって神は消えた。
僕達は試しに武器を精神宇宙とやらに移してみた。精神宇宙に入った刀は、常に意識の底で存在を感じることが出来る。
面白くなって色んな物を入れてみた。僕は木だったりその辺の小動物だったりしたけど、久保田は、いきなりドラゴンに挑戦し、成功していた。
そのうちに飽きて、僕達は他の世界に行くことにした。