第1話:出会い
私は趣味で書いただけの小説です。既に「小説」と呼んで良いのかどうかも怪しい程です;
それでも良いのなら、是非最後までお付き合い下さい!
俺は“死神”。
お前も知っているだろう?
命を刈り天国に送り届ける役目が有る、“死神”。
“神”なんて字が付いているが、現実はそんなモノじゃねー。
人の死様を何回も何回も目の当たりにするなんざ、気持ちいい訳ねー…。
ある日、少女に出会った。
少女は心臓の病気を抱えてて、後一週間の命だった。
少女はその時息絶え絶えで、詰まりながら俺に言った。
「…あなた…。死神さん…?」
いきなり自分の病室に俺が現れたってーのに、驚きもせず、あっけらかんとそいつは訊いた。
【…ああ。お前の命を刈りに来た】
「…そう…。良か…た…」
はぁ!?今良かったって言ったか!!??
…初めて見たな、『死にたい』って言った奴は。大抵命乞いする奴ばっかだ。
【…お前もしかして、死にたいのか?】
そいつは弱々しくだが、はっきりとうなづいた。
「…だって、生きてても…良い事なんか…無い…から…」
【…お前、いつから病気なんだ?】
「…もう…小さい時…から…」
…成る程な。それなら、外で遊んだ事もねー訳か。
【…一つだけ、願い叶えてやる】
…俺何言ってんだろ。
確かにこいつは可哀想だが、俺がなんかしてやる事ないのによ…。
「…ほんとう…?」
【ああ】
「…嬉しい…!」
それが俺が初めて見た笑顔だった。
俺もつられて少しだけ笑ってしまった。
【…で、お前の願いは?】
「…あ…。その前に…あなたのお名前…教えて…くれる…?」
変な事訊く奴だな。俺には――…
【…俺には…。“名前”なんざありゃあしねー】
「…え…」
絶句する少女。
…まぁ、人間にとってはおかしな事だな。名前ない奴なんか、俺も聞いた事がねーからなぁ。
「…じゃあ…、…私が…付けて…あげる……」
はぁ!!??
お前また俺を驚かせたな!?
んな事言った奴は、一人も居なかった。その前に、死神の名前なんざ訊いた奴すら居なかったなぁ…。
【…俺の名前、だと?】
「…うん…。…だって、名前…ないなんて…寂しい…から…」
今度は俺が絶句する番だった。
まさかこいつがそんな事言い出すとはな…。
【…どんな名前付けてくれるんだ?】
すうとそいつの目が細くなった。
「…そう…ね…。…あなたは…銀色の…髪だから…」
そう、こいつの言う通り、俺は腰まである銀髪を適当に紐でくくっている。ちなみに、瞳は海のような深い青。
【…だから?】
そいつは人指し指を立てた。
「シル…は?」
…この上なくストレートな提案名だな…。“シルバー”でシルとは…。
だが…
【…悪くないな】
「え…!…良いの…!?」
そいつは却下されると思っていたのか、驚いた。
【ああ】
「…良かった…。…あなたにも…、名前が…出来て…」
…どこまでも変わった奴だ。死神に名前付けて、安心するとはな…。
「…あ…。言って…なかったね…。私の…名前は…」
【言わなくていい。お前の名前なら知っている。ハント・キバーサだろ?】
「うん…。…当たり…」
言い終わると同時、そいつ――ハントは気を失いベッドに倒れ伏した。…付き合わせすぎたようだな、ハントは病気なんだった。
――それが俺とそいつの出会いだった。
それから俺は、毎日ハントに会いに行った。
会った一日目には聞き損なった、ハントの“願い”も二日目に聞けた。
「…私…。空を…飛びたいの…」
空を飛ぶそのものは、難しい事ではない。…だが、一つだけ問題が有る。
“外に出る”って事は、“命を削りとる”以外のなにものでもない。
俺は詳しい事は知らねーが、気圧の変化とか身体を圧迫する空気の量とか、病室とは全然違うんだろ。
そう俺が訊くと、
「良いの…。もし…空の上で…死ぬの…なら…本望…だよ…」
…今まで、本当に何にもなかったんだな…。
【…何で空の上でが良いんだ?】
「空って…澄みきって…いる…でしょ…?私も…空みたいに…澄んだ…健康な身体で…生まれ…たかった…」
…ハントは自分の気持ちに気付いてないんだな。
本当の願いは、最後の一言に込められてんだよな…。
病気を抱えていない身体で、太陽の下で友達と思い切り外で遊んで。
木陰でのんびりと読書して。
身体の事を気にせず、好きな物を好きなだけ食べて。
皆と机並べて、学校で授業受けて。
そんな他愛のない、普通な事をやりたいと願う――…。
本当はそんな願い事を秘めているのに、口に出して言えない――…。
…だったら俺が、
せめて“空を翔ける”願いを叶えてやる――…!




