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昔、石川さんに勧められた映画。

気に入ってダダにボクの目を通して向こうの映像ライブラリに記録してもらった。

元気が欲しい時は見たくなる。

まだ、見れるかな?

映像配信サービスを探す。

部分はいくつか見つかったけど1本全部はナイ。

国立図書館を検索する。

あった!館内閲覧のみか…。

「何してるの?」

ススムくんがモニター画面を覗きこんできた。

「すっごく、古いお気に入りの映画があるんだけど、見たくなって捜してたんだ。」

「それで、あったの?」

「国立図書館にデータ資料としてあった。

 館内閲覧ってあるけどプライベートな所で見たいな。」

「Hなヤツ?」


ちょっと驚いた。

この間のはカマトトなのか?

少年は日々成長なのか?

ボクがススムくんを見ると、イイワケするように言った。


「この間話したボクをいじめる上級生に会って

 “ゴメン“って“保健室の先生の話はもうしない“って言ったんだ。

 そしたら許してくれて。

 それからは、マンガ見せてくれたりしてさ。

 たまにHなモノ持ってきてからかうんだ。」


フーン。

あの後、気になったけどちゃんと解決したんだ。ヨカッタ。

コレならそろそろ帰ってもイイかな。

…Aちゃんの顔が浮かぶ。


話を戻そう。


「残念だけど違う。ゴキゲンな曲とダンスがあってね。身体が動くンだ。」

「さすがに図書館で踊るわけにはいかないし。」

「それならね、ボク友達に頼んでみる。」

「なんとか、できそうなの?」

「ウン、“ココロで話せる”友達の中にハッキングの得意なヤツがいてね…。悪い事だよね。」

「悪い事には使わないから、甘えたい!」ダメな大人。


ススムくんが彼と連絡をとる。

「OK!だって。映画の題名は?」

「1980年アメリカ公開、The Blues Brothers!」

しばらくして、ススムくんが

「コピーしてコッチに送ったって。来てる?」

メールをチェック。あった!開いて確認。OK!Good Job!

「彼に“ありがとう”って伝えて!」


さっそくリビングの大きいほうのモニターに映す。

最初ボクとススムくんで行儀よく見てた。

黒スーツ、黒ネクタイ、黒のサングラスの二人組みに笑わされ

曲が始まると、身体がゆれる、ヒザを叩く。手があがり、いっしょに手拍子。

その内、ススムくんとダンスを踊ってた。曲に乗り波長をあわせススムくんとシンクロ。

気がついたらリンちゃんまでグルグル廻り出す。イシカワ夫妻も身体をゆらして見てる。

アレサ・フランクリンの“THINK”の曲が終わった時は2人から拍手をもらった。


「よかったヨ。練習したのかい?」とイシカワさん。

「ウウン、身体が動くんだ。」とススムくん。

「ボクらは繋がってんだよナー!」と大人気なくススムくんとハイタッチ!

リンちゃんとも小さくハイタッチ。

「なんか、商売になればいいのに。」とミセス・イシカワ。

「でも。相変わらず歌は残念ネ。」とクスッと笑う。


相変わらず?何で知ってるのボクの音痴を。


「わざと置いていったんじゃないの?

あのカラオケの録音で笑わせてくれたから皆アナタの事、許してくれたのよ。」


カラオケ、録音データ…。

忘れてた!Aちゃんの歌声が欲しいって仕掛けてた録音機。

追い出されるって思ったのに引っ張り出されて、歌わされて、笑われて…。

あの時、録音機動かしたまま忘れてた!


可愛かったけどワガママだった女の子たちに仕返ししてやろうと置いていった映像メモリ。

まさか、ボクの恥まで置きっ放しだったなんて。

…2度笑われたんだ。


頭にダダの声

「ギャハハハ…“墓穴掘るときゃ穴ふたつ”ってか!」

掘らしたのはオマエだろうがー!


「盗撮、盗聴。考えてみればアナタのやった事って最低よね。」とミセス・イシカワ。

ススムくんとリンちゃんもコッチ見てる。

大人の面子台無し。


ボクを庇おうとイシカワさんが言う

「10年も前のハナシだし、悪気は無かったんダロ。

 それよりコノ映画面白いね。なんていう題名?」

あなたのご先祖に教えてもらったんです。

「ブルース・ブラザーズ」とボク。

「あれ?その映画は…」

イシカワさんがキーボードをカチャカチャと何か捜してる。

「ウチの映像ライブラリに入ってるぞ。先祖伝来だな。」


「ハッキングなんかしなくてもあったんだね。」とススムくん。


ダダ、こういうのを“燈台元暗らし”って言うのかい?

____________________________________________


「ナカムラさん、この間の映画をコピーしてくれた友達がさ、

 あの映画面白いねっていってたヨ。」

そりゃあ、嬉しいな。気が合いそう。

「名前、なんて子?」

「ゴンって言うンだ。」

ゴンか。なかなか使えそうなヤツ、覚えておこう。(悪いオトナだな。)

________________________________________________________________________


曲に身をまかせキモチが上昇していくときが最高にイイ気分。

何も考えず、キミと踊れたら、キミと笑えたら、キミと抱き合えたらどんなにイイだろう。

何も考えず…。

Tのバカヤロウ!


ミセス・イシカワは奴があきらめたって言ってたけど会ってんジャン!

ララァをダシに会ってんジャン!

あの日、“お似合いの二人”を見て以来、彼女に会うのが恐いんだ。

Aちゃん、本当にTへの気持ちは無いの?

ボクはコンナだよ。自信ないよ。


ウジウジしてる自分がイヤ!アー!


Tに勝つにはどうしたらいいんだ?

金か名誉か権力か?

金…。

向こうにはAちゃんで稼がせてもらった金があるのに。

まてよ。

“商売になればいいのに”

ミセス・イシカワの言葉が頭に浮かぶ。

そうだ!バンドだ!


…マジかよ。


「ナカムラ様、A様がロビーでお待ちです。」

Aちゃん?

どうしたの?こんな時間に。

慌ててロビーに降りる。


久しぶりのAちゃん、駆け寄って抱きしめたい。

「外にでませんか?」


言われるまま、外に出る。

彼女が胸に飛び込んでくる。

「HOSが見てるから…。」

彼女を抱きしめる。このまま…。

別れたあの時みたい。

「私は幸せにしてくれなくてもイイって言いました。」

「これ以上どうすればいいの?」

ボクは何も言えない。

そしてボクが言ったバカな言葉。

「だって、Tが…。」

彼女はボクを突き飛ばして怒鳴った。

「ナカムラさんのバカ!」

彼女は走って行ってしまった。


また、怒らせてしまった。


…とりあえず、彼女が無事アパートに帰るのを見届けよう。

ボクはとぼとぼと彼女の後を追った。


HOSは見ていなかったが、バルコニーからイシカワ夫妻が様子を見ていた。

「何故、私達が一晩で決められた事が10年かけても出来ないのかしら?」

「いろいろあるんだろう。」とイシカワさんは顔を赤くして答えた。



SF関係ないなー。

今回はブルースブラザースで大はしゃぎのナカムラです。

そして、バンド編突入なのか?

できるのか?わたし?

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