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大いなる買い被り 5



今までの2時間にも及ぶ話し合いをすべて無に帰すような発言をかましたのは、人間たちの頭上で漂っている精霊である。


「ユーリは僕らが呼び寄せたんだよ。

この子の力は大きすぎたし、なのにユーリはコントロールをすることもできなくて、教わる相手もいないままだった。

あのままでは元の世界に被害が出るところだったから、そちらの精霊から頼まれて引き受けたんだ。」

初めて声をかわした時に自分も聞かされた説明を、初耳だろう王国側の人間3人に向って繰り返す。

彼らはやはり驚いた様子だ。


「呼んだはじめはユーリも混乱してたから、負担の少ないようにって神力の強い場所に降りてもらったけど、もともとは僕らが一緒に過ごす予定だったのに。

みんな愛し子がくるって楽しみにしてたのにさ。

どっかの神官が、他所からの干渉を受け付けないような神術をかけたもんだから、ユーリには声くらいしか届けられなかったんだ。

神殿側に説明しても返してくれようとしないし、そのうち魔王がどーこーってリラ王国まで出てくるしで参ったよ。」


最後の台詞はもしや私にあてたものだろうか。

少しじと目で見られたような気がする。

(えっ、この状況ってわたしのせいなの?違うよね?

確かに元の世界ではいろいろ不思議なこと起きたけど!

妹たちと歩いてたときに出くわした変質者は、何もしてないのに吹っ飛んだりとかしてたけど!)


(そもそも私がこの世界に来た途端、なんかおかしいほど持ち上げられてるんですけど。

私たぶんそんな大層な人間じゃないって!

みんな夢見すぎだよ!

この国のエリートが束になってかなわなかった魔王に小娘が立ち向かえると本当に信じてるのか、この国の人間は。)

そこで王様をみると、彼はずっとこちらを見ていたらしく、男の色気あふれる顔でじーっと何かを訴えようとしているようだ。







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