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異能力バトル編

 沈黙に耐え切れず、声を殺して話し出す。


「超能力が貰えるとしたらなんの能力が欲しい?」

 

「盛り上がらない合コンの悪玉菌みたいな質問ね」


 良かれと思って話題提供したのにとんでもない罵倒されてる。


「で、でも一つくらいあるだろ?瞬間移動とか、時間停止とか」


 楓は顎に手を当てて神妙な面持ちで答える。


「舐めた口をきいたクソ坊主の眼前に本当に虎を出す能力、かな」


「一休さん嫌い過ぎない!?」


「ほぼ全てのエピソードに納得はしていないわ」


 令和の時代に一休さんのほぼ全てのエピソード把握している女子高生の存在の方が納得できないんだけど。


 楓は、あぁでも、と思い出したように斜め上を見た。


「時間停止は面白いかもしれないなぁ」


「結構チート能力選ぶんだね、何に使うの?」


「AVの監督になりたいの!」


 うん、なんか予想できたや。そうだよね、うんうん。

 それに時間が止められるからAVの監督になれるのではなく、AVの監督だから時間を止められるんだぞ。


「ストップ!」


 楓が単機能のデカボタンを押す。仕方なく俺の時間は現世と切り離された。

 楓はニヤニヤこちらを観察している。


「あれれー、なんで時間が止まってるのに。ここが動いているのかなー」


 トントンと指で俺の左胸を叩く。


「それはね、生きる為だよ」


「えー、なんで時間が止まってるのに、肺も動いているの?」


「それはね、生きる為だよ」


「じゃあ、なんで時間が止まっているのに、お前は私と問答をしている?」


「クックック、それはな、俺が時間停止ブレイクの能力を持っているからさ!」


「なんなのその時間停止能力ありきの能力は!!」


「声でけーよ!」


 俺達は身を隠し直して隙間から殺人鬼の方を覗く。


「よかった、ちょうど歯医者さんにあるボタンを押すと中に水流を発生させて、輪投げとか玉入れとかで遊ぶおもちゃに夢中だわ」


 長い。


 かくれんぼはまだまだ続く。



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