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「疲れているだろうし、話は明日にする?」


公爵家へ帰るとひとまず湯浴みを終わらせ、まだほわほわと湯気が残る状態のままリビングの大きなソファーにユーリと並び座る。

ホットミルクを一口のみ、ほっと一息ついたところで話は始まった。


「いえ、出来れば今話したいです。勿論ユーリも疲れていると思うので私のわがままなのですが、、」


「シアがしたいのならば今やろう。僕の体力なんて通常の人よりは数倍もあるし、まだそんなに遅い時間ではないから僕は大丈夫」


お互いを見合わせてくすりと笑う。こういう小さな事がとても幸せだと感じる。


「でも僕はまずシアに怒らなければいけない。どうしてラウラ嬢になんてついていったの? 絶対いい事なんて起こらないでしょう。案の定シアを傷つけようとしていたわけだし」


本当にユーリの言うとおりだ。ラウラについていく途中に後悔はしたものの、そもそもついていかなければよかった話だ。


「待っててって言った場所にシアがいなくて血の気が引いたよ。勿論初めての夜会で一人にさせてしまった僕も悪いのだけれど……」


またもやうなだれてしまったユーリの手にそっと私の手を重ねる。


「いえ、今回の件の非はほぼ全て私にあります。なのでご自分を責めないで下さい。それに今回の件で学びました。もう二度とパーティー等ではユーリのそばを離れない、と」


「そうだね。僕も二度とシアを一人にしないと誓うよ。でも今回はシアは何も考えなしにラウラ嬢についていったわけではないんでしょう? あんなに正気を失った目をしていれば誰もついていこうとは思わないし、何か、言われた?」


そう問われ、少し恥ずかしくなる。

でも答えないわけにはいかないため、まだお風呂上がりであるため、ほわほわとしてピンク色であろう頬がもっと熱くなるのを感じた。


「その……ジュリッサ様とユーリがまだ関係があると言われ、その秘密を知りたいでしょう? と問われたのです。私ったらジュリッサ様という言葉に過剰に反応してしまって、、」


面倒くさい女だと自分でも感じる。言っていて恥ずかしくなり思わず顔を手で覆うとふわりと抱きしめられた。


「はあ……。可愛すぎる…………。シア、僕が君には夢中なのは知っているでしょう?」


「は、はい。勿論。でもあのときはとっさに反応してしまって。もしかしてって思ってしまうといてもたってもいられず……」


「もうほんとに可愛い。このままもう誰の目にも映らないようにしたい。僕だけのシアでいてほしい……」


頭をスリスリしてくるユーリが可愛らしく、思わずそっと頭を撫でる。


「私はユーリだけの私ですよ? どこにも行きませんし、きっともうユーリなしでは生きていけな……」


最後まで言う前にそっと口を塞がれる。

数秒ほどお互いの愛を感じあったあとに、ユーリの顔が離れた。

ユーリのキスはとても上手で、思わずふわふわと飛んでいきそうな感覚になり、いつもその後にギュッと抱きしめられる。


「そんな可愛らしいことを言ってくれるのはとても嬉しいけれど、ジュリッサがまた何かをやっているとも考えられるね、、」


最近はユーリとも接触はなかったらしいのだが、逆に言えば私が瀕死の状態で姫百合畑で発見されたあの日からずっと会っていないのだという。今どんな状況なのかも、まだユーリを諦めていないのかも誰も分からない。


「私が今回の夜会に参加すると知っている人達はあまりいないのでしたよね? だったらおかしいのです。何故ラウラがあんなに短期間で私を襲った男の人達を呼ぶことができたのか。すべて私の感なのですが、ラウラはどこかでジュリッサ様にあって、私の話をしているのではないでしょうか」


ユーリがはっと目を見開くように私を見つめる。

もっと他に理由があるかもしれないが、なんとなくだがそんな気がするのだ。

それに私がリベルタード公爵家を離れると約束してしまった3ヶ月はもうすぐ来ようとしている。動きがないどころか、むしろもっと仲の良くなった私達の噂を聞いて焦ったのだろうか。


「その可能性はおおにあるね。明日にはラウラ嬢も目を覚ますだろうし聞いてみるよ」


「あの、そのことなのですが、、私もその場に連れて行っては貰えないでしょうか」


迷惑だということはわかっている。でも腹違いであろうと私はあの子の姉なのだ。私が最後まで解決しなければいけないような、そんな感じがした。



「本当は猛烈に反対したいけど、、きっとシアにはとても大きな心残りができてしまうだろう。僕と絶対に離れないこと、何かあったら、いや、何か起きると感じたらすぐにシアはラウラ嬢から離れること。これだけは絶対に守って」


はい、と頷く。

今ラウラは客室に眠らされている。起きて暴れてしまわれては困るからと上質な客室ではなく、見張りもつけているが、あのまま王城の地下の牢獄に入れられるよりはましだろう。


ユーリの心遣いに感謝をしながら、今日はもう遅いからと寝る前の挨拶を交わし眠りについた。

何気にキスシーン初めてでしたか?

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