11 ジュリッサ視点
短め
なんで、なんでこんなことになるのよ……!
思い通りに行かなかった時によく出る癖で爪をかみながら自分の部屋へ向かう。
彼女のピリピリとした雰囲気に誰も近寄ろうとはしない。
私が何をしたっていうの!? ただの事実を言っていただけじゃない。それにみんなもそれに同調して言ってたじゃない。それがどうして最近急に私の味方になってくれる人が少なくなったの?
幼い頃からユーリウス・リベルタードが好きだった。
この好きという感情が憧れから来ているのか、はたまた内面が好きなのか、外見が好きなのかさえももうわからない。
幼い頃の気持ちを拗らせすぎてしまったのか、彼女の中には彼と結ばれなければいけない、邪魔なフェリシアを排除しなければいけない、という感情で私の心の中は支配されていた。
いつからこんなに焦り始めたのかしら。
…………ちょうど一年前くらいかしら。ユーリウスの隣にフェリシアとかいう見たことも聞いたこともないような令嬢が隣に居座り始めた頃。
初めは目を疑ったわね。だって私はユーリウスと婚約すると信じて疑わなかったから。それでもユーリウスの一時の迷いだろうと、念の為あの女にも忠告しておいたはずなのに何故私がユーリウスから縁をきられる羽目になるのか。
わけがわからないまま過ごしていたら婚約発表までされている。私の気持ちなんて分かる人、いるかしら? いいえ、いないわ。
だから私なりに反抗したのよ。フェリシアの妹だとかいう女に彼女を襲わせたり、私とユーリウスのあるべき姿を皆に話したり。
でもことごとく無視される。
本当に腹立たしいわ。何故あんな女がユーリウスの隣に堂々とたてるの? 何故あいつが世間から好かれるようになるの?
彼女の地位の確立は予想以上に早かった。
いや、あれはおかしい。この前の初めてユーリウスとあの女が一緒に参加していた夜会からだろうか。私が細工して上げていった名声よりも遥かに上を行く。
何がこんな田舎の領地の特産品まで知ってくれている、よ。そんなの後ろに仕えている従者にでも聞けばいいじゃない。誰だって出来るわよ。
何が所作が驚くほど美しい、よ。エレオノーラ様に習っているのだから当たり前じゃない。私のほうが美しいわ。
何がユーリウスの金髪とあの女の白銀の髪が似合っている、よ。私のウィステリアのような銀髪のほうが百倍もお似合いよ。
どの噂も聞けば聞くほど私をイライラさせる。
それに極めつけには私とユーリウスの話も段々と否定されるようになってきたのだ。はっきりとは言われないが、でもその話はありえないのじゃないかと遠回しに。
だからそんな事を言う人達は捨てていったわ。私の近くにいる人達に私を否定する人なんていらないのよ。
私はこのままユーリウスと結婚して、私達によく似た賢い子供ができて、その子もまた美しい相手を連れてきて……。
私の幸せがすべてあの女のせいで崩れていったわ。
すべて、すべて、すべて、すべて。
何もかもあの女が悪いの。私は悪くないわ。だって私が何をしたっていうのよ。ただの事実を教えてあげただけ。
そうよ、ユーリウスもきっと騙されているんだわ。だって私よりも美しくないあんな女にユーリウスが惚れるわけないもの。おかしいのよ。
私が正してあげないと。
騙されている皆の為にも、
ユーリウスの為にも…………。
部屋に狂気じみた甲高い笑い声が響き渡った。
フェリシアはアルノルド(魔法師団長)からもらった貴族ブックに載っている内容は全部覚えています。




