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最初のクエスト


アリスはウィンドウを眺めてため息を漏らし【チュートリアルクエスト:《お針子入門:はじめての一着》】を作業台に頬杖つきながら、両手を顔にパシンと当て「良し! 頑張りますか!」自身に喝を入れる。


「えっと、まずは布地……これは“クラウドコットン”って名前なんですね。ふわふわしてて、手触りも……あ、すごい、ゲームでも肌触りって分かるんだ」



クラウドコットン(Cloud Cotton)


分類:

裁縫素材/高級布地用繊維素材

レア度:★☆☆☆☆(低級だが応用性が高い)

主に初心者クラフターやお針子の初期素材として支給される。


【素材設定(ファンタジー世界観)】

空綿草くうめんそう」という浮遊性植物から採れる天然の綿毛。

空綿草は、低空を漂うように生える植物で、風の魔素エアマナを吸って成長する。

綿毛を摘むには「魔力制御スキル」が微弱に必要なため、素材としての扱いは初心者用だけどちゃんと触れられる人しか扱えない。


色合いはほのかに光を反射するミルキーホワイト。光の当たり方でパステル調に見えることもある

手触りはふわふわで軽く、現実のオーガンジーとカシミアの中間のような質感

重さは非常に軽量。布地にしても重さをほぼ感じさせない。浮遊感すらある

通気性は極めて良好。夏服や装飾服に最適。耐水性は低いため、戦闘用には不向きとされている

魔力適性は空・風属性の魔素に親和性があり、刺繍や魔紋の媒介素材としても活用可能。



【用途とゲーム内効果】

基本用途

初級衣類(ワンピース、ブラウス、リボン等)の制作

初級アクセサリー(シュシュ、手袋など)の素材

一部魔法道具(風封じの袋、風精の包帯)にも使用可


裁縫スキルとの連動

この素材を使って服を作ると「軽量化補正」や「回避率上昇」「魔法詠唱速度UP」などの補助効果が付く可能性あり。




画面左上のUIに「支給素材:クラウドコットン×3」と表示されている。

試しに1枚を手に取ると布がふわりと空中に舞いドレスフォーム(マネキン)の前に自動的に展開された。


それに思わずアリスは驚き感嘆の声を上げる。


「おおっ。勝手にピンで止めてくれました。けどちょっとズレてますね?」


慣れた手つきでマネキンのウエスト部分を左右にキュッと締め、UIのサイズ調整スライダーを手動で微調整。


(現実だとマネキンのサイズ直すの大変だけどこれは便利ですね)


「よし、スカート部分は広がるようにしてフレアラインにしたいです、と」


スライダーをフレア:+120%に設定。

ドレスのラインがふわっと広がった瞬間、アリスは(凄い! こんな事が簡単に出来るなんてVRだからだけど本当に嬉しい!)


アリスは次の段階に移る。

感動と初めての経験を胸にしまいながら高揚している。

「次はレースですね。刺繍枠、刺繍枠。あ、ありましたね」


UIから【刺繍枠】を選ぶと、仮想空間に丸いリングが浮かび、その中央に布がピンと張られた状態で表示される。

そこに、レース模様を選ぶプリセットが並ぶが——


画面には数十種類の既製パターンが並んでおり「レース(クラシック)」「薔薇唐草」「アラベスク風」「王家の紋章」など、華美な装飾がズラリと揃っている。


(わあ、すごい。でも、ちょっとなんていうか、主張が強いというか)


「うーん、ちょっと既存の柄、ゴテゴテしすぎてる気が」


表示されたパターンを次々に指先でめくりながら目を細めて首を傾げる。



「うーん、確かにゲーム的には派手な方が映えるのかもしれないですけど。これじゃあ、服が刺繍に食われちゃうんですよね」



画面に表示されたサンプル画像の一つは繊細な布地に黄金の唐草模様が全面にあしらわれておりもはやどちらが主役かわからない状態になっていた。



「この布、せっかくクラウドコットンでふんわりしたシルエットにしたのに重厚な紋様を乗せたら軽さが台無しになっちゃう」



思わず小さくため息が漏れる。


「しかもこれ、レースじゃなくて紋章に近いですよね? ゴシック調というか貴族のドレス用って感じで。うーん、私が作りたいのは“可愛い日常服”だから、こういうのとはちょっと方向性が違いますし」


(ゴテゴテしてて飾るための飾りって感じ。もっと、素朴で、自然体で、それでいてちゃんと可愛い。そんなレース、ないのかな?)


彼女は画面をパタパタとスクロールしていくがどれも装飾のための装飾——そう感じてしまう。


沈んだ顔と焦りで、

「どうしよう、せめて自作出来ればーー」


その瞬間、アリスの視線がUIの片隅にある【刺繍図案:フリーハンド】という項目に視線が止まった。



「あ、これ手描きできるんだ!」


静かに熱がこみ上げる喜び。天に昇るかの嬉しさが同時に波のように押し寄せてくる。


小さな発見に、目が鋭く輝く。


「だったら自分でレースを描いてみよう!フリルを引き立てるためのレースを!」


彼女は躊躇なく図案エディタを開き筆のようなツールを指先で動かしはじめた。




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