《キャラメイク》
友人に誘われて始めました〈クリエイト・オンライン〉。
セットアップが終了するといつの間にかウユニ塩湖のような場所で真っ白のワンピースを着ていました。
(いつの間に、てかなんでワンピースなんでしょうか? 可愛いから良いんですけど)
気に入ったのかその場でクルクル回りワンピースの広がりを楽しみます。
(ゲームでもこういう服作れるんですよね? 作りたいですね)
友人の蝶子の言葉を思い出します。
『良い? 魔法使いを選びなさい。まず魔法使いなら初手は失敗しないから。ほかにも戦士や弓使いもあるけど亜理子は現実でも運動ダメダメだから支援職を選ぶ事、あ、回復職もダメよ? 私が居ない時一人じゃレベル上げ出来ないだろうから。あと亜理子だから言うけどーーお針子はぜっったいダメだからね! お針子はハズレ中のハズレで現実で裁縫できる人じゃないと無理だから! いくら亜理子が器用で現実でも服を作った経験があるとはいえ、亜理子の作った服は』
余計な事まで思い出してしまいそうで慌てて思考にストップをかけます。
気を引き締めているとどこからともなく声が聞こえてきました。
『思考は終了でしょうか?』
「待っててくれたんですね」
『ではキャラメイクを行なってください』
「このままで」
一瞬だけ現れた姿見が消えます。
『ではジョブをお選び下さい戦士、騎士、弓使い、魔法使い、盗賊、狩人、神官、召喚師、見習い鍛冶師、見習い錬金術師、見習い料理人、お針子。以上の中からお選び下さい。またジョブはゲーム内で変える事ができ条件を満たせば新たなジョブが解放されます』
••••••本当はお針子がやりたいですけど蝶子には逆らえないですし。
「このお針子ってどんな職業なんでしょうか? 難しい場合はやめますが興味があります」
『では説明いたします。お針子はプレイヤーキャラクターが服や防具、アクセサリーなどのアイテムを改良、修理、作成することができる職業です。お針子は動物の皮から繊維を取り出しそれを紡いで糸を作り織機で織ったり針や糸で縫ったりしてアイテムを作り出します』
『お針子が作成できるアイテムにはプレイヤーキャラクターの外見を変える装飾品や防具や服などの防御力を上げるアイテムがあります。また一部ではありますがお針子が作成したアイテムに特別な効果が付加されることもあります』
『お針子は素材の入手や作成アイテムの製作という面で他の職業と密接に関連しています。例えば狩人が狩った動物の皮をお針子が繊維に加工しそれを元にアイテムを製作することができます。また採掘した鉱石を錬金術師が加工して金属糸を作りお針子がそれを用いてアクセサリーを製作することもできます』
『お針子は他の職業と協力して効率的にアイテムを作成することができるため、プレイヤーキャラクターの成長に欠かせない存在となっています』
••••••なるほど蝶子がお針子をダメだと言うのがよく分かりました。
蝶子はなんでか知らないですけど私が他の人と仲良くするのを嫌がる傾向があります。
「一つ質問なんですがお針子が作った物が失敗作だった場合どうなるんでしょう?」
『バラすと材料として再利用できます』
「 再 利 用 ! 」
亜理子はこれ以上ないくらい興奮しました。なにそれ、失敗を恐れる必要が無いって事ですか!?
「お針子でお願いします!」
亜理子は長年の友人である蝶子に対して初めて逆らいました。
(だ、大丈夫ですよね••••••? あとで怒られませんか? 多分、絶対怒りますよね••••••)
亜理子はあとの事を不安に思いながらプレイヤーネームに「アリスで」と音声入力しゲームのチュートリアルが始まりました。