『罪』
「何やってんだい! この! スカポンタン!」
仮面を被った中にも、
凄まじい色気と、美しい風貌を湛える女性リーダーが叫ぶ!
「そうは言いますけどね、リーダー!
ボクちゃんは、少ない予算と、限られた時間で、
精一杯、良い機体を作ってるんですよ⁉
あんなチートな強さの正義のヒーローさんたちのロボなんかと、
これだけ戦えるだけで、凄いって褒めて欲しいところですわよ?」
と、長い赤鼻を携えた、ヒョロ長の、身体をした、
知的さが光る理知的な瞳の、部下が苦言を返す。
「そんなんどうでもええから、
早よ、何とか、あのチートヒーローたちに反撃せんと、
ワイら、また、やられるだけでんがなまんがな!」
と、3人が乗る、このロボの中では、やる事が無いが、
肉弾戦の時は、とても頼りになる、
いかつい身体の、筋肉担当の方の部下が、
切羽詰まった様子で、二人に叫ぶ!
が、正義のヒーローさんのロボが、
鋭い一撃で、3人の乗るロボに、強烈な一撃を加え!
「観念しろ! 悪役トリオたち!
この正義マンが居る限り! 悪が栄える事は無い!」
と、必殺技の構えを取る!
「お…お待ち下さい! 正義マン様たち!」
正義の味方、男女二人の正義のヒーロー、
正義マンたちが乗る、今にも必殺技を放とうとする、
正義ロボに向けて、悪役トリオのリーダーが叫ぶ!
「ぼ…ボクちゃんたち! 改心しました!
世間の荒波に飲まれ、いつの間にか、
こんな…悪の道に堕ちたボクちゃんたちですが!
正義マン様たちの、熱い正義の心意気!
感じ取りました!」
と、赤鼻が言い!
「そうでんねん! まんでんねん!
もうワイら! 悪い事は、しまへん!
どうかお助け! へるぷみ~!」
と、筋肉担当が、正義ロボに向けて拝みだす!
「部下たちも、こう言ってます!
どうか! どうか! ご慈悲を!
慈悲深い! 正義マン様たち!」
と、涙ながらに悪役トリオのリーダーが叫ぶ!
「わかったわ! 無抵抗の相手は倒せない!」
と、女性の正義マン、正義マン2号が言い!
「ヒーローは! 罪を憎んで人を憎まず! だもんね!
よし…もう悪い事は辞めるんだぞ…!
その改心した清い心を…!
どうか…ずっと忘れるなよ…!」
と、男性の正義マン、正義マン1号が言う!
「ハハァーーーッ!
ありがとうございます!
慈悲深い正義マン様たち!」
「ボクちゃんたち!
立派に改心し続けます!」
「ありがたやでまんねん! まんねん!」
悪役トリオの、それらの言葉に、
トドメを刺さず、正義ロボが背を向けて帰って行く!
しばしの時間が流れてから。
「ぷぷぷ! いやぁ~! 騙されて帰りましたね!
正義マンの、おバカたち!」
と、赤鼻が、笑い出し!
「ハハ! ホント、頭悪りぃバカたちでおま!」
と、筋肉担当も、大笑い!
「コラ! スカポンタンたち!
あのバカたちは地獄耳なんだから!
そんなバカバカ言うんじゃないよ!
バカにバカって言ったら怒るだろう!」
と、悪役トリオのリーダーが部下たちを嗜めるが…。
「今、バカって言った?」
と、正義マン2号が言い、正義ロボが振り返る。
「あ~! やっぱりオマエたちがバカバカ言うから!
あのバカたちが怒り出したじゃないかい!
どうするんだい! スカポンタンたち!」
と、苦言を悪役トリオのリーダーが部下たちに呈する。
「全く! ホント、地獄耳なんだから!
ど…どうします…リーダー…?
あのバカロボと来たら、あの偏平足の割に、
足も速いから、直ぐにこっちに帰って来て、
また、ボクちゃんたち、やられちゃいますよ…⁉」
と、焦る赤鼻!
「偏平足…?」
と、正義マン1号も、静かに言葉を紡ぎ…。
静かに、正義ロボが、こちらに帰り出す…。
「あの偏平足!
胴長短足の割に身軽でおますし!
ワイら! もう、ヤバイでおますで…⁉」
と、筋肉担当も、焦り声で叫ぶ!
「スカポンタン! そんなホントの事ばっかり言ったら!
アイツら! ホントのバカなんだから! もっと怒るだろうが!」
と、更に苦言を呈する悪役トリオのリーダー!
「仏の顔も三度までよ!」
と、正義マン2号が叫び!
「行くぞ! 必殺! 大撃弩……ッ‼」
正義マン1号が叫んだかと思うと、
正義ロボの必殺の巨大な弓の一撃が、
悪役トリオの悪役メカのエンジン部分に、
強烈な一撃を放つ!
大爆発しながら、
爆発で煤だらけになりながら
脱出ポッドを起動し、
『やぁ~られちゃった~! くやしいなぁ~!
今日~は! これで~! おしまいよ~!
さぁ~よぉ~なぁ~らぁ~!』
と、悪役トリオたちが、お決まりの逃げ台詞を言って、
撤退して行く!
『勝利のポーズ‼
正義だ! 正義だ! 正義マン‼』
と、こちらもお約束の勝利ポーズをする正義マンたち!
でも、このお決まりの、やり取りが、
視聴者には、堪らない!
昨今の正義のヒーローと戦う悪役は、
見た目だけは綺麗だけど、
やっぱり、悪役も、
このくらい、お約束を大事にした上で、
キャラが立って無いと!