Cクラス名簿+a
理事長:ゼオン・アルティス
使用機体:黒の騎士人形ゼクシオン
担当教官:クオン・ナギサキ
使用機体:白の騎士人形クォール
男子11名
アルト・アルディーニ
使用機体:橙の騎士人形シリア
ランディ・イネルハイム
使用機体:麹塵の騎士人形ドルスタ
リュウ・ウィンディ
使用機体:深緋の騎士人形エンリョウ
ハル・エルトナム
使用機体:紫炎の騎士人形ヴォイド
サイ・オルトネス
使用機体:紅の騎士人形エンブ
エド・ゾーピス
使用機体:雌黄の騎士人形フルム
ガイ・ディアス
使用機体:蒼の騎士人形オルディス
デュラン・ハーバー
使用機体:紅蓮の騎士人形ゴリアス
ザナル・フォンゲイル
使用機体:黄金の騎士人形ヴォルグ
ジン・ブルークス
使用機体:漆黒の騎士人形バルラ
ファムラン・マーキュリー
使用機体:灰緑の騎士人形ファイン
女子10名
レナ・アトラス
使用機体:白銀の騎士人形ネメシス
シズナ・イルグリム
使用機体:鉄紺の騎士人形ミストラル
リリィ・ザドルロス
使用機体:灰の騎士人形ギルガリム
リン・ナギサキ
使用機体:琥珀の騎士人形イルソン
マリア・ニュクス
使用機体:茜の騎士人形ピュリア
ベアトリクス・ノークス
使用機体:紫紺の騎士人形ゼリアノス
エレン・パステカル
使用機体:白菫の騎士人形ネビル
ミリム・マルドックス
使用機体:瑠璃紺の騎士人形ゾーン
アルフィス・マリロア
使用機体:桜の騎士人形リーチェ
トリア・ハーキュリー
使用機体:浅緋の騎士人形キルセイン
▽ ▽ ▽
──入学式の当日4月12日──
「クオン少佐。彼らが貴殿の担当する生徒諸君だ」
理事長室に呼ばれたクオン教官は、ゼオンの階級呼びに苦笑を浮かべる。
「理事長。ここは軍部ではありませんよ」
「あぁそうだったな」
ゼオンは瞼を押さえ、クオン教官にクラス名簿を手渡す。
そこに記されている21名と騎士人形の名。
中には良く知る人物の名まである事から眉が吊り上がる。
「貴殿のクラスには貴族、平民、スラム街の出身。果ては移民者と人種の問わない生徒が多い。特に昨日新たに操縦士に選ばれた生徒もな」
「昨日……覚悟を決める時間も無かった生徒か」
「あぁ。だが選ばれてしまった以上は他人事ではいられんだろう」
「えぇ、それは重々理解しております。しかし彼に意志が無いとなれば」
「……国の方針は相変わらずだ」
生徒を憂う眼差しを向けるゼオンに、クオン教官は眼を瞑る。
学業に専念せず、成績不振の生徒は問題無用で拘束される。
以降拘束された生徒は暗い地下牢で監禁生活を送り、洗脳紛いな方法で戦場に送り出されてしまう。
「彼らが学業に専念できるかは、わたし達次第か」
ゼオンは重々しく頷く。
彼は軍総司令官だ。
かつて生徒だった操縦士が戦場に駆り立てられ、若者が戦火に散る姿を見続けてきた。
英雄と呼ばれるゼオンであろうとも、彼の功績一つで操縦士の地位を救うことはできなかった。
それだけグランツ王国の操縦士に対する畏怖は蔓延し、操縦士は国民の盾として役割を強いられる。
今の国王では操縦士の在り方を変えることはできない。
かと言って大国に呑み込まれれば、外人部隊として最前線に駆り立てられる。
クオン教官は軍人として操縦士の未来に深いため息を落とした。
そんなクオン教官にゼオンは言葉を漏らす。
「まだリリナ姫が居る。彼女こそが操縦士の未来を変えてくれると良いがね」
リリナ・フィス・バルムンク。バルムンク王家の王女であり、操縦士に対する好意を示す心優しい少女。
彼女の存在が軍部の操縦士達を失望させず、グランツ王国に繋ぎ止めていた。
そこまで考えたクオン教官は、古時計に視線を向ける。
「理事長、そろそろ入学式の時間です」
「そうだな。さて私は例年通り悪役を演じるとしよう」
彼はそう言って鋭い笑みを浮かべたのだった。