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魔王第一側近


「あ、魔王様。お疲れ様です」

「ただいま、メルヴィ」

「この人間が期待の新人なのですか?」

「そういうことだ。仲良くしてやってくれ」


 カイトの部屋から少し移動すると。

 道中で礼儀正しそうな女性と出会う。


 名前はメルヴィというらしい。

 水色の髪に露出の少ない服。

 只者ではなさそうだが……一体何者なのだろう。


 気のせいかもしれないが、何だかどこかで見覚えがある。


「初めまして。私はメルヴィと申します。カイトさん……でしたよね?」

「え、どうして俺の名前を……?」


「カイトさんはこの魔王軍でも有名ですよ。だって、魔王様が直々にスカウトするレベルの人間なのですから」

「ゆ、有名……ですか」


 メルヴィは、カイトの姿をまじまじと観察する。


 これがリーファの選んだ人間か。

 見た目は普通だが、確かに持っている力は凄まじい。


 リーファが人間をスカウトするなんて初めての出来事。

 それ故に期待は大きかったが、外れというわけではなさそうだ。

 メルヴィはひとまずそれに安堵する。


「どうだ、メルヴィ。なかなかの人材であろう」

「はい、安心いたしました」


「おぉー! 喜べカイト。メルヴィが認めるとは相当だぞ」

「よく分からないけど……ありがとう」


 カイトが付いていけていない間に、どんどんと話は進んでいく。

 

 とにかく、メルヴィという人に認められたとは思ってもよさそうだ。

 スタートダッシュとしては好調らしい。


 慣れない環境であるが、それでも人間の世界に比べると幾分もマシである。

 人間の世界では、どれだけ優秀な成績を残しても正当に評価されることはなかった。

 

 しかし、ここならちゃんと実力を評価してくれる。

 死霊使いだからといって、無意味に差別されたりすることはない。


「これからお前が昇格するかどうかは、メルヴィによって決められるからな。今のうちにアピールでもしておくといい」


「……へ? じゃあこの人は――」

「私は魔王第一側近です。よろしくお願いいたします」


 ペコリとメルヴィの一礼。

 魔王第一側近――恐らく魔王軍ではナンバー2の立場。


 ここでようやくカイトは思い出した。

 人間界のギルドで、魔王には懸賞金がかけられている。


 確か魔王リーファの懸賞金は五千万ゴールド。

 その隣に、一千万ゴールドでメルヴィの名前が載っていた。


 見覚えがあると思っていたら、そういうことだったのか。


 リーファとメルヴィ――どちらも化け物だ。

 普通なら会うことすらできない立場の者である。


「よし、とりあえずメルヴィには挨拶できたな」

「じゃあもう終わり――」

「なわけないであろう。むしろ、これからが本番だぞ」


 カイトの発言を、食い気味に否定するリーファ。

 まさか魔王軍全員に挨拶しろというのか。


 一瞬だけそんな長い道のりが浮かんだが、そういうわけではないとすぐに訂正が入る。


 ならば次はどこに行くのだろう。

 リーファの口からは、衝撃の言葉が飛び出してきた。


「次は、お前のことをよく思っていない先輩たちに挨拶だ。けちょんけちょんにしてやるといい」



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