エリアO、そして共闘
「宝剣…だと…」
アイツ、気付いてないのか…
「ふっ、驚いたか、俺は宝剣を集め、元の世界へ戻る」
「なぁ」
「分かっているみなまで言うな、そのためには残りの宝剣を集めなければならない。そこでだ!君の…」
「それ、鞘だけだぞ?」
すると男は見るからにポカンとした顔をして自分の手にある宝剣(の鞘)を見つめた
「な、なんてことだ…お前…」
「やっと気付いたか…」
「モチ」
「いつ俺の宝剣を盗んだぁ!」
そう叫んでそいつは矢を放ってきた。
「なんでそうなる」
俺は瞬時に矢を避け、反撃に移る。
「宝剣をぉ!返せぇ!」
すると、そいつは矢を4本一気に放ってきた。
「モチ!?」
(4本も!?どうやってんだ?)
咄嗟に避けるが一本が当たる、よく見るとそいつの弓は不思議な形をしていた。
「十字になってる?」
弓が二つ重なり、十字を描いている。
「ふん!気づいたか?これはそこら中に生えている”鬼桜”を使って俺が作った特製の弓矢だ!」
「鬼桜…」
周りを見渡すと確かに桜の様な木が生えている。
「くらえ必殺!火焔四番星!」
そう言いながら放たれた矢は、炎を纏ってこちらへ飛んできた。
『も、燃えてる!?』
「どうなってんだ!?」
慌てて避けるが刺さった矢から周囲に燃え広がる
「さぁ、宝剣を返せ!」
男が近づいてくる。
『どど、どうしよう!』
「いや、俺盗ってないし」
「嘘をつけぇい!」
「モチィ!」
すると背後からモチスケがチョップを食らわせた。
「ぐは…」
当たりどころが悪かったのか、そいつはその場で倒れた
『倒れちゃった…』
「しょうがない、起きたら話をつけるか…」
……………………………………………………………
「いや〜悪い悪い、俺はてっきりお前が奪ったのかと」
「こいつ…」
「モチィ…」
「俺は十文字治良お前と同じく、元の世界へ戻る為、宝剣を集めている。」
「で、このエリアOへ来たと」
「いや、俺はここに出てきた」
『へ〜!』
「人によって飛ばされる場所が違うのか…」
「このエリアOの宝剣は、あのでかい城の天守閣にある、俺はそれを網をつけた矢で見事に取ったわけだ」
『鞘だけね?』
「おま…なんてこと言うんだ!」
『カネナリ達にいきなり攻撃してきたんだから、イジワル言ってやる!』
「こいつ…」
「ナービ、程々にな。でハルヨシ、この世界に来てからどのぐらいだ?」
「二日くらいだな」
「二日か…」
長くこの世界にいるなら、何か聞けるかと思ったんだが…
「まぁ、今日はもう遅い!明日、宝剣をいただくとしよう!」
「そう簡単にいくか」
「いくさ!なぜならカネナリ、俺が仲間となったからだ!」
「……まぁ、よろしくな、ハルヨシ」
『よろしく、サルヨシ!』
「ハルヨシだっつーの!」
こうして、仲間となった俺達は、エリアOの街へと向かった。
……………………………………………………………
「にしても和風な街だな…」
「食いもんとかも和食だぞ?」
「モチ!」
「モチ!」
「そうか、モチスケ達は外に出るのが初めてなのか」
「「モチ!!」」
「今日は俺が泊めてもらってる宿屋で休んで、明日早くに城へ行こう」
「城の中はどうなってるんだ?」
「聞いた話だとオーガ、つまり鬼型のモンスターがわんさかいるらしい、そして天守閣には宝剣を護るボスがいる…らしい」
「ボスか…」
正直、ボス以外はなんとかなりそうだな。まぁ、油断は出来ないが…
………………翌朝………………………………………
「よし!時は満ちた!行くぞ!」
『「オー!」』
「「モチー!」」
という訳で俺達は早速宝剣のある城へ向かった。
『敵だ!』
「お出迎えだな」
街を抜けて城にだいぶ近づいてきた辺りで敵が出現し始めた。
「頭に角、手には金棒、いかにもって感じだな」
「モチ」
「いくぞ、ハルヨシ、モチスケ」
「言われなくてもぉ!」
「モチモチ!」
二人は次々襲い来るオーガをあっという間に倒してしまった。
(俺の出番…)
まぁ、心強いからいいか。
「よし、城の中に入ろう」
「俺が先だ!」
オラオラ言いながらまたしてもオーガを倒していくハルヨシ
「負けてられるかぁ!」
俺も負けじと向かってきたオーガを倒す。
「やるなぁ!」
「お前もな!」
「モチモチ」
「モチ!」
モチリンが指差して叫ぶ。
「なんだ?」
「ゴォォォ!!」
「やっべ!」
「おっと」
正面から他より一回り大きいオーガが現れ、その金棒を振り下ろす。
「的がデカくてやりやすいぜ!」
ハルヨシが矢を4本放ち、仕留める。
「やったか?」
しかし、そのオーガはまだ立っていて、金棒を振り上げていた
「フラグたてんな!」
俺は剣でオーガを切り、トドメをさす。
「お前に出番をやっただけだ!」
『仕留め損なったくせに〜!』
「まぁまぁ」
「モチモチ」
「ふん!さぁ、気を引き締めろ、次が天守閣…」
「ボスのお出ましか…」
「がぁそこ俺のセリフ!」
……………………………………………………………
天守閣に到着すると、予想外の光景が広がっていた
「ボスが…2体!?」
『ウソでしょ!?』
「これは中々…」
そして2体のボスの後ろには宝剣が飾ってある。
「我が名は〈壱牙鬼〉」
「我が名は〈練牙鬼〉」
「「『しゃべった!?』」」
「「お前達に宝剣は渡さない」」
早速壱牙鬼と名乗った赤っぽい鬼が攻撃を仕掛けてきた。
「うおっ!」
「やっばいな!」
名前の通り、食らったら一撃でアウトだろう、その位重い攻撃だ。
「でもこの鎧なら!」
そう、この鎧なら衝撃を受け流せるはず!
「来る!」
信じろ!
「ふん!」
振り下ろされる一撃、だが…
「へ、食らわないぜ?」
『いけー!カネナリ!』
「忘れてもらっては困る」
「な!?」
攻撃をしようとした瞬間、練牙鬼と名乗った青っぽい鬼が仕掛けてきた。
「ぐっ…」
最早目で追えない程の斬撃、いくら食らわないと言っても勢いで圧倒され、俺は後ろに下がる。
「どうすんだカネナリ!」
「モチモ!」
「二手に別れよう!ハルヨシとモチスケは練牙鬼を!」
「えこいつと?まぁいい分かった!」
「頼む!俺とモチリンは壱牙鬼を倒す」
まずは…こいつの一撃を利用して…
「はぁ!」
壱牙鬼の攻撃を上手くかわし、床に当てるその金棒を上からさらに叩くと床が抜け、壱牙鬼は俺とモチリンごと下の階に落ちた。
……………………………………………………………
「モチリン!俺に作戦がある」
「モチ」
下の階に着いてすぐ俺はモチリンに作戦を話す。
「いいか?」
「モチ!」
「行くぞ!」
俺は壱牙鬼に向かって走り出すと同時に、宝剣〈モチリカリバー〉をモチリンに渡す。
「来いやぁ!」
壱牙鬼の攻撃に耐えながらスキを伺う
(くっ…こいつ、スキがない…)
一撃一撃が重い割に攻撃のスパンが短い、これは…やるしかないか…
「おぉぉりゃゃ!!」
俺はタイミングをなんとか合わせ、壱牙鬼の金棒に渾身の一撃を入れる。
「ぐぉ!」
壱牙鬼が微かに振らつく今しか無い!
「今だ!モチリン!」
「モチモチ!!」
モチリンがモチリカリバーを構え、壱牙鬼に一撃を入れる。
「ぐ…」
「よっしゃ!」
「モッチ!」
壱牙鬼はモチリカリバーの効果で全身モチモチになり、金棒すら持てなくなっていた。
「トドメだ!」
「モチ!」
モチリンと共に最後の一撃を決める。
壱牙鬼はその場に倒れ、動かなくなった。
「…あれ?」
変だな…
……………………………………………………………
「行くぞ!モチモチ!」
「モ…モチ!」
とは言うもののどうするか…アイツめちゃめちゃ早いし…
「俺が後ろから射撃する、お前は前で攻撃してくれ」
「…分かった」
「いや喋んのかい」
初めて知ったわ、普段も喋れよ。
「食らえ!火焔四番星」
4発の矢で狙うがかわされる。
「モチ!」
モチスケが攻撃するが避けられ、反撃にあってしまう
「クソ…どうすりゃいい?」
「モチ」
「なんだ?」
モチスケが何やら耳打ちしてくる。
「モチモチ…」
「ははーん、なるほどな。それならいけるかもしれん」
俺はモチスケの言った通りにすることにした。
「おぉぉ!」
雄叫びをあげ練牙鬼が迫ってくる、矢を撃つが当たらない。だがそれでいい!俺は矢で練牙鬼を誘導し、ポイントに誘う。
「あんたはもう逃げられないぜ?」
「何?」
練牙鬼の周りは俺の撃った燃える矢で囲まれ、最早身動きも取れそうに無い。
「今だ!モチスケ!」
「モチチ!」
「ぐぁ!!」
モチスケが放った攻撃を食らうと練牙鬼は動かなくなった。
……………………………………………………………
「ハルヨシ!」
「カネナリ、宝剣は俺が頂いた!」
「やっぱり、こいつもだ」
「聞けよ」
いつもなら、倒したモンスターは粒子になって消えていった。でもこいつらは消えてない。
(なんでだ…)
その時、床が大きく揺れた
「なんだ!?」
「うおっ!なんじゃこりゃ!」
「モ、モチ!」
「モチチ!」
「壱牙鬼!?」
下の階にいたはずの壱牙鬼が浮かび上がり、俺達の前に現れる。
「おいこっちもだぞ!」
見ると練牙鬼も浮かび上がりこちらへ向かってくる。
「どうなってんだ!?」
「まさか…」
壱牙鬼と練牙鬼が重なり合い、眩い光を放つ。
「おいおい…」
残念ながら俺の予感が当たってしまった。
「我が名は烈風鬼。今ここでお前たちを殺す。」
2体の鬼が合体したのだ。
カネナリ残金:9,989,000P¥
キャラ紹介
十文字治良
鐘鳴と同様に異世界に飛ばされてきた。十字に重なった弓を使う、弓矢の扱いに長けるが頭は良くないようだ
鬼桜
エリアOのそこら中に生えている木。桜よりやや花びらが赤い。樹液にはアルコールが含まれており、擦ると発火することがある。