仲間、そして宝剣
「ヤバいヤバい!」
『逃げて逃げて!』
なんでこんな事に…
〜遡ること1時間前〜
「それで、モチリ族ってのはどんな奴らなんだ?」
『う〜ん、会ったことはないけど、友好的な種族らしいよ!』
「だったら安心だな」
しかし、街を出てもう何時間だ?もう1、2時間は経ってるだろ…俺、体力ないんだよな…
『あ!あれじゃない!?』
「おん?」
ナービに言われて前を見ると、確かに大きな神殿が見えてきた
「おお!あれか!」
デッカイなおい!あの中に宝剣が…すると突然
バシュ!バシュ!
「いて!なんだ?」
『矢?ひょっとして、狙われてる?』
「マジで?」
辺りを見渡すと確かに視線を感じる、あと、ガサガサという音も…
バシュ!
「おっと」
それを合図に、一斉に矢が飛んできた
「ヤバいヤバい!」
『逃げて逃げて!』
俺たちはその場から走り出し、近くの洞穴に逃げ込んだ
「どうするか…」
外ではまだ俺を探してるのか、ガサガサという音がたまに聞こえる
『そーだ!敵からの認識を阻害する〈キエールZ錠〉を買おう!』
「そんなのもあんのか、よし!買った!」
ナービの端末で注文!すると、画面からビンが出てきた、凄いな
「で、中のこれを飲めば良いのか?」
ビンの中から錠剤を取り出す
『そう!でも、効果は1錠5分!』
「なるほどな」
ゴクッ
「っん、これで良いのか?」
『うん!これで敵からは見えないよ!』
「よし!効果が切れる前に…」
『ダ〜ッシュ!』
数分後、俺たちは難なく神殿に辿り着いた
『ね!見つかんなかったでしょ?』
「おう、よし、宝剣を求めて!」
『レッツゴー!』
神殿の扉を開ける、次の瞬間、俺は首元を掴まれた
「『え?』」
後ろでは白いずんぐりした奴が俺の首元をしっかり掴んでいた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「いや〜済まんのう」
「いやいや、入り込んだのは俺ですし…」
「それもそうじゃな」
ずんぐりした奴に連れてこられたのはモチリ族の村。どうやら神殿に近づく俺達を不審者だと思い矢を撃って来たらしい。
今、俺の前には三人のモチリ族が座っている
「申し遅れたの、ワシはモチリ族の長、シワちんじゃ、右の大きいのがモチスケ、左がワシの息子のモチリンじゃ」
紹介された二人が頭を下げた。
(名前ゆっるいな…)
気が抜ける
「お主は魔王を倒すため、宝剣を求めて来た、そうじゃな?」
「はい!」
「じゃが、宝剣を手に入れるには試練があってのぉ…」
「行きます!」
「生きがいいのう!よし、モチスケ、モチリン」
「「モチ」」
「コヤツと共にモチリ神殿に行き、試練を越え、宝剣を持ち帰るのじゃ!」
「「モチ!」」
「…ナービ、あの二人なんて言ってるの?」
『最初が「はい」で、後が「了解」だよ!』
「わからねぇ」
『じゃ!ナービが翻訳するね!』
「頼んだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「で、試練ってのは?」
「モチモチモチチモチモチモモモチモチモチ」
「ふ〜ん」
意外と簡単そう?
「着いた!」
いやモチリン、モチスケの肩に、乗ってたじゃん
「それじゃ、行くか!」
『「「オー!」」』
大丈夫かな…
神殿の中にいたのはモチリ族そっくりのゴーレムだった
「おりゃ!とりゃ!」
俺が前に出て倒さないと…
「モチ!」
しまった!後ろにいた!
「モチスケ!モチリン!」
間に合わ…
「ゥモチ!」
え?
モチスケが出した剣がゴーレムを砕いた
「ほえ?」
めちゃ強い…
『ナニナニ?』
「モチモチ……」
『へぇ!カネナリ、モチスケはモチリ族きっての精鋭なんだって!』
マジか…
「でも、これで攻略が見えた!」
そこからはトントン拍子だった、神殿には、罠とかは無くゴーレムがいるだけだった。ただ、道が迷路の様になっていて進むのが大変だったが。
そして…
『最下層だ〜!』
「案外早かったな」
「モチ!」
少し進むと、開けた場所に出た。
「あれは!」
「『宝剣だ!』」
全員に駆け寄る、すると台座に何か書いてあった
「なんだこれ?モチスケ、モチリン、読めるか?」
「……モチ」
「ん?」
ナービが翻訳する
『宝剣欲しくば決闘せよ…ええ!』
その後、ナービが詳しく解析すると、宝剣が間違ったものの手に渡らぬよう、仕掛けがあるらしい。よく見ると周りにはさっきのゴーレムのような石像が有り、目が光っている。
『あれが監視しているらしいよ?』
センサー的な…そうだ!
「よし!わかったぞ!」
「「モチ?」」
「いいか?…」
俺は作戦を二人に話した。
「いいか、作戦通りにな!」
「「モチ!」」
まず、俺とモチスケが戦い、決闘していると石像に認識させる。そして戦闘中にさっきのキエールZ錠を飲む。
(石像の光が消えた!)
そしてモチスケの肩に乗っていたモチリンが宝剣を抜く!
「モチ!」
「やったな!」
「モチモチ!」
しまった、声出しちゃ…
「「「あ。」」」
石像がの目が再び光り、そして動き出した。
「おいマジかよ!」
でも相手に俺らは見えてないはず!
「ウォォ!」
石像が唸りをあげると共に砂ぼこりが舞う。
砂ぼこりが付き、俺らの姿が見えだした
「まずい!」
「モチ!」
流石に8体相手は無理か…
「モチ!」
「モチリン!?」
まさか…あいつ!
「無理だ!サイズが全然ちが…」
次の瞬間、石像の一体がフニャフニャになって無力化された
「あれ?」
『そうか!宝剣だよ!宝剣!!』
そうしている間に他の7体もあっさりと無力化された
「これが、宝剣の力…」
『宝剣は段違いの攻撃力とそれぞれ特殊な力がある、このエリアM、モチリ族の宝剣〈モチリカリバー〉は触れた相手の防御をゼロにして、無力化できるんだね!』
「まぁ、試練も終わったんだ、村に帰ろう」
「「モチ!」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よくぞ戻った!」
村に帰ってすぐ、長老がそう言ってくれた。
「モチリン、モチスケお前たちはこの者について行き、共に魔王を倒すのじゃ、よいか?」
「「モチ!」」
おお!仲間が増えるのはありがたいな
「これからよろしくな、モチスケ、モチリン」
「「よろしくモチ」」
いやしゃべれるんか〜い
「そうと決まれば宴じゃ!皆のもの!準備にかかれ〜」
今夜はにぎやかになりそうだな!
「カネナリ殿」
「あ、はい」
宴の中盤、俺は長老に呼ばれた
「モチリンもモチスケもまだまだ未熟者じゃ、お主の足手まといになるかもしれん」
「いやいやそんなことは」
「じゃが、二人共、ワシが見込んだものじゃ、しっかりと助け合って、共に魔王を倒してくれ」
期待…されてるのか?だったらそれに答えるだけだ!
「はい!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌朝
「「モチモチ〜!」」
「達者でな〜」
「ナービ、次はどの地方に行くんだ?」
『ん〜距離的にこのエリアOかな!』
ナービがマップにピンをさす。
「エリアO…よし、行くか!」
「「モチモチ!」」
数十分後
『この橋を渡ればエリアOだよ!』
「ホントすぐだったな」
「モチ〜」
橋を渡って…
『エリアO到達〜!』
「「モチ〜!」」
「なんか、和風だな…」
少し遠くに見える村も城下町みたいで発展してるように見える。
「ん?」
妙な視線を感じて剣を振る。何かあたった感触
「矢!?4本も!?」
視線は一つな気がしたんだが…
「お前達も宝剣を集めているようだな!」
声の方を見ると、後ろの木の上に人影があった。背中には弓を背負っている
「だが残念だな!このエリアOの宝剣は、既に頂いた!」
「「モチ!」」
「なに!?」
『ええ!』
カネナリ残金:9,989,000P¥
キャラ紹介
モチスケ
モチリ族最強の剣士、モチリンの護衛。ずんぐりしている。180cm
モチリン
長老の息子。宝剣〈モチリカリバー〉を持つ。
用語解説
モチリ族
モチモチした体の友好的な種族。理解力が高く、複数の言語を話す者もいる。