008話 驚異の土石流、災害対策はお早めに……
絶体絶命の中で俺様が思い付いた画期的な手を見せてやるぜ……
そんな大層な物ではありません。byスラちゃん
ウォルの忠告を真剣に考えなかった俺がバカだったが、画期的な手を思い付いた。
それは……出入り口を塞げば、良いんじゃね?そうなのだ……何故ここ迄追い込まれてから何時も後の方で思い付くのか、物語的には面白いかも知れないが、現実に生きて居る俺には、堪ったもんじゃねえぞぉ~!と誰かに向かって叫んで見た。
と言う訳で……俺は通路の入口に壁を一時的に制作して、もう土砂混じりの浸水、いや、土石流を阻むための行動に意識を集中する……
ラノベ辺りならば、此れは土魔法の部類で、ファンタジーなら定番の話しだぜ。
意識せずに使用していたが、間違い無く迷宮でもオーソドックスな権能の筈だ。
簡単ぷぅ~♪なのじゃ~~~!などと容易く思っていた時期が俺にもありました。
第一次、迷宮出入り口封鎖作戦の巻き……
先ず俺は、通路横穴の出入り口に意識を向けて、何だ此れは、此れは目が……目が開かない(目無いス)い、息が……息が出来無い(息してないス)み、水の流れが速すぎて感知出来無い(此れは気分です。感知可能でした)
冗談交じりの台詞はさておいて……
俺は下から徐々に土を盛り上げたが、凄い水の圧力にアッサリと……負けました。
次は上からその後は左右からと挑戦したが、コブ程度なら良かったのだが、大きく成るにつれて圧力が増し、土操作の権能程度では太刀打ち出来無かったのだ。
流れに勝ち、一気に通路を塞ぐ手を考えねば……だがしかし、俺に出来るのか?
俺はレベルが未だ低くて、余所様の物語に出て来る魔法使いの主人公の様に、格好良く決めて、見たか俺の実力をぉ~~~お!俺に掛かれば、まぁこんなものよ……
などと良いながら部下に格好よく俺の実力を見せたかったのだが、ここは危ないしヒョッとして万が一しくじったら格好が悪いかな~?などと思って孤独に挑戦していた。俺は誰も見てなかったが、後ろを振り向いて正直ホッとした。
俺の力をお前らに見せてやるぜ!などと言って失敗したら、暫く立ち直れない……
俺は昔遊んだ砂遊びで、土手を作り水を溜め、満足した後に指で僅かな切れ込みを入れて決壊させた、あのドミノ倒し的な快感を思い出したが、どうやらその状態に等しいな……
此の俺がクドい説明の様な話しをしたのは、チャンとした訳がある……この圧力に勝てる方策が思い付かないのだ。持って回った言い方をして、敗北を受け入れられない性格が自分でも悲しい……チョット泣いた後で、気分転換を思い付いた。
俺は考え過ぎは良くないと、意識を下層に向けて見ると、遊んでやがる……俺が教えたドッジボール、コートで二手に分かれて触手を使い、石を投げてキャッキャと遊んでやがる……
見れば量産型の緑と青が、綺麗に分かれて、目にも見えない速度での投げ合いだ。
俺は攻守に使えるこの遊びを、訓練と称して教えたのだが、実に朗らかに遊んでやがった。物理攻撃に強いとされているスライムのことだ……べちゃ!と潰れても、ムクムク起き上がり、キャッキャと笑っているほのぼのとした光景だ。
ク!此の俺が……俺がこんな苦労をしていると言うのに此奴らは……とも一瞬考えたが、良く考えれば此奴らは事情を知らないし、言い付けを守って訓練に励んでる可愛い奴らだとも言える訳で、俺は文句を口に出す前に我慢した。
まあ確かに俺の自業自得?身から出た錆?人の忠告を無視した愚か者?考え無しで買い物して、後から後悔する無様な事を毎回しているんだが……何か悲しく成って来たぞ俺、泣けてきた。(飽くまでもイメージ表現です。byスラちゃん)
だが俺はその時見た!見たんだよ、彼奴らのボールを……ゴブ共の襲撃が終わり、ツイも元気を取り戻した後で、俺は此奴らにドッジボールを教えた。
見学をしながら俺は、そんな泥団子では強い攻撃に成らないからな、此奴で遊べと手渡した砲丸投げの様な鉄球、ボール代わりに使い命懸けの競技と化したのだが、或る程度のお兄さんお姉さんにしか、参加を許して無い、高学年用のタマを見た。因みに小さい子は未だに泥団子である……
そうだ……此れがあったよ俺には……気分転換して正解だったぜ。
俺は急いで現場に向かった。(気持ち的にです。移動は一瞬で済む)
今回の俺は一味違う!今迄の俺とは違う所を見せてやるぜよ、土石流ぅ~~~!
第二次、迷宮出入り口封鎖作戦の巻き……
「どんがらがったん、がしゃーん、ガッン!ガッン!どんがらぐわぁしゃーん」
お楽しみ頂いた効果音は、大失敗の賜でした……下から迫り出せば、流れる巨石に潰されて、効果が無いと考えた俺は、上から攻める事にした。
ラノベ土魔法の王道、鉱物精製!俺は土の中から必要な鉱物を取り出して、精製が可能なのだ。そうあの鉄球の如く……
俺は少し上の場所で力と思いを込めて、鉄板作りに挑戦し、厚さ2セチ、道幅一杯一杯に成るまで精製して、ストンと落とすために周りを動かして空間を作り、俺は最後の留め金を外して一気に落とし込んだ。
結果は知っての通り、一瞬水の流れは阻害出来た!そう出来たのだが、そのお陰で通路には、水の出口から空気が満ちたが、堰き止めていた鉄板から水が吸引されて真空地帯が発生、その真空部分に鉄板の隙間から水が噴出!水は引いてきたが更にそれを支える壁が崩壊、音の響きも良く鉄板は吸い出されるように吹き飛んだ。
日曜大工の店でも売っている短いホースで、簡単に実験が出来る程の結果を、俺は全く想像出来ず。ギリギリの栓を被せても簡単に吸い込まれたのだ。その上に俺は水の流れの勢いだけを考えて、出入り口の直径10メートリ、高さ10メートリに溜まっていた水の重さを全く考えていなかったのだ。
俺は溜息と共に、次はもう少し、壁に負担が掛かっても大丈夫な、大きな鉄板でも作ろうか?と考えたが、壁を破壊しながら飛んで行った鉄板のお陰で、通路はズタボロに成って拡がり、土石流は更にデカい石を伴って、ゴロンゴロン転がり、俺の迷宮を埋め尽くす程の勢いに変わって仕舞った。
新しい能力に目覚めた気分に成って挑んだ今回だが、敢え無く挫折を味わった。
通路が拡がれば吸引力も増す模様で、迷宮出入り口は見知らぬ誰かから無理矢理に座薬を突っ込まれた如く、嫌な気分と共に更なる拡がりを見せて、俺はもう途方に暮れるのだった。
此れはもう川の底に出入り口を繋げたのと同じ状態だ。
俺はもう皆と道連れで此の儘では全滅だと……俺は俺の死を覚悟しそうに成った。
俺は下層に意識を移して、未だ続くドッジボールを眺めた。此奴らとの付き合いは短いが、もう他人の気持ちでは、いられない程の親しみが既に在る……
今は何とか踏ん張って土石流を処理しているが、持って1時間が限度の感じだ。
徐々に浸水場所が拡がり、所々に水溜まりが出来てきたが、ぬわんだと~う!?俺の意識が土石流に集中している間に、ウォルフ達四人が、その水溜まりを呑み込み、森林エリアの水没を阻止していたのだ。
俺は感動に打ち震え、此奴らには正直に伝えて最悪別の道を付けるからと、ここが水没しても逃げる様に言おう……せめて考え無しの俺と心中する事も在るまいと、スライムの身体で四人とツイに事情を告げた。
心配顔のウォルフは「屹度何か在るとは思っておりましたが、創造主様、期待しております」「結局兄貴の言う通りの結果に成ってるぜ。だが乗り越えようぜ大将」スプロは触手で俺を軽く叩いて励ましてくれた。
コメットは、やや呆れた様な感情が伝わるが「真逆こんなに早く答えが出るなんてホント驚きよ、さっきから創造主様の動きが、ぬぼーっとしてたもの、アタシには分かっていたわ、けれど何とかしてくれるんでしょ?」「なって無いけどアタシも信じてる」エバも言葉少なく励ましてくれる……
ツイは覚悟を決めた様な顔をして「アタシは、一度拾った命で御座います。主様と何処までもご一緒致しますよ」「みんな済まんな、そして有り難う」
俺は全員に、逃げる用意をしろ!お前達は合体して各量産型を一纏めにして待機、ツイも俺の後ろから付いて来い、此れから地上に向けて脱出路を作る……
迷宮が水没しても、何れは水も引くだろう、その後から戻って再建だ!折角育てた木々だったが、連れて行く事が出来無い以上、何とか綺麗な水で水没するように、俺が力の限り浄化してからここを出て行く……
ウォルフがナイスアイデアを出す「今の状態なら浸水する前に上の階からの接続を立てば宜しいのでは無いでしょうか?我らもここに残る事が叶います」あれ?……
あれれ?……だよな……そうだよウォル!お前は偉いぞ!と言うか俺が大バカだ。
水の吸収を止めれば、ここや他への流入が止まる……作りたてだが第一フロアーの湖を放棄する!「え?そんな物を何時の間に……」土石流に成る前迄は、その湖で雨水程度なら十分対応が出来て居たんだ。
だから貯めて新しい罠フロアーとして、追加する考えだったが、先程話した通りの展開で、此の儘なら埋まるが冠水する迄持たせば良いのなら、なんとか水が引けば土砂程度なら整備次第で又使える……
苦労して作った洞窟迷路エリアヘの入口を一時塞いで、後は成る様に自然に任せる計画だが、一応避難準備はして貰う、万が一のために、ここから出る避難路も同時進行で製作するからな「畏まりました」各々が同質のスライム達と合体を始めた。
因みに量産型は、俺が生み出す半透明に近い白、特色が出始めている緑と青、鉱物系に何れは進むのじゃ無いかと思っている黄色、毒系を好んで捕食して赤く成った者などだ。戦隊物なのにピンクがいない?何故だ?解せぬ……
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第三次、迷宮出入り口封鎖作戦の巻き……
俺は森林エリアよりも、更に上部に在る洞窟エリアから、地上への脱出口を権能を使って制作しながら、湖エリアとの接続を断つために、同時進行で作業を行った。
苦労しながらも上手く遮断出来た湖との接続は、完全に通路を埋めて用心のために鉄の扉まで付けたが、一方の作業は幾ら地上付近を探っても、前回と同様に地上へ何故か到達出来無い……
俺は不思議に思い【可笑しいな?もう今存在している出入り口よりも、可なり高く成っている筈なんだがな……】俺はウォルフに聞いた山側に通路を延ばしていた。
自分の身体が体感している情報なので、高低くらいは感覚で理解出来る……誰もが左右の腕で、何方か一方を意識的に高く上げようとすれば、そんな物は態々定規で確認しなくても感覚で判る筈だ。
前回は低地でエラい目に遭ったので、今度の向かう先は逆方向の山方面なのだが、それ程中心から遠くない地点で現在よりも高く成った。
しかしその後は、何度も地上に接続しようと挑戦しても、まるで駄目だったのだ。
何でだろうか……ヒョッとして出入り口は【お一人様一つに限ります】何て決まりでも在るのかも?ならば今の俺は難儀している出入り口が、既に存在しているから駄目なのか?だがラノベでは複数の出入り口が存在している、そんな迷宮の話しも在るからな……まあこの世界の迷宮がラノベ通りだとは限らないが……
一応もう少し頑張ってみるか……などと言いながら伸ばすと、土以外の何かに突き当たったので、硬いのなら別の道を探すかと、迂回しながらウロウロと探している時に俺は閃いた。
そうだよな、もしお一人様一つ限りなら、今存在している出入り口の接続を切れば良い……何だ簡単な事じゃ無いかアハハハ、あ!俺は悲しくなった……そうだよ、接続を切れば良かったんだよな、この期に及んでも俺はバカだった。
俺はくよくよしても始まらないと、意識して接続を切ろうとしたのだが、何かが邪魔して駄目だったのだ……
ヒョッとして水?いや、土砂が絶え間なく通過しているからかも?だったら満杯に成って流れが止まることを願うしかないのか?なぁ……俺は可なりガッカリした。
随分と後で俺はこの日のことを思いだし検証したのだが、接続は兎も角外すには、それ相応の力が必要だった。
密閉したお陰で中の空気が圧縮されて、出口を求めて凄い事に成っているのだが、何とか俺の身体は丈夫なようで、可なりの圧力に耐えていた。
勿論塞いだ箇所も健在で、既に水没しているのだが、俺は安心をしている……
今日の迷宮は随分力と神経を使い、もうヘトヘト状態で眠たく成っているのだが、緊張状態が続く限り気が抜けないと俺は頑張った。
漸く土石流も行き場所を失い、小康状態から静止状態へと移行する瞬間に、迷宮は驚くほどの力で引っ張られたのだ。
両手を広げて、方や現在の出入り口、此方は伸ばして硬い何かに突き当たった状態だったが、その両方から引き込まれて、大岡裁きでもあるまいに、どっちか迷宮の手を放してくれよぉ~~~!と言いたかった程、強力な力が働き、俺は此方に引き寄せられて、方やを漸く手放せた……
此処まで読んで楽しかった。何じゃこりゃ変な物語。駄作しょ。
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厚かましくも評価を頂けたら、最高に幸せな作者で御座います。
次回の更新予定日は、04月07日の午後5時に投稿致します。
俺様偉い!の足跡……(迷宮内の理)
中にいる生物を支配出来る事が判明した。何れ他の生物も支配出来るかも?
生物を自在に生み出したり、中で生物などを育てたり出来る事が判明した。
部屋、空間などの模様替えが、任意で可能なのかも?現在考察中である……
迷宮内で意思疎通が出来る生物は、或る程度の知識を分けている事が判明した。
階層を増やす力が潜在的に在る事が判明したが、現状では力不足である……
スライムがご都合主義的に作者都合で扱える驚きの能力……
分裂、合体、変形、胃袋、胃酸、触手、吸収、念話、圧縮